●二子さといも/二子いものことは
「二子さといも」は岩手県北上市二子町を中心に300年以上も前から作り続けてこられた在来種サトイモで、地理的表示(GI)産品に認定されており、滑らかで上質な食感とコクのある味わいや、出荷量が少なく希少価値もあり高価なサトイモとして扱われています。
◆二子さといも/二子いものこの来歴
「二子さといも」は岩手県北上市二子町で300年以上も前から作られてきた在来種のサトイモで、そのルーツは今なお明らかにはなっていません。系統的には「烏播(ウーハン)」と同じ黒軸系で、二子町を除く東北地方では「土垂」が広く栽培されてきたことを考えると、更に古い時代に伝わり、この地に定着したのではないかとも考えられています。
サトイモは本州では花を咲かせることはほぼなく、基本的に子芋の繁殖を繰り返し栽培されており、長年その過程が繰り返される中でその土地の気候風土に適応した品種へと変化していくと考えられ、二子さといもも南方から持ち込まれた黒軸系品種が定着したものと思われます。
1980年には「二子さといも生産組合」が設立され、イモの選果方法や出荷規格の統一、栽培技術の向上がすすめられてきました。そして2018年9月27日には地理的表示(GI)法に基づきGI登録されています。
種芋の保存が難しいため収穫量の2割以上を種芋用に保存しなければならないことから、出荷量が限られ希少価値が高く、一般的なサトイモに比べ高値で取引されています。
◆二子さといも/二子いものこの特徴
二子さといもは子芋用として栽培され、市場に出荷されるのは子芋のみです。イモの大きさは平均100gほどですが、出荷はサイズによってS/M/L/LLなどに分けられていますが、撮影したものはMサイズで、平均60gほどでした。
イモの形状は卵型のものが多く、JAから出荷される共選ものは表面が乾いた状態で箱に詰められています。それに対して個々の生産者が直接出荷する個選ものは土付きのものや掘り出して洗った状態の湿ったものが多くみられます。
肉質は『強い粘り気と味の濃さ、滑らかな食感が特徴』となっています。
◆実際に食べてみた二子さといも/二子いものこの食味
二子さといもはぬめりが多めで、皮付きのまま茹でて皮をむくとドロッとしたとろみに覆われた状態のイモが出てきます。これをマッシャーやフォークで塊がなくなるまで潰すと、滑らかな餅状になり、繋ぎなどを加えなくてもネットリとまとまり、色々な具材を包んで調理することもできます。
イモが乾いた状態ではぬめりはあまり感じず、包丁で皮をむいてもヌルヌルしてむきにくいということはありません。
茹でたイモはとても滑らかな食感で、粘りもしっかりとあり、イモの風味が口に広がりとても美味しいです。
二子さといもを使っていくつか料理を作ってみました。サトイモの選び方や食べ方、料理のページはこちら →
●二子さといも/二子いものこの主な産地と旬
◆主な産地と生産量
「二子さといも」は地理的表示産品(GI)に登録されており、岩手県北上市二子町を中心に北上市内で栽培され、二子さといも協議会に所属している生産者しかこの名称で出荷することはできません。
生産者の高齢化などの影響で、栽培面積は減少傾向にあり、2016(平成28)年は生産者98名で34ha、出荷量155トンとなっていましたが、2023年の時点では生産者80名で17haでの生産となっています。
◆二子さといも/二子いものこの収穫時期と旬
二子さといもの収穫時期は9月初旬から11月上旬にかけてで、出荷もこの時期になります。
品種 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | ||||||||
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二子さといも/二子いものこ |
< 出 典 >
※ 「北上市在来サトイモʻ二子いもʼのルーツに関する仮説」岩手県農業研究センター研究報告 9号 p.77-90 2009年
※ 「日本の伝統野菜-03.岩手」伝統野菜都道府県別一覧 一般社団法人 日本伝統野菜推進協会
※ 「登録の公示(登録番号第68号)」地理的表示(GI)保護制度 農林水産省
※ 「二子さといも / 二子いものこ」地理的表示産品情報発信サイト
※ 「秋の味覚 消費者へ 二子さといも 猛暑乗り越え出発式【北上】」岩手日日新聞 2023年9月9日