■毛馬きゅうりとは

◆大阪の伝統野菜「なにわの伝統野菜」

毛馬きゅうり/毛馬胡瓜<キュウリ

 毛馬きゅうりは古くから大阪で作られてきた黒イボ系きゅうりの一種で、その記録は江戸時代にまでさかのぼり、大阪市のホームページによると、江戸時代の終わり頃から毛馬村(現在の都島区毛馬町付近)で栽培されていたとされています。

 その後他の品種に転換が進み、原種が姿を消しつつある中、この品種を元にした1代雑種も生み出され広がりを見せたものの、食文化の変化と共にそれも現在の緑鮮やかな白イボ系きゅうりに取って代わり、ほとんど姿を見ることはなくなっていました。

毛馬きゅうり/毛馬胡瓜<キュウリ

 近年になって全国的に伝統野菜を見直す動きが出始め、1998(平成10)年に旧 大阪府農林技術センター(現 食とみどり技術センター)が1956(昭和31)年に農林水産省に分譲していた種を里帰りさせ65年ぶりに復活させる事に成功し、現在大阪の数箇所で栽培されるようになりました。

 2005(平成17)年には「なにわの伝統野菜」認証制度が始まり、この対象にも選ばれています。

なにわの伝統野菜「毛馬キュウリ」ものがたり(大阪市ホームページ)

◆毛馬きゅうりの主な産地

 河南町をはじめ、千早赤阪村や河内長野市などの南河内地域や、堺市などとなっています。流通量は、栽培が難しく、1株辺りに実が成る数が少ない上に、商品となる真っ直ぐに伸びたものが少ないことから極僅かしか出回りません。

■毛馬きゅうりの特徴と美味しい食べ方

◆毛馬きゅうりの特徴

毛馬きゅうり/毛馬胡瓜<キュウリ

 毛馬きゅうりは黒イボ系の品種で、イボの数はそれ程多くありません。食べ頃になったきゅうりの色は軸の付け根から3分の1ほどが緑で、そこから下は色が薄く黄緑からやや黄色が強くなっています。

 一本の長さは30~45cmで直径は2~3cmと、とてもスリムで長い形をしています。果肉は一般的な白イボきゅうりに比べ水分が少なく、歯ざわりがしっかりとしています。

◆調理のポイント

毛馬きゅうり/毛馬胡瓜<キュウリ

 肩の部分にはアクが多く含まれていて、食べた時に苦味を強く感じます。漬物にしたときでもパリッとした歯ざわりがしっかりと残り、酢の物などにも適しています。ただ、肩の部分など、皮が固いものもあるので、料理によっては少し皮を剥いた方がいい場合もあります。

◆主な料理

 古くは糠漬けをはじめ、粕漬けや奈良漬けなど様々な漬物に用いられてきました。

 一般的なきゅうりのように生のままスライスしてサラダなどで食べることもできますが、水分が少なめで歯ざわりがしっかりとしているので、どちらかといえば漬物や塩もみ、酢の物、炒め物などに向いています。