「ならあかり」の来歴や特徴と産地と旬

●ならあかりとは

　「ならあかり」は奈良県が「アスカルビー」「古都華」「珠姫」「奈乃華」に続き2021年に品種登録出願した奈良県のオリジナルイチゴの新品種です。

◆ならあかりの来歴

　「ならあかり」は奈良県農業研究開発センターにおいて「古都華」をベースに「とちおとめ」と「かおり野」を交配し育成された11 月下旬から収穫でき、食味と果実揃いが良いイチゴ新品種です。育成の過程は下記のとおりです。

2011（平成23）年　種子親に「古都華」、花粉親に「とちおとめ」を用いて交配、得られた実生から系統「23-1-33」を選抜。

2012（平成24）年　種子親に「古都華」、花粉親に「かおり野」を用いて交配、得られた実生から系統「24-5-C」を選抜。

2014（平成26）年　系統「23-1-33」に系統「24-5-C」を交配。実生4,500株を育成。同年9月から翌2015年3月にかけ促成栽培に供して選抜。

2015（平成27）~2016（平成28）年　促成栽培において生食用イチゴとしての実用形質を調査。

2016（平成28）~2021（令和3）年　現地適応性検定試験に供試。

2020（令和2）年　系統名を「奈良 11 号」とする。

2021（令和3）年　公募により名称を「ならあかり」とし、種苗法に基づく品種登録出願。

2024（令和6）年　3月の時点でまだ検定中。

◆ならあかりの特徴

　「ならあかり」の果形は円錐形で揃いがよく、果皮は光沢のある赤色で、果肉は淡紅色となっています。糖度は高めで、「アスカルビー」より高く、「古都華」を超えない程度、酸度は「アスカルビー」や「古都華」よりやや低く、果肉の硬さはは「古都華」と同じくらいとなっています。

　農林水産省の品種登録データベースには2024年３月現在、まだ検定中で登録されていないため特性の記載はありません。

◆実際に食べてみたならあかりの食味

　撮影試食した「ならあかり」は3月2日に旬の駅イオンモール橿原店にて購入したもので、１パック530円（税込）でした。 果粒は15~20ｇほどで、よくあるいちごが２段に詰められたパックです。上の段は見栄えが良い大きめで良く着色したものが詰められていましたが、下段は粒が小さく、上部がまだ赤くなっていないものが詰められていて少しがっかりしましたが、新品種の「ならあかり」がこの価格ならある意味納得。

　肝心の食味はというと、粒が大きめでしっかりと着色している粒は、果肉の食感がしっかりとしていて柔らかくはないのですがそれでいて硬すぎず、香りもとても良いです。

　甘さも十分で、程よい酸味も感じられ、全体にとてもバランスが良い味わいでした。

　粒が小さく、まだ白い部分が残っている物はやはり少し食感も硬く、甘味も先のものに比べると少ないですが、それでもよくあるハズレのイチゴのような事はなく、そこそこ美味しかったです。

　新しい品種なのでまだ出回る数が少なく、色々食べ比べる事は出来ていませんが、とともった円錐形で艶のある赤い外見と、しっかりとした甘さとバランスの良い酸味から、高いポテンシャルは感じられました。

　ただ、消費者の目線では「古都華」のインパクトが強いだけに、それを超えるイチゴかと問われると・・・。

●ならあかりの主な産地と旬

◆主な産地と生産量

　「ならあかり」は奈良県が育成したオリジナル品種なので、2024年現在、栽培地は奈良県内に限られています。

　まだ新しい品種という事で栽培面積はそう多くはなく、市場に出回っている量も少ないですが、今後徐々に増えてくるでしょう。

◆ならあかりの収穫時期と旬

　「ならあかり」は「アスカルビー」や「古都華」よりも早い11月から12月にかけての収穫量が多いのが特徴で、クリスマスの需要に対応できる品種となっています。

品種	1月	2月	3月	4月	5月	6月	7月	8月	9月	10月	11月	12月
ならあかり

＜ 出　典 ＞

　※　「奈良県育成のイチゴ「奈良11号」が「ならあかり」として品種登録出願公表されました」奈良県 農業水産振興課

　※　「イチゴの品種「ならあかり」の栽培技術指針」奈良県

　※　「収穫開始時期が早く、果実揃いが良いイチゴの新品種「ならあかり」」2021年度(令和3年度)野菜推進部会 研究成果情報 農研機構

　※　「出願番号　35648」　農林水産省品種登録データベース