奈乃華(なのか):来歴や特徴と産地や旬

 「奈乃華」は奈良県が育成し2020年に登録出願されたばかりのオリジナルイチゴ新品種です。

●奈乃華(なのか)とは

◆奈乃華の来歴

 「奈乃華」は奈良県農業研究開発センターにおいて同センター育成系統に「古都華」を交配し、得られた実生から育成選抜されたイチゴ新品種で、育成の過程は下記の通り。

2013(平成25)年 同センターが「さちのか」と「とちおとめ」を交配して得られた「系統 22-19-1」に「古都華」を花粉親として交配

2014年から 2015年 促成栽培において生食用イチゴとしての実用形質を調査。

2015年から2020年 特性検定と生産力検定、および現地適応性検定実施。

2019(令和元)年11月 名称を「奈良10号」とする。

2020(令和2)年 3月から4月にホームページ等で名称を募集。

2020年 「奈乃華」と命名し8月に種苗法に基づく登録出願、11月出願公表。

 名称は『奈良に咲く華』をイメージして付けられたとのことで。応募があった988点から選ばれたそうです。

 奈良県のオリジナル品種としては「アスカルビー」「古都華」、そしてこれより1年前に出願された「珠姫」に次ぐ4種目となります。

◆奈乃華の特徴

 「奈乃華」の特徴は奈良県のホームページによると

〇糖度・酸度が比較的高く、バランスが良い。

〇4月以降の食味も良好。

〇果皮は光沢があり、赤色。果肉は淡紅色。

〇果実は円錐形で大きい。

〇果皮・果肉ともに適度な硬さ

となっています。

いちご 奈乃華(なのか)の断面

 育成した奈良県農業研究開発センターの特性検定による結果は以下の通り。

『形は円錐形であり、果皮は光沢のある赤色で擦れに強く、果肉は淡紅色である。硬度は「アスカルビー」より収穫期間を通して高く、「古都華」よりも高い傾向にある。糖度は収穫時期による変動が大きく、2 月から 3 月にかけて低下するが、「アスカルビー」と比べて 4 月以降は顕著に高くなる。酸度は4月以降いずれの品種よりも高い傾向にある』

 農林水産省の品種登録データベースにはまだ検証中のため特性の記載はされていません。

◆実際に食べてみた奈乃華の食味

 撮影試食した「奈乃華」は奈良県橿原市にある直売所まほろばキッチンで4月10日に購入しました。

いちご 奈乃華(なのか) いちご 奈乃華(なのか)

 やや粒が大きいものと小さめのものとを食べてみましたが、いずれも果形は円錐形で整っているものが多く、全体に綺麗に赤く色付いていました。

 食べてみると、強い甘みと共に酸味もしっかりとあり、厚みのある味わいでした。計ってみた糖度は14度を超えていました。

 イチゴの色がやや濃く、中の果肉自体も赤色が濃いめで、ピューレやジャムにすると赤色が濃くでます。食味的にも甘味酸味がしっかりとあり製菓用途にもお勧めです。

●奈乃華(なのか)の主な産地と旬

◆主な産地と生産量

  「奈乃華」は奈良県のオリジナル品種として奈良県内でのみ栽培出荷されています。

 生産量はまだ品種登録も完了していない新しい品種なので少ないですが、今後増えてくるでしょう。

◆奈乃華の収穫時期と旬

 「奈乃華」の収穫は12月上旬から始まり5月上旬頃まで続きます。特性調査の結果を見ると、糖度的には1月中旬から下旬にかけて高く、2月から3月は下がってしまい、4月になってまたぐんと高くなっています。ただ4月になると果実の硬度が下がり、酸度も高くなる傾向があります。

品種 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
奈乃華                        

< 出 典 >

 ※ 「奈良のイチゴ 奈乃華のプロフィール」奈良県ホームページ

 ※ 「イチゴの品種「奈乃華」の栽培技術指針」奈良県農業研究開発センター

 ※ 「出願番号 第34891号 奈乃華」 農林水産省品種登録データベース

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奈良県のオリジナル品種