●紫ずきんとは

 ”紫ずきん”とは丹波黒大豆系を枝豆用に改良した京都府のオリジナル品種「紫ずきん」「紫ずきん2号」「紫ずきん3号」「紫ずきん4号」の総称であり登録された商標です。京都府が認定する「京のブランド産品」にも認定されているエダマメで、品種をリレーしながら9月中旬から10月下旬まで出回ります。

◆紫ずきんの来歴

 古くから京都の「丹波黒大豆」は正月のおせちに使われる黒豆としてその高い品質に定評がありました。ただ、「丹波黒大豆」は在来種であったため、個々の農家によって品質のばらつきも多く見受けられたため、見た目や食味の均一化を図るため、京都府農業総合研究所が1978(昭和53)年にそれらの中から選抜育種を行い「新丹波黒(京都1号)」と命名し、この栽培を奨励してきました。

 ちなみに、「丹波黒大豆」は兵庫県の丹波篠山も大きな産地であり、京都府と兵庫県でそれぞれがブランド化を進めています。

  近年、完熟豆の黒大豆だけでなく、それを未熟なうちに収穫し枝豆として食べるととても美味しいと注目されるようになるなか、10月にしか収穫できない「新丹波黒」よりも早く枝豆として収穫できる品種が求められていました。

 そこで京都府の研究機関が「京都1号(新丹波黒)」にガンマ線照射を行い、その後代を新丹波黒よりも早く収穫できる早生の枝豆用として選抜し育成した固定品種が「紫ずきん」です。1993年に種苗法に基づく登録を出願、1995年に品種登録されています。

京の丹波黒大豆 枝豆 紫ずきん

 それ以来「紫ずきん」は食味の良い丹波黒大豆系エダマメとしてブランド化がすすめられ、高い評価を得てきましたが、エダマメの需要が多き9月中旬に出荷でき、さらにダイズモザイクウイルスに強い品種も求められ、次はこの「紫ずきん」に「玉大黒」を交配し育成されたのが極早生種の「紫ずきん2号」で、2006年出願、2008年に品種登録されています。

 その後、「紫ずきん」がダイズモザイクウイルスに対する抵抗性が弱いことから、これを克服するため京都府農林水産技術センタ一生物資源研究センタ ーにおいて「紫ずきん」と、このウイルスに抵抗性が強い「紫ずきん2号」の交配を何度も重ね「紫ずきん3号」が誕生。2015年に品種登録されています。

 さらに、一番晩生の「新丹波黒」もこのウイルスに弱いため、同じ時期に収穫できる品種を目的に、「新丹波黒」と、大粒で食味がよく、ウイルスに抵抗性がある「玉大黒」を交配し、得られた系統にさらに「新丹波黒」を交配することを重ね「紫ずきん4号」が生み出されました。これが2016年に品種登録されています。

 これらにより、9月から10月にかけてリレーしながら長期間にわたり”紫ずきん”シリーズを出荷できるようになりました。いずれも品種名ではなく、JAの登録商標である”紫ずきん”として出荷されています。

 この”紫ずきん”という名称は豆の薄皮が薄紫色をしていることや、豆の形が頭巾のようであることに因んでいます。

 ”紫ずきん”は品質・規格が統一され、京都府の「京のブランド産品」にも認定され、全国に出荷されています。

京の丹波黒大豆 枝豆 紫ずきん

◆紫ずきんの特徴

 ”紫ずきん”のエダマメは基本的には4種ともサヤの形や大きさ、豆の食味などに大きな違いはないようです。

 サヤは黄緑色で、毛は金色にも見える赤茶色で、一サヤに入っている豆は1~2粒のものが多い。

京の丹波黒大豆 枝豆 紫ずきん

 豆の大きさは一般的な枝豆に比べ大きく、サヤが大きく膨らんでいます。茹でた豆の色は薄皮がうっすらと紫色で、モチモチした食感とコクのある甘みが特徴です。

京の丹波黒大豆 枝豆 紫ずきん

 農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。

『-----

「紫ずきん」

 若莢の色は緑、長さは長、幅は広、熟莢の色は暗褐、着莢密度は中、多粒莢率は低、湯煮(ブランチング)後の莢色は緑、粒の大小は極大、種皮の色は黒、粒の子葉色は黄、粒形は偏球、粒の光沢は弱、臍の色は黒である。

 「新丹波黒」と比較して、主茎長が短いこと、主茎節数が少ないこと等で区別性が認められる。

「紫ずきん2号」

 若莢の長さは長、莢数は少、熟莢の色は濃である。種皮の単色・複色の別は単色、地色は黒、粒の子葉色は黄、子実の形は扁球、臍の色は黒、大きさ(一般群)は中である。開花期及び成熟期は中、生態型は中間型である。ダイズモザイクウイルス抵抗性A、B、C及びD系統は抵抗性である。

 「紫ずきん」と比較して、生態型が中間型であること、ダイズモザイクウイルス抵抗性A、B、C及びD系統に抵抗性であること等で、「玉大黒」と比較して、花色が紫であること等で区別性が認められる。

-----』以上、抜粋。

●紫ずきんの主な産地と旬

京の丹波黒大豆 枝豆 紫ずきん

◆主な産地と生産量

 ”紫ずきん”の4品種はいずれも京都府のオリジナル品種として、京都府内に産地が限定されています。

 2023年は京都府内で約50ヘクタールで栽培され、収穫量は猛暑の影響などにより約76トンほどと、2022年の6割ほどになりそうとのことです。

◆紫ずきんの収穫時期と旬

 ”紫ずきん”は9月上旬頃から10月下旬にかけて品種をリレーしながら収穫・出荷されています。

 出荷が多い旬の時期は9月中旬から10月中旬にかけてで、エダマメとしては晩成種に当たります。

品種 9月 10月
紫ずきん2号            
紫ずきん            
紫ずきん3号            
紫ずきん4号            
新丹波黒            

< 出 典 >

※ 「京のブランド産品「紫ずきん」シリーズの育成と普及」京都府農林水産技術センター 古谷規行

※ 「丹波黒大豆系エダマメ品種「紫ずきん2号」の特性」京都府農業資源研究センター・応用研究部 成果情報 農研機構

※ 「丹波黒大豆系エダマメ新品種”紫ずきん3号”の育成」園芸学研究 14巻 4号 p.403-408 2015年10月

※ 「黒大豆系エダマメ新品種”紫ずきん4号”の育成 」園芸学研究 21巻 3号 p.367–371 2022年 J-STAGE

※ 「京の秋の味覚「紫ずきん」 黒大豆枝豆が収穫最盛期」両丹日日新聞 2023年10月04日

※ 「登録番号4715 紫ずきん」「登録番号17081 紫ずきん2号」「登録番号23850 紫ずきん3号」「登録番号25185 紫ずきん4号」農林水産省品種登録データベース