●勘次郎胡瓜(かんじろうきゅうり)とは
勘次郎胡瓜は山形県最上郡真室川町の姉崎勘次郎家で明治時代から作り続けてこられた在来種キュウリで、現在は最上伝承野菜として「真室川伝承野菜の会」によって栽培と販売が行われています。全体に淡い黄緑色でずんぐりとした外見が印象的で、キュウリの青臭さがほとんどなく、みずみずしく柔らかい食感が特徴です。
◆勘次郎胡瓜の来歴
勘次郎胡瓜は山形県最上地域の真室川町で古くから作り続けてこられた在来種キュウリで、130年ほど前、明治初期頃、真室川町の谷地の沢地区の姉崎勘次郎家に隣の鮭川村から嫁いできた嫁が持ってきたのが起源とされ、勘次郎家で代々受け継がれ自家用として作り続けてこられたそうです。名称はこのキュウリを作り続けてきた旧家の屋号からつけられています。
2017(平成19)年に県の事業による、最上地域で古くから伝わる野菜などの調査によって発掘され、広く知られるようになりました。
最上地区では最上地域特有で概ね昭和20年以前から存在していた野菜・豆類などに対し、最上伝承野菜として認定しており、2023年の時点で33品目が認定されています。この勘次郎胡瓜もその一つです。
◆勘次郎胡瓜の特徴
勘次郎胡瓜の果実は通常長さ18~20cm前後、果重200gほどで収穫され、一般的なキュウリに比べると太くて短く、ずんぐりとしており、また表皮の色も濃い緑ではなく、明るく淡い黄緑色です。そして、白いぼではなく、華南系の黒いぼきゅうりです。通常販売されているものにはイボがない状態になっていますが、これはイボによって柔らかい果皮に傷がつきやすいため、収穫後、水の中で優しくイボを落としてから出荷されているからです。
皮は薄く、中の果肉はほんのり緑がかった白で、中に少し空洞ができやすい傾向があるようです。果肉は緻密で果汁が多く、甘味がありキュウリ特有の青臭さが少ないのが特徴となっています。
収穫せずにそのまま種子取り用に成らせておくと、長さ30cmほどになり、表皮も黄色から茶色く変わり、モーウイ(赤毛瓜)のようになるそうです。
また、勘次郎胡瓜は原種に近い飛び節成りで一般的なきゅりに比べ収量が少く、数にしておよそ1/3、重量にして2/3しか採れないそうです。
◆実際に食べてみた食味や調理のポイント
勘次郎胡瓜はキュウリ臭さやクセがほとんどなく、キュウリというよりもウリ(瓜)に近い香りがし、ほんのり甘味もあります。生のまま食べると果肉や皮の歯切れがよく、若いマクワを食べているような感じがします。
生食の他、漬物もおすすめで、塩漬けにしても茶色くならず、綺麗な黄色になるそうです。
●勘次郎胡瓜(かんじろうきゅうり)の主な産地と旬
◆主な産地と生産量
勘次郎胡瓜は山形県最上郡真室川町で作られてきた伝統野菜で、現在はこの地域の「真室川伝承野菜の会」の会員20人により栽培・販売が行われており、平成30年度の出荷量は4t弱だったそうです。
撮影試食したものは真室川町の「伝承野菜農家 森の家」さんから取り寄せました。
◆勘次郎胡瓜の収穫時期と旬
勘次郎胡瓜の収穫は6月下旬頃から始まりますが、最盛期は7月中旬から8月にかけてです。
市場には出荷されておらず、購入できるのは産地の直売所か生産者の直販だけとなっています。
品種 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | ||||||||
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勘次郎胡瓜 |
< 出 典 >
※1 「勘次郎胡瓜(かんじろうきゅうり)|真室川町」おいしい山形 おいしい山形推進機構
※2 「山形産「勘次郎胡瓜」」八百屋塾 第4回 2012年7月22日 東京都青果物商業協同組合
※3 「勘次郎胡瓜-柔らかさと瑞々しさが人気の「最上伝承野菜」」みんなの農業広場 2021年06月16日