●夏そよかとは
「夏そよか」は鳥取県が育成した、果実が大玉で扁円形、果皮の色が黄緑の青梨オリジナル品種で、「夏さやか」「えみり」「涼月」「新甘泉」とともに2008年に品種登録された5品種の一つです。ただ、生産者が非常に少なく希少品種となっています。
◆夏そよかの来歴
鳥取県園芸試験場において平成元年より新品種開発を目的に「おさ二十世紀」をもとに様々な交配が行われ、約2万粒の実生から選抜を繰り返し、青ナシは「なつひめ」をはじめ5品種、赤ナシは「新甘泉」と「秋甘泉」の2品種が育成され品種登録されていますが、「夏そよか」はその中の一つで、「おさ二十世紀」に「秀玉」を交配して育成されたものです。
2006年に種苗法に基づく登録出願、2008年に「夏さやか」「えみり」「涼月」とともに品種登録されています。
◆夏そよかの特徴
「夏そよか」の果実は果重350~400gで、果形はどっしりとした扁円形のものが多く、果皮色は黄緑色の青ナシ品種です。果肉は果汁が多く、糖度は12度ほどで、独特の香りがあるのが特徴です。
農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。
『-----
果実の形は扁円、梗あの深さ、広さ、ていあの深さ及び広さは中、有てい果の有無は有、果実の大きさは大、
果皮の色は黄緑、果点の大きさは中、密度は密、果面の粗滑はやや滑、
果梗の長さは短、太さは太、肉梗の有無は有、果芯の形は短紡錘、大きさは中、
果肉の色は白、硬度は中、粗密はやや密、甘味は中、酸味はやや強、果汁の多少は多、種子の大きさは中、形は卵である。
開花始めはやや晩、成熟期はやや早で育成地においては8月下旬、裂果は無である。「ゴールド二十世紀」と比較して、果実が大きいこと、果梗が短いこと等で区別性が認められる。
-----』以上、抜粋。
◆実際に食べてみた夏そよかの食味
撮影試食した「夏そよか」は鳥取県鳥取市のスクスク農場さんから取り寄せたもので、果重500gほどありました。
どれも果梗が肉梗になっていました。これは本種の特性でもあります。果実は直径に対して低くどっしりとした形で、「秀玉」の特性を受け継いでいる事がうかがわれます。
食べてみると果肉はサクッと軽い歯触りで果汁が広がり、甘味と共に酸味もあり、すっきりとした味わいでした。計った糖度は11.7~12.9%でした。
●夏そよかの主な産地と旬
◆主な産地と生産量
「夏そよか」は鳥取県のオリジナル品種で、栽培は鳥取県内に限定されています。本種は同時期にデビューした7品種の中でも目立たない存在で、名前が似ていて紛らわしい「夏さやか」の方がまだ多く作られており、「夏そよか」の栽培面積は記録さえありません。
今回取り寄せたスクスク農場さんによると、『生産者は全国でまだ当園のみ』と紹介されています。
◆夏そよかの収穫時期と旬
夏そよかは8月下旬に成熟するやや早生種となっています。すくすく農場での収穫は9月中旬からとなっています。
品種 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | ||||||||
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夏そよか |
< 出 典 >
※ 「鳥取を担うナシ新品種の育成」鳥取県園芸試験場
※ 「鳥取県のナシのニューフェイス」鳥取二十世紀梨記念館なしっこ館
※ 「登録番号16030 夏そよか」 農林水産省品種登録データベース
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