■古都華/ことかとは?
●古都華(ことか)の来歴
古都華(ことか)は奈良県が育成系統「7-3-1」に「紅ほっぺ」を交配し育成した「あすかルビー」に次ぐ県のオリジナルイチゴ品種で2011年に品種登録されています。育成の過程は下記のとおりです。
2002(平成14)年 奈良農総センターにおいて当センターが育成していた「7-3-1」を子房親とし、それに「紅ほっぺ」を花粉親として交配。得られた実生600株を養生。
2003(平成15)年 1個体を選抜し、系統名を「14-26一1」として促成栽培を始める。
2004(平成16)年 「14-26一1」のランナー苗5株を促成栽培開始。
2005(平成17)年 「14-26一1」のランナー苗10株を促成栽培に供し特性検定及び生産力検定開始
2006(平成18)年 現地適応性検定開始。
2009(平成21)年 「古都華」と命名し、種苗法に基づき登録出願。
2011(平成23)年 品種登録完了。
ここで用いられた「7-3-1」という系統は「さちのか」を子房親、とし、そこに「アスカウェイブ」を子房親、「女峰」を花粉親として生まれた系統の花粉を交配し生まれた系統だそうです。
奈良県のイチゴといえば「あすかルビー」が有名ですが、それから10年ごしのオリジナル新品種となっています。
非常に品質が良く、見た目の色形も良いので「あすかルビー」よりも高い値で取引されています。
●古都華/ことかの特徴
古都華の果実の大きさは大果にはならない傾向にあるようです。
特に目に付くのは外観で、艶のある美しい紅色の表面と、均整がとれた綺麗な円錐形の形です。この品種は乱形果率が他の品種と比較して特に小さいようです。
果肉の色は中心部を除いて薄い赤で、中心部には少し空洞ができる物がありますが、それ程大きな空洞ではありません。
果肉は硬めでしっかりとしており、甘味とその奥に感じる酸味とで厚みのある美味しさが感じられます。
農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。
『-----
果実の大きさはやや小、果実の縦横比はかなり縦長、果実の形は円錐形、
果皮の色は赤、果実の光沢の強弱は強、そう果の落ち込みは果皮並、
果実のがく片の付き方は上向き、果径に対するがく片の大きさはやや大、
果実の硬さはかなり硬、果肉の色は橙赤、果心の色は白、果実の空洞は無又は小、
季性は一季成りである。
出願品種「古都華」は、対照品種「アイストロ」と比較して、頂小葉の縦横比が縦長であること、可溶性固形物含量が極高であること等で区別性が認められる。
対照品種「さちのか」と比較して、葉の表面の光沢の強弱が中であること、果心の色が白であること等で区別性が認められる。
-----』以上、抜粋。
●古都華の主な産地と生産量
古都華は奈良県のオリジナル品種で、現在まだた府県への利用許諾は出ていません。
奈良県ではその後も「珠姫」や「奈乃華」「ならあかり」と新品種が次々登場していますが、その他にも「パールホワイト」や「コットンベリー」「真珠姫」などの白いちごも登場しています。その中でも「古都華」は非常に人気が高く、これまでの主要品種だった「あすかルビー」からの転換が進んでおり、2023年の時点でほぼ同じ位になっているようです。
<出 典>
※ 「イチゴの新品種‘古都華’の育成とその特性」奈良県農業総合センター研究報告第41号 (2010年 3月)
※ 「登録番号21164 古都華」農林水産省品種登録データベース
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