●バターナッツ・ロゴサ・ビオリーナとは
◆イタリアのHeirloom(家宝品種)
このカボチャは「ビオリーナ・ディ・ルゴサ」"Violina Di Rugosa"または「ロゴサ・ヴィオリーナ」"Butternut Rogosa Violina"などと呼ばれているイタリア南部が原産と推察されているHeirloom(家宝品種)で、日本的に言えば伝統野菜のようなもので、古くから作られてきた固定種です。
カボチャの分類でみると"Cucurbita moschata”、いわゆる日本南瓜の一種で、バターナッツ・スカッシュの近縁種と考えられています。
「ヴィオリーナ」という名称は、果実中央よりやや上部にくびれがあり、その形がヴァイオリンに似ていることに由来するようです。
◆バターナッツ・ロゴサ・ビオリーナの特徴
ロゴサ・ビオリーナの果実は長さ25~30cmほど、重さ1~2kgほどになり、一般的なバターナッツ・スカッシュよりも少し大きいです。また、縦にあまり深くはない条溝が入っており果皮表面は細かいシワが入っていてざらついているのが特徴です。
果肉はオレンジ色でバターナッツと同じように種のある空洞は下部の膨らんだ部分だけにあります。
●バターナッツ・ロゴサ・ビオリーナの主な産地と旬
◆主な産地と生産量
ロゴサ・ビオリーナはイタリアをはじめ、アメリカでも各地で作られているようです。ただ、こういったエアルーム(Heirloom)品種は形や大きさが揃いにくいなど大規模栽培には向かないと言われており、個々のオーガニックの農園などで小規模で作られていることが多く、一般にはあまり流通していないようです。
日本でも種が入手でき、家庭菜園をはじめ自然栽培農園などで作られていますが、まだあまり知られていないのではないでしょうか。今回入手したものは滋賀県のわっか農園さんで自然農による栽培で作られたものです。
●バターナッツ・ロゴサ・ビオリーナの選び方と美味しい食べ方と料理
◆選び方
このカボチャを選ぶ時も一般的なカボチャと同じように手に持った時にずっしりと重みを感じるものが良いです。そういったものの方が空洞が小さく肉厚です。また、軸の部分がしっかりと乾燥し、青みがなくなっているかも確認しますよう。果皮表面の黒ずみや汚れはあまり果肉にはほとんど影響しないと思います。
◆調理のポイント
ロゴサ・ビオリーナもバターナッツと同じように果肉はち密で繊維感があまりなく、加熱調理するととても滑らかな舌触りになります。ただ、栗南瓜のようなホクホク系ではありません。
風味的にはほんのりナッツ系の香りがあり、やさしい甘みがあります。クミンやナツメグ、クルミ、ピーカンナッツなどが合うほか、生クリームやチーズなどもよく合います。
◆イタリア・フェラーラ地方の郷土料理
イタリア北部、エミリアロマーニァ地方フェラーラの郷土料理にカボチャを詰めたラビオリのような”Cappellacci di zucca”カペラッチ・ディ・ズッカという料理があり、これにこのロゴサ・ビオリーナが用いられているそうです。
◆ロゴサのドーフィノワ
フランス料理で肉料理の付け合わせとして添えられるジャガイモのグラタン、ドーフィノワというのがありますが、それをジャガイモの代わりにロゴサで作ったもの。
まず、グラタン皿などにバターを塗っておき、皮をむいて薄めにスライスしたロゴサを綺麗に敷き詰め、塩胡椒を振る。好みでナツメグあるいはクミンなどを振っても美味しい。細切りにしたベーコンをその上に散らし、生クリームをひたひた位まで注いで、表面にチーズをのせ180度のオーブンで様子を見ながら30分ほど焼き上げるだけです。
◆ロゴサのポタージュ
バターナッツと同じように、ポタージュにしてもなめらかで美味しいです。