プンタレッラ/アスパラガスチコリー- Puntarella -

プンタレッラ,アスパラガスチコリー,Puntarella

●プンタレッラとは

◆イタリア・ローマで親しまれている野菜

 プンタレッラはイタリア、特にローマ地方で親しまれている冬野菜で、チコリー(アンディーブ)やトレビスなどと同じキク科タンポポ亜科キクニガナ属の一種です。イタリア語では”puntarella(プンタレッラ)”と書きますが、イタリアでは複数形の”puntarelle(プンタレッレ)”と呼ぶ機会の方が多いようです。英語では”Asparagus Chicory(アスパラガス・チコリー”と呼ばれています。これは花茎の部分がアスパラガスを束ねたように見えることに因んでいます。

プンタレッラ,アスパラガスチコリー,Puntarella

 プンタレッラはチコリー類の、カタローニャ”cicoria catalogna”の一種で、葉の部分も食べられますが、主に株の中央ににょきにょきと突き出てくる花茎を食べます。

 チコリーなどと同じように苦みが持ち味で、ローマでは細く切って水にさらし、くりっと反り返った状態になったものをアンチョビを使ったソースに絡めてサラダにするのが一般的です。

 日本でも高級イタリアンレストランなどで提供されていたりしますが、かつてはイタリアなどから航空便で輸入されたものが使われていました。現在では国内でも栽培出荷されるようになり、新鮮なものが手に入りやすくなっています。

 ただ、まだまだ高級野菜で気軽に買える価格ではなく、また、一般家庭では食べ方もよくわからないという方がほとんどではないでしょうか。

◆プンタレッラの特徴

 プンタレッラは高さ40cmほどの株で外側は深く切れ込みが入った細長い葉に包まれており、その中心部に太いアスパラガスを束ねたような感じで花茎が伸びてきています。

プンタレッラの断面,アスパラガスチコリー,Puntarella

 株まわりの大きさや花茎の太さなどは品種や栽培環境などによって大小差が出てくるようです。

 主に食べるのはこの花茎と呼ばれる部分で、塊を一つ一つばらすと下の写真のようになります。ふっくらとしている部分は中が空洞になっています。

プンタレッラ,アスパラガスチコリー,Puntarella

 葉の部分はキク科タンポポ亜科というだけに、タンポポの葉にも似た深い切れ込みがあり、葉柄の根本近くは白く平べったくなっています。

 葉は、外側の硬いものは苦みが強く食べにくいですが、内側の葉は美味しく食べられます。

プンタレッラ,アスパラガスチコリー,Puntarella

●プンタレッラに含まれる主な有効成分とその働き

 プンタレッラの栄養成分量は日本食品標準成分表には掲載されていません。国内の産地として知られる宮城県が宮城大学とともに調べて紹介されています。

◆苦み成分には抗炎症作用が

 プンタレッラの持ち味でもある苦み成分は主に8-デオキシラクチュシンとラクチュコピクリンという化合物だそうで、これらには発熱や腫れを鎮める抗炎症作用があるとされています。

◆カリウムが豊富

 プンタレッラには茎、葉ともにカリウムがセロリと同じくらい多く含まれているとの事です。カリウムにはナトリウムの排出を促して血圧の上昇を抑える働きもあり、高血圧の予防や、筋肉の収縮をスムーズにする働きもあります。更に腎臓に溜まりやすい老廃物の排泄を促す働きもあるといわれています。

◆βカロテンも摂れる

 βカロテンもレタスやセロリよりも多く含んでおり、これは花茎の部分もそのようです。また、葉の部分は小松菜など青菜類と同じくらい多く含んでいます。βカロテンは体内でビタミンAに変換され、目の神経伝達物質となる他、活性酸素を抑え動脈硬化や心筋梗塞などの生活習慣病から守ってくれたり、皮膚や粘膜の細胞を正常に保つ働きもあり、あわせて免疫力を高める働きもあるされています。更には、がんの予防にも効果があるといわれています

●プンタレッラの主な産地と旬

プンタレッラ,アスパラガスチコリー,Puntarella

◆主な産地と生産量

 プンタレッラはイタリアから空輸で輸入されています。

 日本国内では宮城県で平成8年に栽培が始まり、その後宮城県がイタリア・ローマ県と友好姉妹県となったのを機に、 平成14年には宮城県が主体となって農業・園芸総合研究所でプンタレッラの高品質化試験を始め、平成18年には県、JA、生産者達が一丸となってプンタレッラの魅力発信やブランド化をすすめるプロジェクトも立ち上げられるなど、国内での本格的なプンタレッラ産地となっています。

 その他にも愛知県や鹿児島県など各地で栽培出荷はされていますが、個々の農園レベルで行われている状態です。

◆プンタレッラの収穫時期と旬

 プンタレッラは春に花を咲かせるために冬に花茎が膨らみはじめ、じっくりと栄養を蓄えながら冬を越します。収穫はその花茎が太く適度なサイズになる冬から春先で、早い物では11月下旬ごろから始まり3月頃まで続きます。

 早生種と晩成種とあり、花茎は晩成種の方が太く大きい傾向があるようです。

 イタリアのローマでは冬の定番野菜として親しまれています。国内でも美味しい旬の時期は12月下旬から3月上旬頃となります。

品種 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
プンタレッラ                        
プンタレッラ(愛知県産)

< 出 典 >

※ 「プンタレッラの栄養について」宮城県のホームページ プンタレッラ紹介ページ

※ 「野菜のいろいろ プンタレッラ」独立行政法人農畜産業振興機構 野菜情報 2013年3月号