●あまはづきとは

 「あまはづき」は農研機構が「からゆたか」を母、「谷05100‐172」を父とする交配から育成した、低温糊化性でん粉を持つサツマイモの新品種です。焼き芋にすると一般的なサツマイモよりも低い温度帯からでん粉の糊化が進むため、長期貯蔵せずとも甘くネットリとした焼き芋になるのが特徴です。

◆あまはづきの来歴

 「あまはづき」は、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が中日本農業研究センター(茨城県つくば市)において、早期肥大性でごく多収の「からゆたか」に、早掘り栽培でも多収の「谷05100‐172」を交配し育成されたサツマイモ品種で、2021年に登録出願、2024年に品種登録されています。

 名称「あまはづき」は、一般的なサツマイモより早い8月(葉月)に収穫できることと、甘味が強くおいしいことに因んで命名されたそうです。

 「あまはづき」は2022(令和4)年から、茨城県を中心に民間種苗会社等を通じて苗の供給が開始されており、長い貯蔵期間を経ずとも甘く美味しく食べられることから大きな注目を集め、生産者が急増しているようです。

あまはづき アマハヅキ さつまいも

◆あまはづきの特徴

 「あまはづき」のイモは、外見的には「ベニアズマ」など一般的なサツマイモとほぼ同じで見分けることは困難ですが、「ベニハルカ」などより肉色が黄色く濃いのが特徴です。

 また、「あまはづき」は肉質がねっとり系と呼ばれるタイプで、糖度がきわめて高く、特に早掘り栽培においても顕著であることが特徴となっています。

あまはづき アマハヅキ さつまいも

 栽培特性としては標準栽培での収量が「べにはるか」よりやや多いこと、サツマイモネコブセンチュウ抵抗性が強く、つる割病抵抗性と黒斑病抵抗性もやや強い、複合病虫害抵抗性品種となっており、栽培しやすいのも特徴です。

 ただ、貯蔵性が低いため長期貯蔵には向かないようです。

◆実際に食べてみたあまはづきの食味

 あまはづきをオーブンで焼き芋にして食べてみました。使用したのは10月中旬に購入した滋賀県産の2本です。

 焼成温度は120度で90分、その後220度にあげて40分ほどです。

あまはづき アマハヅキ さつまいも

 焼きあがった「あまはづき」は柔らかく、焼く前に半分に切った方は断面から蜜が染み出し、鉄板の上で飴状になっていました。食べてみると食感はネットリととても柔らかく、繊維感もあまりなく、強い甘みが広がりました。皮も薄く、一緒に食べても気にならなずとても美味しい焼き芋になりました。ねっとり感では「べにはるか」より勝っていました。

●あまはづきの主な産地と旬

◆主な産地と生産量

 あまはづきの栽培は2022年から茨城県を中心に始まりましたが、既に各地のサツマイモ産地の生産者でも話題となり栽培が広がっています。

◆あまはづきの収穫時期と旬

 収穫時期は通常栽培では5月上旬~6月中旬に植え付けて120~150日後の10月中旬から11月上中旬にかけて収穫されます。一方、早掘り栽培では4月下旬ごろから植え付けを開始し、100~120日となる8月上旬から9月上旬という早い時期収穫されるのですが、本種はこの早掘り栽培においても食味が良いことから、直売所などでは暑い夏の8月中旬頃から並び始めるところもみられるでしょう。

 本種の特性上、長期保存には向いていないので美味しい状態のイモが出回るのは年明けの1月中くらいまでではないかと思われる。

品種 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
あまはづき                        

< 出 典 >

※ 「8月の収穫直後から甘いサツマイモ新品種「あまはづき」」農研機構

※ 「登録番号30266 あまはづき」農林水産省品種登録データベース