マルメロ(セイヨウカリン):来歴や特徴と産地や旬
●マルメロとは
◆バラ科マルメロ属 (英)marmelo (仏)Cognassier
マルメロはコーカサス地方からイラン北部にかけて、あるいはさらにトルキスタンやサウジアラビアをも含む中央アジアが原産とされるバラ科マルメロ属の落葉樹になる果実で、良く似たカリンとは近縁別種とされています。
カリンとは外見や特徴がよく似ていることから混同されがちで、しかも、国内の主要産地である長野県ではマルメロをカリンと呼ぶ地域もあるので注意が必要です。
「マルメロ」という名称はポルトガルでの呼び名「Marmelo」をそのまま外来語として用いたものです。江戸時代、長崎に出島が造成された1634年にポルトガル人によって日本に初めて持ち込まれたとされており、その際に教えられた呼び名が受け継がれてきたと思われます。
ちなみにマーマレードというジャムの名称は柑橘類で作られたジャムを指しますが、その語源はポルトガル語の”Marmalade(マルメラーダ)”と考えられています。ただ、もともとのマルメラーダと呼ばれるものはこのマルメロのジャムを指す名称らしく、その昔英語に訳す時に間違われたとも考えられているようです。
◆マルメロの特徴
マルメロの果実は幅6~10cmほどで重さ200~350gの洋ナシ形で、果皮色は黄緑色から熟すにしたがって黄色くなってくる。幼果は綿状の軟毛におおわれているが熟すにしたがってはがれていく。 (写真は340gほどのもの)
果肉はクリーム色で空気に触れると酸化し茶色っぽくなりやすい。断面を見るとわかるように洋梨やリンゴと同じような構造になっている。
近縁種のカリンと似ていますが、見分けるポイントは大きく2つ。
1.カリンの果実は通常楕円形に近い形たのに対し、マルメロは洋梨のような形をしている。
2.マルメロの若い果実はうぶ毛のような軟毛が付いているがカリンにはない。
上の写真は適度に熟したマルメロのお尻の部分です。まだ綿毛が少し残っているのが分かります。
◆実際に食べてみたマルメロの食味
マルメロはリンゴにも似た甘い芳香がありますが、カリンほど強くはありません。果肉は繊維が硬く石細胞も多いため生では食べられません。
適度に熟したマルメロを試しに生でかじってみると強い酸味に隠れたほのかな甘みが感じられました。しかし、果肉自体はやはり固くて飲み込む気にはなれません。
●マルメロの主な産地と旬
◆主な産地と生産量
マルメロは暑さ寒さに比較的強い樹ではありますが、国内で商用栽培されているのは比較的平均気温が低めのところが多いようです。
農林水産省がまとめた特産果樹生産動向調査によると2015(平成27)年産の全国の生産量は170.3トンで、最も多いのは長野県で143トン、次いで青森県12トン、そして北海道10トンとなっています。
今回撮影したものは大阪のプロ向けこだわり青果店ボニートーンさんよりいただいた、北海道産、ひと玉340g前後のもの。
また、マルメロは庭木としても扱われており、比較的栽培がしやすい樹木とされています。
◆マルメロの収穫時期と旬
マルメロの旬は秋で、収穫時期は10~11月にかけて行われ、フレッシュの果実はその時期にしか出回りません。
品種 | 9月 | 10月 | 11月 | 123月 | ||||||||
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マルメロ |