●京むらさきとは
「京むらさき」大根は丸種が宇治交配ブランドで「京ざくら」と共に2014年から種子を販売している、皮が紫色で、中も芯から外側に向けて紫色のF1品種ミニダイコンです。
◆京むらさきの来歴
「京むらさき」は京都の育種会社、丸種株式会社が作り「宇治交配」ブランドで種を販売しているF1品種で、「京ざくら」と共に2014年に発売されました。
それまでは紫色の大根と言えば「紅しぐれ大根」が主流だったのですが、今では「味いちばん紫」に続き本種も登場し、選択肢が増えています。近畿圏では直売所で本種を目にする機会が増えています。
◆京むらさきの特徴
「京むらさき」は根長15~18cm、根径6~7cm程度の円筒形で尻づまりがいい紫皮のミニダイコンです。葉柄も紫色です。
根の横断面は円形で、表皮の色はやや薄い紫色で、肩部は濃い紫色になります。
内部は中心部から放射状に紫色に着色し、外皮は紫色で縁どられています。
「味いちばん紫」にくらべ、紫色の入り方は表皮は本種の方がやや薄めですが、葉柄の紫は同じ感じです。中の肉色は本種の方が紫色が多く、肉色は「紅しぐれ大根」によく似ています。
肉質はち密で歯切れが良いのが特徴となっています。
◆京むらさきの食味と適した料理
メーカーの紹介では『肉質が緻密で歯切れがよく、みずみずしいのでサラダ等の生食に加え、おろしや漬物に向きます。』とあり、実際にスライスやスティックに切って、それを噛んだ時の歯触りはとても小気味よくほんのり甘味があって、辛味はあまりありません。
「京むらさき」の紫色は、他の紫大根同様、アントシアニンによるもので、加熱調理すると色味が映えず、特に煮物では色素が溶け出し、煮汁に色が移ってしまう上、大根自体の色もボケた色になってしまうのでお勧めはしません。
◆酢(酸)によって赤く発色します。
他の赤い大根でも試したように、この大根もスライスしたものを酢に浸してみました。結果は写真の通りです。
今回は「京ざくら」と一緒に比べてみました。「京むらさき」は酢に浸すと紫の色素が赤く変色います。このまま1日漬けておくと白い部分も薄く赤色に染まっていきます。漬物にすると全体に柔らかい赤からピンク色に仕上がります。
●京むらさきの栽培と収穫時期
◆家庭菜園にも向いている
京むらさきの種は市販されており、家庭菜園向きの少量子袋もあります。また、播種後約50日で収穫でき、家庭菜園でも作りやすい大根です。
◆京ざくらの収穫時期と旬
「京むらさき」の収穫時期は栽培する環境によってかわります。メーカーの袋に記されている時期を見ると寒冷地では9~10月にかけてで、遅くなる暖地では10~1月にかけて収穫できるようです。
「京むらさき」が沢山出回る旬の時期は10~12月、秋から初冬にかけてとなります。
< 出 典 >
※ 「京むらさき大根」丸種株式会社オンラインショップ
似たような紫色の大根
庄大根(しょうだいこん)
愛媛県松山市の伝統野菜で、根首部分から約3分の1くらいまでが赤紫色で、中の肉色は白い、大きな大根。
紅甘味大根
みかど協和が開発し、販売しているF1品種で、首から先に向け、濃い紫から白へ美しいグラデーションとなる大根。
ミラノ大根
イタリアで作られている品種を藤田種子が国内向けに販売している品種で、人参のような形で皮が紫色の大根。
味いちばん 紫
シンジェンタジャパンが販売している皮が紫色で、中も部分的に紫色のミニ大根。
紅しぐれ大根
トーホクが東洋大学の下村講一朗教授と共同開発によって育成されたF1品種で外皮の部分が紫色で、中心部分にもうっすらと紫色が入っています。