●あじめこしょうとは

 「あじめこしょう」は岐阜県の中津川市で古くから栽培されてきた細長い形をした辛い唐辛子の在来種で「飛騨・美濃伝統野菜」のひとつです。辛さは韓国唐辛子の5倍ほどもあり、熟した赤い物よりも青い物の方が絡みが強く、赤い方は旨味が多くなっています。

◆あじめこしょうの来歴

 「あじめこしょう」は岐阜県の中津川市下野地区で約400年前から栽培されてきたとされる辛い唐辛子の在来種です。地区の農家は主に自家用に栽培し軒先に提げて乾燥保存させたものを漬物に加えたり、殺菌・防虫効果を利用していろいろな事に使っていたそうです。

 名称は果実のくねくねとした細長い形が付知川に棲む「アジメドジョウ」に似ていることにちなんでいます。

 1999年に地元の有志が「好辛倶楽部」を結成し、「あじめこしょう」を全国に発信し始めるようになり、この唐辛子が広く知られるようになりました。

 2002年に岐阜県の「飛騨・美濃伝統野菜」にも認定され、この地の特産品として様々な加工食品も作られています。

◆あじめこしょうの特徴

 「あじめこしょう」の果実は細長い形で長いものだと15cmほどにもなります。未熟なうちは緑色で、熟すと全体に赤くなります。ヘタの部分がキャップのような形になっています。

飛騨・美濃伝統野菜、あじめこしょう 辛唐辛子

 そして、大きな特徴として、これはとても辛い唐辛子であることです。辛さの成分であるカプサイシンの含有量は韓国唐辛子の約5倍だそうです。

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 一見、赤い唐辛子の方が辛そうに思うかもしれませんが、あじめこしょうは赤く熟したものよりも未熟な青い物の方がカプサイシンが多く辛みが強く、熟すとカプサイシンは減りますが、旨味となるアミノ酸が増えることが分かっています。(※カネマス福丸屋さん)

 「あじめこしょう」はとても辛い唐辛子であるとともに旨味も多い唐辛子なのです。

◆あじめこしょうの料理用途

 「あじめこしょう」の食べ方としては、収穫されてすぐの生のものは、青い物、赤い物いずれも、そのまま素焼きして醤油などをつけて食べる他、炒め物に加えたりもします。ただ、とても辛いので加える量は注意が必要です。

 また、細かく刻んで油で炒め、味噌と合わせた南蛮味噌にもぴったりです。

 赤く熟したものは乾燥保存にも向いており、これは鷹の爪と同じ使い方をします。漬物に加えたり、タケノコなどのアク抜き時に加えたり、また、アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノにしても美味しいです。

●あじめこしょうの主な産地と旬

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◆主な産地と生産量

 「あじめこしょう」は岐阜県中津川市下野地区に伝わる伝統野菜で、現在もこの地区を中心に栽培されています。

 現在では特産品として様々な加工品も作られるようになり、生産量は数トンあるようですが、個々の農家が少量ずつ作っている部分も多く全量は把握できないようです。

◆あじめこしょうの収穫時期と旬

 アジメコショウの収穫時期は7月ごろから青唐辛子として収穫が始まり、熟したものが11月初旬辺りまで続きます。

 9月中旬頃から11月にかけては赤く熟したものを乾燥させたものも出回ります。

品種 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
あじめこしょう                        

< 出 典 >

※ 「唐辛子「あじめコショウ」について」特産種苗 第20号 p.38 公益財団法人 日本特産農作物種苗協会

※ 「あじめコショウとは」有限会社 カネマス福丸屋

※ 「飛騨・美濃伝統野菜」岐阜県