八里(やさと):来歴や特徴と産地や旬

青梨 八里(やさと)
青梨 八里(やさと)

●八里(やさと)とは

 梨 八里は「八幸」に「二十世紀」「菊水」「八雲」の交雑種を交配して得られた実生から選抜育成された、「幸水」より早く収穫できる青ナシ品種です。

◆八里(やさと)の来歴

 八里は農林省園芸試験場(現 農林水産省果樹試験場)が「八幸」に「75-23{二十世紀×リ-14(菊水×八雲)}」を交配し、得られた実生から選抜育成された交雑実生で、「幸水」より早く収穫できる青ナシ品種として1990年12月に品種登録されています。「75-23」は「二十世紀」に、「菊水」と「八雲」の交配から育成された「リ-14」を交配し、得られた交雑実生とされており、「八里」の交配に関わった品種は「八幸」、「二十世紀」、「菊水」、「八雲」の4品種となります。

青梨 八里(やさと)
手に持った青梨 八里(やさと)

 育成の過程は下記のとおりです。

1972年 神奈川県平塚市の農林省園芸試験場(後 農林水産省果樹試験場)において「八幸」に「75-23」を交配。

1973年 得られた交雑種子を播種、育苗。

1976年 移転した茨城県の果樹試験場(現・農研機構果樹茶業研究部門)の圃場に定植。

1978年 初結実

1982年 一次選抜

1983年~ 系統名「ナシ筑波38号」としてナシ第5回系統適応性検定試験に供試

1989年 「八里(やさと)」と命名、農林水産省育成農作物新品種として「なし農林14号」と命名・登録されると共に種苗法に基づく品種登録出願。

1990年 品種登録完了

 本種はデビューしてから30年以上経過しているが、あまり普及せず、知名度はとても低く、希少な品種となっています。

 長野県で本種をもとに交配育成された品種に「サザンスイート」があります。

◆八里(やさと)の特徴

 八里の果実は少し縦長の楕円形で、大きさは300gほどです。

 青梨品種なので、果皮の色は黄緑色ですが、熟すにつれて黄色くなっていきます。

 果肉は白く、肉質は緻密でシャリッとした歯ごたえがあります。糖度は12%前後で、適度な酸味もあってバランスの良い上品な甘さの梨となっています。

青梨 八里(やさと)
青梨 八里の外観と断面 (4点合成)

 農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。

『-----

 果実の形は円楕円、梗あの深さは浅、広さは狭、ていあの深さ及び広さは中、有てい果の有無は無、果実の大きさは中(300g程度)

 果皮の色は黄緑、果面のさびの発生は少、果点の大きさは小、密度は中である。

 果梗の長さは中、太さは太、肉梗の有無は混在、果芯の形は円心臓、大きさは小、心室の数は中である。

 果肉の色は白、硬さは軟、粗密は密、甘味は高(12度程度)、酸味は中、香気は極少、果汁の多少は多である。

 成熟期は早で、育成地において8月中下旬であり、「幸水」より10日程度早い。

 芯腐れは少、みつ症状は少、裂果は無、果実の貯蔵性はやや短である。「八幸」と比較して、有てい果がないこと、果実の大きさが小さいこと、果肉の色が白いこと、甘味が高いこと等で、「八雲」と比較して、成葉の形が卵であること、果肉の色が白いこと、甘味が高いこと、裂果がないこと等で、「幸水」と比較して、短果枝の着生が多いこと、梗あの広さが狭いこと、果皮の色が黄緑であること、成熟期が早いこと等で、「筑水」と比較して、節間長が長いこと、果実の形が円楕円であること、果皮の色が黄緑であること等で区別性が認められる。

-----』以上、抜粋。

◆実際に食べてみた八里(やさと)の食味

 撮影試食した八里は8月上旬に直売所で購入した滋賀県産の物で、460gほどの物と360gほどの二つです。果形はいずれも縦長の楕円でした。

青梨 八里(やさと)
皮をむいてカットした青梨の八里

 ナイフで半分に切るとすかさず果汁が滴ります。食べてみると、歯に心地よいシャリ感が伝わるともに甘い果汁が口に広がり、すっきりとした酸味も少しあって全体にさっぱりとした甘さとして感じられました。

 正直あまり期待はしていなかったのですが、思いのほか美味しい梨でした。この味なら、もっと広く栽培されても良いのではと思いましたが、この梨は果皮の色が熟すにしたがって黄色くなっていくのですが、収穫のタイミングを見極めるのが難しいらしく、黄色くなりすぎると食味が落ちてしまうそうです。さらに、収穫後の日持ちもあまり長くないようなので、市場に流通させるのが難しいため、こういった直売所向け品種となっているのでしょう。

青梨 八里(やさと)
青梨 八里の糖度を計ってみた

 今回試食した八里の糖度を計ってみたところ14.2%もありました。

●八里(やさと)の主な産地と旬

◆主な産地と生産量

 八里は生産者が少なく、2026年の時点では産地化されているところも見当たらず、市場にあまり出回らない希少品種となっています。

 ただ味は良いので、個々の生産者が少量ずつ栽培し、主に直売所などで販売しています。

青梨 八里(やさと)
八里の外観と断面

◆八里(やさと)の収穫時期と旬

 八里の収穫時期は「幸水」よりも早く、早い所では7月下旬から収穫が始まり、店頭に並ぶのは8月中旬頃までとなります。

 あまり日持ちする品種ではないので、見かけた時が買い時となります。

品種 6月 7月 8月 9月
八里(やさと)                        

< 出 典 >

 ※ 「ニホンナシ新品種‘八里’」果樹試験場報告21号 1991年9月 p. 29-41

 ※ 「登録番号 2532 八里」 農林水産省品種登録データベース

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