キクラゲ(木耳/きくらげ) < キノコ

生キクラゲ(木耳/きくらげ)

●キクラゲの概要と特徴

◆キクラゲとは

分類:キクラゲ目 > キクラゲ科 > キクラゲ属 > キクラゲ

学名:Auricularia auricula-judae (Bull.) J.Schröt.

英名:Jew's Ear Fungus 仏名:oreille de Judas

中国名:木耳

和名:きくらげ

 キクラゲと呼ばれるキノコはキクラゲ科キクラゲ属に分類される「キクラゲ」や「アラゲキクラゲ」、それにシロキクラゲ科シロキクラゲ属の「シロキクラゲ」があります。

 キクラゲは中国料理などではお馴染みの食材ですが、普段乾燥させたものを使う機会の方が多いのではないでしょうか?そのせいか、若い人たちの中にはキクラゲがキノコだとは知らない人もしばしば見受けられます。

 このキノコは世界中に分布しており、日本をはじめ中国や韓国で食用とされていますが、他の国ではあまり食用とはされてこなかったようです。気温が下がる冬以外にニワトコやケヤキなどの広葉樹林にみられ、枯れ木や切り株などに生えています。

◆ヨーロッパやアメリカでの名前は「ユダの耳」?

 キクラゲは漢字で「木耳」と書き、木の耳とされていますね。ところがヨーロッパやアメリカなどでは「ユダの耳」と呼ばれています。このユダって?

生キクラゲ(木耳/きくらげ)

 「ユダ」はあのイエスキリストの使途で、裏切ったのちニワトコの木で首をつり死んだと言われています。その死後、その木から耳の形をしたキノコが出てきたので、「ユダの耳」と呼ばれるようになったそうです。ユダはユダヤ人でもあり、宗教的な面もあってか、ユダもしくはユダヤ人の耳と呼ばれています。だから食用という考えはないのでしょう。

◆黒いキクラゲと白いキクラゲ

 一般的な黒や茶色い物が「キクラゲ」や「アタゲキクラゲ」、それに突然変異の「白いきくらげ」のほか、もともと白いシロキクラゲ科シロキクラゲ属の「シロクキラゲ」などがあります。

 基本的にはいずれも同じように食べることができます。

◆キクラゲの特徴

 キクラゲは茶褐色から黒に近い濃い褐色で、形は耳のような形のものが多いですが椀型のものやフリル状になっているものなど多様です。

生キクラゲ(木耳/きくらげ)

 肉質はゼラチン質で、乾燥すると硬く縮み、雨に濡れると水分を含んで膨らみ、やや透明感がでます。食感は「キクラゲ」の方が柔らかく、「アラゲキクラゲ」は硬めで、「キクラゲ」よりも裏側?の細毛が長めでビロードのような感じになっているものが多いです。

 栽培されているものの大半は「アラゲキクラゲ」だそうです。

●キクラゲの主な産地と旬

◆主な産地と生産量

生キクラゲ(木耳/きくらげ)

 天然の「キクラゲ」は高山帯のブナ林などに多く、それに対し「アラゲキクラゲ」は低山帯や平地の広葉樹に多くみられます。日本では北海道から九州沖縄に至るまで各地に自生していますが、流通している物のほとんどは栽培されているものです。

 キクラゲ類の栽培は各地で行われており、年々増加傾向にあります。令和4年産で見ると生キクラゲは全国で1,683トンで、主な産地は熊本県、福島県、岐阜県などとなっています。

全国の生キクラゲの生産量

一方、乾燥キクラゲの生産も増えてはきており、全国で131トン(乾燥重量)で、主な産地は大分県、鳥取県、大阪府などとなっています。

全国の乾燥キクラゲの生産量

 また、乾燥キクラゲは輸入されている物がほとんどで、この同じ令和4年で見ると、乾燥キクラゲの輸入量は2488トンもあり、そのうち99.6%(2477トン)は中国からとなっています。国産の割合は5%ほどとなっています。

◆キクラゲの収穫時期と旬

 キクラゲの適温は25℃~30℃と高く、地域によりますが早いところで4月頃から採れ始め10月頃まで採れます。旬の時期は6月から9月の夏です。

 栽培物はほぼ通年出回ります。

品種 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
キクラゲ                        

< 出 典 >

※1 よくわかるきのこ大図鑑 小宮山勝司著 永岡書店 p.196-197

※2 きのこ検定 公式テキスト p.56

※3 かしこく選ぶ・おいしく食べる 野菜まるごと事典 成美堂出版 p.161

※4 「きのこの雑学・あらげきくらげの雑学」株式会社キノックスホームページ

※5 「きのこ採り⑬ キクラゲ・ヤマブシタケ」森と水の郷あきた あきた森づくり活動サポートセンター