■サツマイモ(薩摩芋/さつまいも)とは
●ヒルガオ科サツマイモ属
(英)Sweet potato(仏)Patate
サツマイモ(薩摩芋/さつまいも)はヒルガオ科の植物の肥大した根の部分で、甘藷(かんしょ)とも呼ばれ、原産地は中米ですが、今では世界中の生産の約9割がアジアで作られています。ある程度暖かいところで取れるので、日本では西日本が中心です。
ヒルガオ科だけに、そっくりの花が咲きます。とは言っても、本州ではめったに咲くことはなく、咲いてもほとんど受粉せず種が出来ません。
●中国から伝わったから「唐芋」→薩摩藩から伝わったから「薩摩芋」
日本には原産地の中米からではなく、中国を経由して伝わってきました。最初は1604年に琉球に伝わったとされています。その後100年近く経ってから種子島に伝わり、1700年代初めに薩摩藩が栽培を始めるようになりました。琉球や鹿児島など九州各地では中国から伝わってきた芋と言う事で「唐芋(からいも)」と呼ばれるようになりました。
そして1732年の「享保の大飢饉」が西日本を襲います。そんな中サツマイモが一気に注目を集める事となり、江戸幕府の目にとまり徳川吉宗によって起用され、青木昆陽らによって江戸にも広まったとされています。なので、関東では薩摩藩から伝わった芋なので「薩摩芋(さつまいも)」と呼ばれるようになったようです。
●薩摩焼酎の原料にも
鹿児島ではサツマイモが伝わった江戸時代から芋焼酎が盛んに作られるようになりました。鹿児島と言えば「芋焼酎」と言うほど浸透し、各家庭でも作られていたそうです。
鹿児島で焼酎に使われるサツマイモは一般的に食用となっている品種とは少し違い、皮の色が白い小金千貫などが主に用いられてきました。
●変わり品種も
品種もいろいろあり、焼酎の原料にも使われる皮が白い「コガネセンガン」、果肉が見事な紫色をしている「ナカムラサキ」や「アヤムラサキ」、「パープルスイートロード」などもあります。いつもと違うこういったサツマイモを使うだけでも変化があって話題になりそうです。
●ホクホク系としっとり系
かつては焼き芋と言えば「紅あずま」や「高系14号」の系統などほくほくして甘い芋が好まれる傾向にありましたが、最近は「安納芋」や「紅はるか」に代表されるようなしっとりして濃厚な甘さが楽しめる芋が人気ですね。
●芋づる=サツマイモの茎も食べられます
芋づると呼ばれる、サツマイモの葉が付く茎の部分も食べられます。皮をむく手間がかかることもあり、大部分は家畜の飼料や肥料にされているようですが、昭和のはじめには家庭の食宅にもよく出されていたようです。
●サツマイモの主な産地と生産量
このデータは政府がまとめた平成23年のサツマイモの生産量です。最も沢山生産しているのはやはり何と言っても鹿児島で、全国の約4割を生産しています。その多くは焼酎の原料にもなっているのでしょう。次いで茨城県、千葉県となっています。
サツマイモは全国全ての都道府県で作られてはいますが、北海道や青森など寒い東北地方ではその量がとても少ないです。
■サツマイモ(薩摩芋/さつまいも)の収穫時期と食べ頃の旬
●旬は晩秋
”落ち葉焚きで焼くサツマイモ”の印象がありますが、おいしいのもやはりその時期。収穫は8月ごろから始まり11月くらいまでです。ただ、採れたてがおいしいとは限らず、2~3ヶ月貯蔵して、余分な水分を逃がしてからのほうが甘みが増してホクホクとした美味しい物になるそうです。なので、旬は10月~1月頃。
品種 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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紅隼人 | ||||||||||||
紅あずま | ||||||||||||
高系14号 | ||||||||||||
宮崎紅 | ||||||||||||
紅赤 | ||||||||||||
安納芋 | ||||||||||||
鳴門金時 | ||||||||||||
大栄愛娘 | ||||||||||||
五郎島金時 | ||||||||||||
土佐紅 | ||||||||||||
紅はるか | ||||||||||||
アヤムラサキ(紫芋) | ||||||||||||
アヤコマチ(オレンジ芋) | ||||||||||||
パップルスイートロード | ||||||||||||
種子島紫 | ||||||||||||
カイアポ芋(シモン芋) | ||||||||||||
黄金千貫 | ||||||||||||
紫唐芋 |
■美味しいサツマイモの選び方と保存方法
●美味しいサツマイモの選び方
美味しいサツマイモは全体にふっくらと太く、鮮やかな紅色をしています。持った時にずっしりと重みを感じるものを選んでください。痩せて細い物やヒゲ根がたくさん残っているものなどは繊維質が多いものが多いです。
表面に傷や変色した部分が無い物を選びましょう。ただし、ねっとりした液体がしみ出しているようなものは蜜が多いと言えるので、見つけものの場合があります。
●保存方法
さつまいもは暖かいところで栽培されるものなので、冷蔵庫に入れておくと低温障害を起こし、痛みが早くなります。新聞紙などに包んで冷暗所においておきます。適温は10℃から15℃と言われ、18℃を超えると発芽し始めてしまいます。適温では数カ月は保存が可能です。真冬は冷暗所が冷蔵庫より低い温度になる可能性があるので要注意です。
■サツマイモは冷凍保存できる?
さつまいもは生のままでは冷凍保存出来ないと考えてください。多少沢山あっても、冷暗所に置いておくだけでかなり日持ちするので、もう限界かな・・・と言う時になってまだ沢山あるようなら冷凍保存を考えましょう。
冷凍保存の方法はいくつかあります。
●そのままの形で冷凍する方法
まずサツマイモを綺麗に洗い、水気を拭き取ってから電子レンジで加熱するか蒸し器で加熱し、いずれも完全に中まで火を通してしまいます。それをラップでしっかりと包んで冷凍します。食べる時は、半解凍で使う大きさに切り、汁物の具や揚げ物などに使います。もちろん潰してきんとんなどにも出来ますが、何にせよもう一度再加熱する必要があります。
●焼き芋にして冷凍する方法
サツマイモをオーブンなどで焼き芋をにします。それをラップなどに包んで冷凍しておきます。食べる時は電子レンジで加熱すると焼きたてのような感じで食べられます。
●ペースト状にして冷凍する方法
サツマイモを蒸すかレンジで加熱し、荒熱が取れたら皮を剥いて(用途によってはそのままでも可)袋などに入れて麺棒で叩いて潰し、ペースト状にします。これを保存袋などに入れ、厚さ1cm~2cm位までの薄い板状に伸ばして冷凍しておきます。伸ばしてからステンレスバットなどに乗せ、板チョコのように包丁の背などで格子状に凹凸を付けておくと使う時必要な分だけ折って使えて便利です。用途は、ポタージュなどのスープの他、栗きんとん、スウィートポテトサラダ、スウィートポテトなど。いずれも電子レンジなどで再加熱が必要です。