●御所川原とは

 「御所川原(ごしょがわら)」は、前田顯三氏とその孫である前田榮司氏が育成し、五所川原市が譲り受けてから選抜、特性調査などを経て1996年に品種登録された果肉に赤色が混じる、やや小玉で長円錐形のリンゴ品種です。

◆御所川原の来歴

 旧梅沢村(現五所川原市梅田)の元村長だった前田顯三氏が、1939(昭和14)年から20数年以上かけて育種に取り組み、果肉が赤いリンゴを育成しました。その後、彼の孫である前田榮司(えいじ)氏が育成を引き継ぎ、1973(昭和48)年に育成した3系統を五所川原市が譲り受けます。

 「御所川原(ごしょがわら)」は、五所川原市が前田氏から譲り受けた3系統から選抜し、特性調査などを経て1993(平成5)年に種苗法に基づく登録申請、1996(平成8)年に品種登録されたリンゴです。

果肉が赤いリンゴ 御所川原(ごしょがわら)

 五所川原市ではこの「御所川原」を種子親として、「王林」を掛け合わせた「栄紅(えいこう)」、「金星」と掛け合わせた「レッド キュー」を育成し品種登録しています。これらはいずれも「御所川原」の特性を受け継ぎ果肉が赤いリンゴとなっており、五所川原市では「赤〜いりんご」の愛称で親しまれています。

果肉も赤いリンゴ 栄紅とレッドキュー、御所川原

 これら3種の「赤〜いりんご」は五所川原市が育成者権を持っていますが、2016年以降、苗木の育成や管理を株式会社「アグリコミュニケーションズ津軽」に委託しています。

 近年「紅の夢」をはじめ、「いろどり」「なかの真紅」「なかののきらめき」「ムーンルージュ」といった果肉が赤いリンゴが話題になりますが、「御所川原」は先駆け的なりんご品種です。

◆御所川原の特徴

 「御所川原」の果実は果重150gほどと小ぶりのリンゴで、果形は縦長の長円錐。果皮色は黄色の地に赤く染まりますが、着色の度合いは薄く、薄いピンクほどのものもあります。

 サビはほとんど無く、あってもわずかで、スカーフスキンはありません。果点はまばらで目立たなく、全体に滑らかで艶があります。

果肉が赤いリンゴ 御所川原(ごしょがわら)

 果肉は白地に表面近くと心室の周辺部が赤く着色し、赤道切り下断面は花のような模様に見えます。

 肉質は硬めで、甘味はそれなりにありますが酸味が強く、生食よりも加工に向くリンゴとなっています。

果肉が赤いリンゴ 御所川原(ごしょがわら)の断面

 農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。

『-----

 果実の外観は長円錐、王冠は弱、がくの開閉は閉、がくあの深さは浅、広さは狭、こうあの深さは浅、広さは狭、果実の大きさは小(150g程度)、

 果皮の地色は黄、果皮を被う色は赤、色の型は縞不明、さびの量は無~僅か、果点の形(さび状果点)は有、果点の大きさはやや小、密度は低、スカーフスキンは無、果皮の光沢は中、ろう質は小、粗滑の程度は滑である。

 果梗の長さは長、太さは細、肉こうの有無は有である。果心の形は長楕円、心室の数は中、

 果肉の色は白地に果皮と心室の周辺部が赤、硬さは硬、きめは粗、蜜の多少は無~僅か、甘味は中、酸味は強、渋味は有、香気は少、果汁の多少は中である。

 種子の数は中、形は倒卵、大きさは中である。

 発芽期、開花期及び成熟期は早で育成地においては9月下旬、自家結実性は高、後期落果は無~僅か、普通貯蔵はやや長い、心かびの発生は無~僅かである。

 「レッドフィールド」と比較して、果実の外観が長円錐であること、肉こうが有ること等で、「サマーデビル」及び「桜小丸」と比較して、果実の外観が長円錐であること、果梗の長さが長いこと等で区別性が認められる。

-----』以上、抜粋。

◆実際に食べてみた御所川原の食味

 撮影試食した御所川原は10月21日に届いた30個/3.5kg箱で、果重は131~182gと小ぶりで、着色の度合いに差がありますが全体に色合いが淡くとても可愛らしいリンゴでした。

果肉が赤いリンゴ 御所川原(ごしょがわら)の断面 果肉が赤いリンゴ 御所川原(ごしょがわら)の糖度

 輪切りにした断面は外周が赤く、その内側に花弁のように白い部分があり、その中にも赤い斑点がはいっている感じでとても綺麗です。

 生で食べてみると思った以上に甘いですが、やはり酸味が強いです。とは言え、食べられないほどではなく、甘酸っぱい味が好きな方は全然アリだと思います。計った糖度は13.7%ありました。

●御所川原の主な産地と旬

果肉が赤いリンゴ 御所川原(ごしょがわら)

◆主な産地と生産量

 「御所川原」は五所川原市以外に苗木の持ち出しは禁止されており、ここでしか作られていません。

 ジュースなどの加工用にされる方が多く、青果として流通するのは極わずかしかなく、産地以外では一般のスーパーなどに並ぶことはありません。

 現在、本種の栽培管理は五所川原市から株式会社アグリコミュニケーションズ津軽に委託されています。

◆御所川原の収穫時期と旬

 「御所川原」はで、成熟期は育成地(青森県五所川原市)で9月下旬となっています。

 収穫時期はその年の気候によって多少前後しますが、9月中旬~下旬にかけてとなっています。

品種 8月 9月 10月 11月
御所川原                        

< 出 典 >

 ※ 「赤~いりんご」株式会社アグリコミュニケーションズ津軽

 ※ 「登録番号5077 御所川原」 農林水産省品種登録データベース

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果肉が赤いリンゴの種類

 普通のリンゴは果肉が黄色から乳白色ですが、中まで赤いリンゴもあります。皮が赤く中まで赤いタイプと、皮は黄色くて中の果肉が赤いタイプなどがあります。