●ごぼう/牛蒡/ゴボウの概要と種類

◆ゴボウとは

分類: キク目 > キク科 > ゴボウ属 > ゴボウ

学名:Arctium lappa L. (1753)

英名:edible burdock、greater burdock

仏名:bardane、(近縁種の西洋ゴボウ)salsify/salsifis

中国名:牛蒡

和名:ごぼう/牛旁

別名:ごんぼ

 ごぼうの原種はユーラシア大陸の各地でみられ、日本に入ってきたのは縄文時代という説や平安時代など諸説あります。ヨーロッパや中国では古くから薬用として用いられてきたそうですが、食用の作物として栽培してきたのは日本だけで、台湾や朝鮮半島などで食用にされているのは日本人が伝えたもののようです。

◆ゴボウは全て固定種?

 今、一般に広く作られている野菜の大部分はF1品種と呼ばれる一代交配種です。これはその野菜の形や食味、病虫害に対する抵抗性などが優れた品種同士を交雑させることで、それぞれの良いとこどりをした種子が得られ、それを栽培、収穫することで大きさや形が揃い、食味の良いものがスーパーなどに大量に並ぶようになっています。

吉川ごぼう

 それに対し、ゴボウは花の特性上、交配させることが極めて難しく、F1品種を作ることはできません。現在、お店に長さや太さが揃ったものが並んでいますが、これらは全て固定種で、長い年月をかけ、毎年多くの中から優れた品質の個体を選抜しながら採種し、その土地や環境に適応したものが作り続けてこられた結果なのです。

■ゴボウの種類や品種

●関東と関西の違い

 関東は耕土が深く水はけがよいため長いごぼうが栽培されているのに対し、関西は耕土が浅いため葉ゴボウや短いごぼうが栽培されてきました。ただ、今では一般的にごぼうといえば長いものが中心にはなっています。

ごぼう/牛蒡/ゴボウ

一般的なゴボウ(滝野川系)

滝野川系ごぼう(一般的なゴボウ)

 長さ1m前後、直径2~3cmほどの長いごぼう。東京の滝野川地域で栽培され手着たのでこの名前が付いたようです。主に関東一帯で作られていますが、全国的にごぼうといえばこれをさしています。

大浦太ごぼう(千葉県の伝統野菜)

大浦太ごぼう(千葉県の伝統野菜)

 千葉県の八日市場市(現 匝瑳市)大浦地区で古くから栽培されてきた伝統野菜。長いごぼうですが直径が10cmほどもあり、筒を踏んで潰したような形をしています。また、中に空洞があり、詰め物をして料理したり、精進料理などに使われています。

堀川ごぼう(京の伝統野菜)

堀川ごぼう(京の伝統野菜)

 京都の伝統野菜のひとつで、長さ50cm前後、直径は6~9cmにもなり中に空洞ができます。収穫できるまで2年以上かかり、高品質で希少性も高く、主に料亭などで使われています。空洞を利用し、詰め物をした料理などに使われます。

宇陀金ごぼう/うだきんごぼう(大和野菜)

宇陀金ごぼう/うだきんごぼう(大和野菜)

 明治時代の初め頃から奈良県宇陀市で作られてきた伝統野菜で大和野菜に認定されています。香りが良く、肉質が軟らかい事や、ごぼうの表面が雲母で金色に光って見えたことから金ごぼうと呼ばれ、縁起物として正月のおせちに珍重されています。

吉川牛蒡(よしかわごぼう)

吉川牛蒡(よしかわごぼう)

 滋賀県野洲市で古くから作られてきたゴボウで、鉄ミネラル栽培によりアクが少なく上質のゴボウが作られています。

連島ごぼう(つらじまごぼう)

連島ごぼう(つらじまごぼう)

 岡山県水島地域並びに倉敷地域の一部で、主に砂土壌で栽培される白肌ごぼう系統品種のごぼうで、特産品として「倉敷ブランド」及び「地理的表示(GI)産品」に認定されています。

菊池水田ごぼう

菊池水田ごぼう(きくちすいでんごぼう)

 熊本県の北東部の菊地域の水田で栽培される、肌が白く真っ直ぐで柔らかく、あくが少ないごぼうで、「菊池水田ごぼう」として「地理的表示(GI)産品」に認定されています。

新ごぼう/新牛蒡

新ごぼう/新牛蒡

 初夏に収穫された若取りのもので、まだ完全に成長しきっていないため、柔らかく風味も一般的なごぼうと比べ上品で優しい香りがします。

葉ごぼう/若ごぼう

葉ごぼう/若ごぼう

 根の部分だけでなく、葉や茎も食用にするため栽培されているもので、主に大阪を中心とする関西で食べられてきた野菜で、大阪八尾の特産でも知られ、「若ごぼう」という呼び名で親しまれています。

山ごぼう/菊ごぼう/モリアザミの根

山ごぼう/菊ごぼう/モリアザミの根

 姿形が似ていることから”ごぼう”と名に付いていますが全く別のキク科アザミ属に分類されるモリアザミという植物の根です。岐阜県恵那地方では「菊ごぼう」と呼ばれ、飛騨・美濃伝統野菜に認証されています。

■ゴボウの産地と旬の時期

●ゴボウの主な産地と生産量

 ゴボウは北海道から沖縄まで全国で作られています。日本人にとっては非常に重要で身近な食材として食べられていることがうかがえます。

全国のゴボウの収穫量

 上の表は国がまとめた令和4年産の全国のゴボウ収穫量です。

 主な産地は青森県で、次いで茨城と北海道です。この三つの地方で全国の半分以上を生産しています。そのほか、宮崎、群馬、鹿児島、千葉などがあります。

●ゴボウの旬は

新ごぼう

 滝野川ごぼうなど関東を中心に栽培されている長いものは晩秋から冬が旬になります。一方、初夏には夏ごぼうとも呼ばれる新ごぼうの旬で、こちらも柔らかく香りが良いのでまた違った味わいが楽しめます。関西では若ごぼうと呼ばれる葉ごぼうを食べる食文化もアリ、これは春先に旬を迎えます。

品種 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
滝野川ごぼう                        
新ごぼう                        
葉ごぼう/若ごぼう