◆入善ジャンボ西瓜の来歴
1887年(明治20)年頃 黒部川を挟んだ対岸の扇状地、荻生村(現黒部市)の結城半助氏がアメリカの種苗店から導入した楕円形の大型スイカ「ラットルスネーク種」の栽培をはじめ、これがこの地に適していることが判明。当初は「荻生西瓜」と呼ばれていました。
1897(明治30)年頃 入善町でも導入が始まる。
1909(明治42)年 黒部川にちなんで「黒部西瓜」に改称され、大正時代にかけて生産規模が拡大。日本屈指の産地に成長。
昭和に入り、戦争の影響や、丸い大和西瓜の人気に圧され栽培が縮小。
1971(昭和46)年 栽培技術の共有や品質の向上を図るため「入善町黒部西瓜生産組合」が誕生。
1982(昭和57)年 西瓜の名称を「入善ジャンボ西瓜」に改称。それに合わせて品質管理の徹底と町の特産品振興を目的に組合名も「入善町ジャンボ西瓜生産組合」となった。
2017(平成29)年 12月15日 地理的表示(GI)保護制度に登録。
入善町の入善ジャンボ西瓜は明治30年頃から栽培が始まり、120年以上の間作り続けるとともに、時代に合わせて栽培方法の研究や品種改良が行われ、現在の大きいのに甘く美味しいスイカとしてこの地の特産品として地理的表示(GI)にも登録されるに至っています。
◆入善ジャンボ西瓜の栽培方法
入善町は黒部川の扇状地にあり、 水はけが良くそれでいて豊富な湧水に恵まれた環境の中育てられます。
入善ジャンボ西瓜は接木苗ではなく、種から育成した実生苗で栽培されます。圃場は連作障害を避けるため、その年に収穫した畑は6~10年もの間西瓜は作れません。その間は水田などに使用されます。
西瓜を大きく育てるため、一株から収穫する西瓜を最大2個までとし、残す実以外は全て摘果し栄養を集中させています。
◆入善ジャンボ西瓜の出荷姿
入善ジャンボ西瓜はその大きさだけでなく、「さん俵」で梱包されたユニークな荷姿でも知られています。
「さん俵」とはもともと米俵の両端に蓋をするために作られる藁(わら)でできた円盤状の蓋を意味する言葉ですが、入善ジャンボ西瓜は稲の藁(わら)で編まれた草鞋(わらじ)のような楕円形の受け皿(さん俵)で横向きに置いた西瓜を挟むように藁縄で縛って出荷されます。
これによって大きく重い西瓜を持ちやすく、そして割れないようにクッションの役割も持っています。
◆入善ジャンボ西瓜の特徴
入善ジャンボ西瓜は平均で長さ約40センチ、直径は約30センチ、重量は平均15kg~18kgという日本では一番大きなスイカとして知られています。写真のものは2Lサイズで15.5kgあります。大きなものだと30kg近い物も出ることがあるそうです。収穫後の果実重量が9kg以上のものしか入善ジャンボ西瓜という名称では出荷されません。
スイカの形はラグビーボールのような長楕円形で緑の地色に緑暗色の縦縞が入っています。
皮は大玉故やや厚く、果肉はサクサクとした歯ごたえがありみずみずしくさっぱりとした上品な甘味が持ち味となっています。
◆実際に食べてみた入善ジャンボ西瓜の食味
撮影試食したものは8月2日にJAみな穂から届いた2Lサイズ15.5kgのものです。
これだけ大きいにもかかわらず果芯に空洞もなくしっかり果肉が詰まっていました。
食感もサクッとした優しい歯触りで、甘味もしっかりとありスイカらしい味わいが堪能できました。大勢でワイワイと切り分けて食べることでより一層楽しく美味しく食べられること間違いなしといった印象です。
●入善ジャンボ西瓜の主な産地と旬
◆入善ジャンボ西瓜の地理的表示(GI)と生産量
入善町ジャンボ西瓜は富山県下新川郡入善町だけで作られており、それ以外の地域で同じようなスイカが作られたとしてもこの名称で出荷することはできません。
これは2017(平成29)年に農林水産省の地理的表示(GI)保護制度に登録されており、その栽培地域や栽培方法などが決められています。
2016~2020年(令和2)年の時点で作付面積は4.1haで、生産数は2016年度で7,846個、2018年度の出荷量は151tとなっています。
◆入善ジャンボ西瓜の収穫時期と旬
入善ジャンボ西瓜の収穫時期は7月中下旬から8月上旬で旬はその時期です。
品種 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | ||||||||
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入善ジャンボ西瓜 |
< 出 典 >
※1 「入善ジャンボ西瓜」入善町ホームページ
※2 「入善ジャンボ西瓜」JAみな穂ホームページ
※3 「入善ジャンボ西瓜」地理的表示産品情報発信サイト(農林水産省)
※4 「富山の食材 西瓜」 越中とやま食の王国(富山県農林水産部農林水産企画課)