●栄紅(えいこう)とは

 「栄紅」は青森県五所川原市のオリジナル品種で、どれも果肉が赤い「御所川原」「レッドキュー」と共に産地では”赤〜いりんご”と呼ばれ、五所川原市でしか作られていない希少なリンゴの一つです。

◆栄紅の来歴

 「栄紅」は青森県五所川原市において1995(平成7)年に、果肉が赤いりんご品種である「御所川原」に、香りに特徴があり、甘味が強い黄皮の「王林」(「ゴールデンデリシャス」×「印度」)の花粉を交配し、得られた実生から、原田久典氏および鈴木秀人氏によって選抜育成されたリンゴ品種で、「御所川原」よりも食味が良く生食にも向き、果皮色が赤いりんごとなっています。

果肉も赤いリンゴ 栄紅(えいこう)

 2013年に種苗法に基づく登録出願、2016年に品種登録されています。

 五所川原市では「御所川原」を種子親として、本種の他、「金星」を掛け合わせた「レッドキュー」も育成しています。これらはいずれも「御所川原」の特性を受け継ぎ果肉が赤いリンゴとなっており、五所川原市では「赤〜いりんご」の愛称で親しまれています。

果肉も赤いリンゴ 栄紅とレッドキュー、御所川原

 これら3種の「赤〜いりんご」は五所川原市が育成者権を持っていますが、2016年以降、苗木の育成や管理を株式会社「アグリコミュニケーションズ津軽」に委託しています。

◆栄紅の特徴

 「栄紅」の果実は果重150~220g 程のやや小ぶりのリンゴです。果形は丸みのある長円錐で梗あからがくあにかけ綺麗な弓形にカーブを描くような形のものが多い。

果肉も赤いリンゴ 栄紅(えいこう)

 果皮色は黄緑の地色に全面紅く着色しますが、地色の影響かややくすんだ色合いに見えます。ただ、サビは無いかあってもわずかで、ワックスは少ないのですがとても強い艶があるため、艶々で綺麗に見えます。

 果肉は硬く多汁で、皮までの外縁を中心に帯状に赤く着色すること、『さっぱりした“甘さ”と王林の様な豊かな香り』が特徴のリンゴとなっています。

果肉も赤いリンゴ 栄紅(えいこう)の断面

 農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。

『-----

 果実の大きさは中、果実の形は長円錐形、果実の王冠の強弱は中、果実のがくの開閉は小、

 果皮のろう質の多少は無又は少、果面の粗滑は滑、果皮の地色は黄緑、果皮を被う色の面積は大、果皮を被う色は赤、果皮を被う色の濃淡は濃、果皮を被う色の型は全面着色、

 梗あ周辺のさびの量は無又は小、果実側面のさびの量は無又は小、がくあ周辺のさびの量は無又は小、果点の数は中、果点の大きさは中、スカーフスキンの多少は中、

 果柄の長さはやや長、果柄の太さはやや太、梗あの深さは中、梗あの幅は狭、がくあの深さは中、がくあの幅は中、

 果肉の硬さは硬、果肉の色は帯赤、果実の甘味は中、果実の酸味は中、果実の蜜の多少は無又は極少、果心の形は円形、

 開花始期は晩、収穫期はやや晩である。  

 出願品種「栄紅」は、対照品種「御所川原」と比較して、果皮を被う色の面積が大であること、果皮を被う色の濃淡が濃であること等で区別性が認められる。

 対照品種「レッドフィールド」と比較して、果実の形が長円錐形であること、果皮を被う色が赤であること、果実の甘味が中であること等で区別性が認められる。

-----』以上、抜粋。

◆実際に食べてみた栄紅の食味

 撮影試食した「栄紅」は11月17日に「アグリコミュニケーションズ津軽」から届いた28個(約5kg)/箱で、状態が良い物を選んでいただいたようで、リンゴはどれも整った形で、綺麗に着色し、大きさは果重200~232gでした。

 リンゴの果面には果粉は全くなく、ワックスのべたつきもない状態で、どれも艶っつやで、ワックスが多いリンゴを軽く磨いたようなピカピカのリンゴでした。

果肉も赤いリンゴ 皮をむいた栄紅(えいこう)の果肉

 このリンゴは皮下が特に赤いリンゴなので、皮をむいた状態を撮ってみました。普通のリンゴをイメージしていると、この皮をむいても赤いリンゴは面白いですよね。

果肉も赤いリンゴ 皮をむいた栄紅(えいこう)の果肉 果肉も赤いリンゴ 栄紅(えいこう)の糖度

 今回のものは外縁以外は着色が少ないものが多かったようですが、これは天候などによって中までもっと赤くなることもあるようです。

 食べてみると果肉はかなり硬めですが、果汁感はしっかりとあり、甘味が強く酸味もありますが甘酸っぱくて美味しいと感じる程度でした。私見では五所川原の3種の赤いリンゴの中では一番生食で美味しいリンゴだと思います。

果肉も赤いリンゴ 栄紅(えいこう)のていあ

 ちなみに、送って下さった「アグリコミュニケーションズ津軽」の方によると、ていあ部までしっかりと赤く着色しているものが良く熟しているので、そういったものから食べるといいという事でした。

●栄紅(えいこう)の主な産地と旬

果肉も赤いリンゴ 栄紅(えいこう)

◆主な産地と生産量

 「栄紅」は五所川原市以外に苗木の持ち出しは禁止されており、ここでしか作られていません。そのため、生産者が限られ、産地以外に出荷される量は極わずかしかない希少なりんごとなっています。

 現在、生産農家10軒弱とのことで、本種の栽培管理は五所川原市から株式会社アグリコミュニケーションズ津軽に委託されています。

◆栄紅の収穫時期と旬

 「栄紅」は晩生種で収穫時期は10月下旬から11月上旬となっています。長期貯蔵には向いていないうえ、出回る数も少なく、食べ頃の旬は10月下旬から11月下旬ごろまでとなります。

品種 10月 11月 12月 13月
栄紅                        

< 出 典 >

 ※ 「赤~いりんご」株式会社アグリコミュニケーションズ津軽

 ※ 「登録番号25149 栄紅」 農林水産省品種登録データベース

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果肉が赤いリンゴの種類

 普通のリンゴは果肉が黄色から乳白色ですが、中まで赤いリンゴもあります。皮が赤く中まで赤いタイプと、皮は黄色くて中の果肉が赤いタイプなどがあります。