●ぼたんこしょう/ぼたごしょうとは
ぼたんこしょうは北信州で古くから自家用として作り続けてこられた、ピーマンに似た形状の辛い唐辛子で、「信州の伝統野菜」に選定されています。収穫時期は7月中旬頃から10月下旬頃。
◆ぼたんこしょうの来歴
ぼたんこしょうは長野県中野市永江地区を中心に古くから自家用として作られてきた唐辛子の一種です。
起源は不明ですが昭和初期頃には栽培されていたということですから、もう100年ほど前からということになります。この地域は千曲川沿いにあり、その下流は信濃川へと続き、新潟へと流れていきますが、その流域に新潟の伝統野菜である「神楽南蛮」の産地があり、おそらくはその神楽南蛮が川沿いに伝わったものではないかと考えられています。長い年月をかけ自家採種を続けていく中で、この土地ならではのぼたんこしょうになっていったと考えられます。ちなみに、ここから更に千曲川をさかのぼった長野県小諸市にも似たような「ひしの南蛮」と呼ばれる唐辛子が古くから作られてきました。
2008(平成20)年に松野冨子さんが発起人となり、大内ふじ子さんを会長として永江地区の有志が集まり、ぼたんこしょうの保存と普及を目的に「斑尾ぼたんこしょう保存会」が設立され、その年に長野県の「信州の伝統野菜」に選定され伝承地栽培認定を受けました。
◆ぼたんこしょうの特徴
ぼたんこしょうの果実は形や大きさはピーマンとよく似ており、未熟果は緑色ですが熟すと全体に赤く着色します。
果頂部(お尻の部分)が深くシワが入った複雑な形になっているのが特徴で、新潟県の神楽南蛮によく似ています。
神楽南蛮と並べてみるとよく似ているのがわかります。ぼたんこしょうの方がわずかですが肉厚です。
果肉はピーマンに似た食感や食味でほんのり甘味がありますが、種子が付いている胎座の部分に強い辛みがあるのが特徴です。
ただ、ぼたんこしょうは冷涼な高地に適した品種で、低地では辛くならないようです。
◆実際に食べてみたぼたんこしょうの食味
撮影試食したぼたんこしょうは千曲市産でした。切った時に神楽南蛮の時のような辛そうな唐辛子特有の香りはあまりなく、生のまま果肉をかじってみると辛味はほぼなく、ほんのり甘味が感じられ、美味しいピーマンといった印象でした。胎座の部分を食べてみるとここは流石に辛かったです。
選び方と保存方法や色々な食べ方は神楽南蛮と同じと考えていいでしょう。
神楽南蛮の選び方と保存方法や食べ方のページはこちら →
胎座の部分を取り除き、天ぷらにしてみました。これはとても美味しかったです。
次回は斑尾ぼたんこしょう保存会で作られた本場のものを試してみたいと思います。
●ぼたんこしょうの主な産地と旬
◆主な産地と生産量
ぼたんこしょうは長野県北部の中野市永江地区を中心に作られてきた唐辛子です。その周辺地域でも作られていますが、標高800m以下の所で作ると辛味が出にくいとされています。
◆ぼたんこしょうの収穫時期と旬
ぼたんこしょうの収穫時期は7月中旬頃から10月下旬頃までとなっています。
品種 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | ||||||||
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ぼたんこしょう |
< 出 典 >
※ 「農産物紹介 ぼたんこしょう」中野市ホームページ
※ 「信州の伝統野菜 ぼたんこしょう」広報なかの 2016.8 p.2-3