●キュウリの概要と特徴

◆キュウリ(胡瓜/きゅうり)とは

キュウリがなっている様子

分類: ウリ目 > ウリ科 > キュウリ属 

学名:Cucumis sativus L.

英名:cucumber 仏名:concombre

中国名:黄瓜/胡瓜

和名:きゅうり/胡瓜

 キュウリの原産地はヒマラヤと言われ、日本へは中国から伝わりました。江戸時代ごろまでは黄瓜(きうり)と呼ばれていたそうですが、その後中国名の胡瓜という漢字をそのまま当て字にされたようです。

 また、苦味が強く、“下品な瓜”とか、“害多く、能無し”などと言われたりしていたようです。1960年代頃までは半白きゅうりが主流で、その後、栽培しやすく流通性に優れていると共に見た目がよく、彩りが良い現在の白イボの全体が濃い緑のきゅうりに切り替えが進みました。

◆白いぼきゅうりと黒いぼきゅうり

黒イボの半白胡瓜

 きゅうりの表面には刺のようなものが付いていますが、これが白いものと黒いものとがあります。

 黒いぼ系は低温に強く、もともと春採りの早生種でした。時代の流れと共に食生活が変わり、生野菜を良く食べるようになってきたことから、漬物に適した黒イボ系から、生で食べた時に美味しい白いぼ系の方が好まれるようになってきた事、黒イボ系に比べ病気に強く収量が多い白イボ系が生産者に好まれ、ハウス栽培の技術や品種改良などが進み、白いぼ系が通年収穫できるようになったことなどから、今ではほとんど白いぼ系になってきました。

◆キュウリのブルームとは

 今一般のスーパーなどで見かけるほとんどの胡瓜は、表面がつやつやした緑のものだと思います。これに対し、昔のきゅうりは表面が白っぽく粉をふいている様に見えるものでした。これはきゅうり自体が乾燥や雨などから守るため自然に生成する成分で、これを「ブルーム」と言います。

手前がブルームが出ているキュウリ 奥は普通のキュウリ

 右の写真の手前のキュウリにはブルームが出ています。奥の物はブルームが無く艶々していますね。クリックすると拡大画像が見られます。

 しかし、消費者からみると、一見農薬のようにも見え、見た目もよくなかったので、このブルームが出来ない品種「ブルームレス」がつくられたのです。これは当時画期的なことで、どんどん取り入れられていきました。しかし、本来ブルームにより守られていたものが剥き出しになるのですから、きゅうり自体の皮が厚くなり、逆に中の果肉は柔らかくなってしまったようです。

 今、また昔のブルーム付きのきゅうりが、歯ざわりがよく本来のおいしさを持ったきゅうりとして見直され始めています。

◆次々登場する新しい品種

ミニキュウリ ラリーノ

 各種苗業者は、外見や栽培しやすさ、食べやすさなど良いとこどりをしたF1品種(一代交配種)と呼ばれる形で、次々と新しい品種を開発しています。

 これもそんなキュウリの一つ、イボ無しミニキュウリ「ラリーノ」。ちっちゃくて可愛いですよ。

 ラリーノに関してはこちら →

●キュウリの意外な一面

◆キュウリは緑黄色野菜?

キュウリの断面

 見た目は鮮やかなグリーンなので、緑黄色野菜と思いがちですが、実は淡色野菜に分類されています。ちょっと意外では??

◆キュウリはギネスでNo1の野菜に!?

 キュウリは実にありふれた野菜の一つですが、実はギネスブックにNo1の野菜として記録されているって知っていますか?その内容はなんと「世界一熱量(カロリー)が少ない果実」との事です。びっくりですよね。でもあくまでもカロリーが低いという事でビタミン類などの栄養も少ないという訳ではないので勘違いしないでくださいね。

●キュウリの主な産地と美味しい旬の時期

◆キュウリの主な産地と生産量トップ10

全国の胡瓜収穫量トップ20

 キュウリは全国で栽培されていますが、主な産地は宮崎県と群馬県で、続いて埼玉県や福島県となっています。

◆キュウリが安く美味しい旬

 キュウリは通年当たり前のように手に入る野菜の代表的なものですが、本来の旬は夏。大体6月頃から残暑が残る9月頃までです。この時期は露地栽培もされ、その他の季節にハウス栽培などで収穫されたものと比べて2倍くらいビタミンCを含んでいるそうです。また、その頃はキュウリの価格も一気に下がり、とても使いやすい野菜となります。

品種 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
白いぼ系                        
黒いぼ系                        
加賀太