●加賀しずくとは

 「加賀しずく」は石川県が「鞍月」の自然交雑実生から16年の歳月をかけ選抜育成した大玉でみずみずしい食感のブランド梨です。

◆加賀しずくの来歴

 「加賀しずく」は石川県農林総合研究センターにおいて「鞍月」から得た自然交雑実生から選抜育成した赤梨品種のブランド商標です。正式な品種名は「石川n1号」です。育成の過程は下記のとおりです。

1998(平成10)年 石川県農林総合研究センターにおいて、石川県金沢市でわずかに栽培されている甘みの強い赤梨品種「鞍月」から種子を採取 。

加賀しずく,石川n1号,梨,ナシ

1999(平成11)年 種をまく

2005(平成17)年 初結実。

2008(平成20)年 食味の良い6系統を選抜

2013(平成25)年 6系統の中から最も有望な1系統を選抜

2014(平成26)年 種苗法に基づき「石川n1号」として品種登録出願

2016(平成28)年 名称を一般公募し、応募数4,149点の中から選らばれた「加賀しずく」に決定。

2017(平成29)年 金沢中央卸売市場に初出荷。6個入り5キロ1箱が10万円の値を付ける。

後に遺伝子判別により、花粉親が「幸水」と判明。

2022(令和4)年 優れた特長を有し、石川県産ブランド農林水産物にふさわしい品目として「ルビーロマン」などと共に「百万石の極み」に認定

◆加賀しずくの特徴

 「加賀しずく」の果実は1個あたり600gほどと、一般的な「豊水」が350~450gであるのに比べかなり大きいのが特徴です。撮影したものも650~755gもありました。

加賀しずく,石川n1号,梨,ナシ

 果形は扁円形で、やや凸凹した形のものも多い傾向があるようです。

 果皮色は緑褐色から黄金色で、果点の大きさや表面の手触りは普通の赤梨と同じくらいです。

 果肉は乳白色で、肉質は石細胞が少なく、食べた時にシャリ感があまり感じられず、梨としては滑らかな食感が特徴で、果汁が多く、糖度的には12度前後と特別に甘味が強い訳ではありませんが、酸味が少なく、その分甘く感じる梨となっています。

 「加賀しずく」として出荷されるものは大きさや外見、糖度などによってランク分けされ、一定の基準を満たしたものでなければ「加賀しずく」としては出荷できません。

 最上位の”プレミアム”は大きさと共に糖度13度以上となっており、”特秀”は12度以上となっています。

加賀しずくの断面と果肉,石川n1号,梨,ナシ

 農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。

『-----

 果実の形は扁円形、梗あの深さは中、梗あの幅は広、がくあの深さは深、がくあの幅は広、果実の大きさは極大、

 果皮の色は黄赤褐、果点の大きさは中、果点の粗密は密、果面の粗滑(赤なし品種に限る)は中、

 果柄の長さは中、果柄の太さは中、肉梗の有無は有、果芯の形は心臓形、果芯の大きさは小、

 果肉の色は白、果肉の硬さは中、果肉の粗密は密、果実の甘味は中、果実の酸味は低、果汁の多少は多、

 種子の大きさは中、種子の形は卵形、開花始期は中、成熟期は中、自家和合性は無、裂果の発生の有無は無である。

 出願品種「石川n1号」は、対照品種「豊水」と比較して、梗あの幅が広であること、がくあの幅が広であること、果実の大きさが極大であること、心室の数が多であること等で区別性が認められる。

 対照品種「鞍月」と比較して、花芽の形が長楕円形であること、がくあの幅が広であること、果実の大きさが極大であること、心室の数が多であること、果肉の粗密が密であること等で区別性が認められる。

-----』以上、抜粋。

◆実際に食べてみた加賀しずくの食味

 撮影試食した「加賀しずく」は9月10日に届いた7個入り5kg/箱の特秀品。果重は小さい物でも650gあり大きいものは755gありました。

加賀しずくの断面と果肉,石川n1号,梨,ナシ 加賀しずく,石川n1号,梨,ナシ

 果形は扁円で、ややいびつなもの、ごつごつと凸凹したものもありましたがどれもずっしりと大きく、果皮色は緑が混じった黄褐色です。

 食べてみると、確かに梨らしいシャリ感は少なく、その分歯触りは柔らかく、とてもみずみずしく果汁感がより強く感じられました。

 計った糖度自体は12.3~12.9でしたが、酸味があまり感じられないためそれ以上に甘く感じます。

 価格が非常に高く、それに見合うかどうかは別として、とても美味しい梨でした。

●加賀しずくの主な産地と旬

加賀しずく,石川n1号,梨,ナシ

◆主な産地と生産量

加賀しずくの箱,石川n1号,梨,ナシ

 「加賀しずく」は石川県オリジナルの品種「石川n1号」のブランド商標であり、石川県のみで栽培出荷されています。

 2022年現在、県内の金沢市、加賀市、白山市で94軒、5.8haで栽培出荷されているそうです。

◆加賀しずくの収穫時期と旬

 「加賀しずく」の収穫時期は8月下旬~9月中旬で、収穫後すぐに出荷されます。

品種 7月 8月 9月 10月
加賀しずく                        

< 出 典 >

 ※ 「石川県オリジナルなし品種「加賀しずく」」石川県

 ※ 「日本梨「石川n1号」の育成」石川県農林総合研究センター

 ※ 「日本なし「加賀しずく」の市場デビューを支援」石川県農林総合研究センター農業試験場 中央普及支援センター

 ※ 「登録番号25266 石川n1号」 農林水産省品種登録データベース

 ※ 「加賀しずく すくすく豊作 金沢で初出荷」中日新聞 2022年8月27日

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