●トウキ(当帰)若葉の概要と特徴
◆トウキ(当帰)若葉とは
分類:セリ目 > セリ科 > シシウド属
学名:Angelica acutiloba (Siebold et Zucc.) Kitag. (1937)
中国名:東当帰
和名:とうき/当帰
別名:ニホントウキ/日本当帰
トウキはセリ科シシウド属の高さは20~80cmになる多年草で、中国では本種の近縁種であるカラトウキが補血、強壮、鎮痛、鎮静効果がある漢方薬の一つとして古くから用いられてきました。日本のトウキは本州中部以北の山地に自生していた品種ですが、カラトウキと同様の効能があり、江戸時代には各地で広く栽培されるようになっていたとされます。中でも「大和当帰」と呼ばれる奈良県で作られていたものは品質が良いとされていました。
漢方薬に用いられるのは主に根の部分ですが、葉もウドやセロリに似た清々しい香りがあり、乾燥させたものを入浴剤として布袋などに詰めて湯に浸けておくと身体を温め、不眠症や肩こりの改善効果があると言われています。
2012(平成24)年にトウキの葉が「非医」扱いに変更され、医薬的な効能・効果をうたわないことを条件として食品として販売することが可能となり、調味料や菓子、茶などの加工品が作られています。また、春先に芽吹いた若葉は生鮮品として食用にもなり、「大和当帰」の産地である奈良県では若葉を生鮮野菜あるいはハーブとしての普及に力を入れています。ここではこの若葉を紹介していきます。
◆トウキ(当帰)若葉の特徴
トウキの茎と葉柄は成熟すると赤紫色を帯びますが、若葉は茎がほんのりと赤い程度で、茎、葉ともに毛は無く、葉の表面は黄緑から緑色で光沢があります。
葉の形は互生し、深く切れ込みの入った小葉の緑にはとがった鋸歯があります。
食味としては若葉のうちは葉だけでなく葉柄の部分も柔らかく、食べた時にセロリに似た強い香りが広がるのが特徴です。
◆トウキ(当帰)若葉に含まれる主な有効成分とその働き
「大和当帰」の葉に含まれる栄養成分量を分析した「大和ハーブ協会」によるとビタミン類やミネラルを豊富に含んでいることが判明したそうです。
抗酸化作用強く「若返りビタミン」などとも言われるビタミンEにおいては9.3mg/100gと野菜に限らず果物や種実類も含め最も多く含んでいるそうです。この数値は魚介類の中でもトップクラスです。その他にもビタミンCがトマトの4.7倍、βカロテンはブロッコリーの5.7倍も含まれているそうです。トウキ若葉はこれそのものを大量に食べる事はあまり考えられませんが、他の食材と共に食べることで含んでいる量が多い分摂取しやすいですね。
●トウキ(当帰)若葉の選び方と保存方法や食べ方と料理
◆選び方
葉に艶がありみずみずしい色をしていて葉先が縮れたり枯れていないものを選びましょう。また、育ちすぎて柄の部分が硬くなっているものも避けた方が良いです。
◆保存方法
軸の部分に水を含ませたキッチンペーパーなどを巻き、袋に入れて冷蔵庫の野菜室に入れておきます。数日は良い状態が保てます。
◆調理のポイント
トウキの葉はセロリやウドのような清々しい香りがあります、生のままサラダに加えて香りのアクセントにしたり、サッと茹でてお浸しや和え物にもできます。
また、細かく刻んだり、フードプロセッサーなどを使い、ドレッシングや魚料理のソースに使うこともできます。さらに、生の若葉のまま前菜や刺身などのあしらいなどにも使えます。
◆トウキ(当帰)若葉の天ぷら
王道はやはり天ぷら。香りはある程度抜けてほんのりさわやかな風味が残る感じでとても美味しいです。
●トウキ(当帰)若葉の主な産地と旬
◆主な産地と生産量
トウキ自体は中部以北の山地に自生していたり、近縁種のホッカイトウキが薬用に栽培されていたりしますが、生鮮食品として若葉を出荷しているのは奈良県だけではないでしょうか。
◆トウキ(当帰)若葉の収穫時期と旬
トウキの若葉は4月~6月中旬頃に柔らかく生食もできるものが収穫されます。また、秋にも収穫されますが葉や柄がしっかりとしていて生食には向かず天ぷらなどに向いたものとなります。
品種 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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トウキ(当帰)若葉 |
< 出 典 >
※ 「大和当帰」奈良県ホームページ
※ 「大和当帰」有限会社 ポニーの里ファーム
※ 「大和当帰」大和ハーブ協会