ー 目 次 ー
●バナナの蕾の概要と特徴
◆バナナの蕾とは
分類: ショウガ目 > バショウ科 > バショウ属
学名:Musa spp.
英名:banana blossom/banana heart
和名:バナナの花蕾
バナナと言えば一般にフルーツとして食べる果実をイメージすると思いますが、ベトナムやタイなどの産地では花の蕾も食材となっているようです。日本国内でも東南アジアの料理を提供するお店などで提供され、近頃は一部のスーパー等でも見かけるようになったので、当サイトでも取り上げることにしました。

◆バナナの蕾の特徴
バナナのつぼみと呼ばれるものは、大きいものだとラグビーボールほどもあり、全体に赤紫色で、花びら様の苞葉の内側に細長い果指が並んでいます。実際はこの果指一本一本が花で、赤紫色の苞葉は花弁ではなく、花を守る働きを持っています。
花が咲いたあと、それぞれの花が少しずつふくらんでバナナの実に成長していきます。この花のかたまり(花房=かぼう)が、そのままバナナの房になるのです。
この赤紫色の苞葉は中心に向かって幾重にも重なっていますが、その苞葉1枚1枚にこの花房が付いており、外側の花房から順番に花が咲き、バナナの果実に育っていきます。

(写真についての説明)右側に写っているのが花房で、左側では花の根元がふくらみはじめていて、バナナの実になりかけている様子が見えます。

食用になるのはまだ咲く前の花と、バナナハートと呼ばれるこの塊の中心近くにある未だ赤紫色になっていない柔らかい部分です。外側の赤紫色の苞葉は食べるには硬く、サラダなどの器として利用できます。
●バナナの蕾の主な産地と旬
◆主な産地と生産量
国内ではほとんど馴染みが無い食材なので、国内での収穫出荷量は極めて少なく、沖縄県で収穫されたものが直販サイトなどで購入できる程度です。
また、フィリピンから輸入されているものが一部のスーパーなどで販売されているのを稀に見かけます。
◆バナナの蕾の収穫時期と旬
バナナは主に熱帯地域の植物で、通年花を付けるため、東南アジアでは旬はありません。ただ、沖縄県など国内の産地では6月から8月にかけてが旬となります。
バナナの蕾 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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国内産 | ||||||||||||
輸入物 |

●バナナの蕾の選び方と保存方法
◆出来れば大きい物を
バナナの蕾は付け根に近い方の外側からバナナの実が大きく成長し、順に先に向かって咲いていきます。先に咲いた花が大きなバナナとして収穫されていきながら、先の方のつぼみはまだまだ咲いていくのですが、当然小さくなり残っている花の数も少なくなります。なので、大きい方が中に詰まっている花も多く、食用部分も多いということです。小さいものはいくつもバナナの果房を収穫した残りの蕾の可能性が高いです。
◆鮮度が良い物を
バナナのつぼみは収穫後も冷蔵庫の野菜庫で結構日持ちしますが、できるだけ鮮度が良い物を使いたいですね。
鮮度が良い物は赤紫色の苞葉(大きなはなびらのように見える部分)の表面に艶があり、軸の部分が硬いです。鮮度が落ちると艶が無くなってきて、軸の切り口部分にカビが発生していたり、柔らかくなりグミグミした感じになってきます。

上の写真は鮮度が落ちて使い物にならない状態です。中心の軸は柔らかくグミグミしており、軸の表面は黒ずみ、中まで黒っぽくなってしまっています。また、中の花も付け根部分まで黒ずみが出始めています。
◆保存方法
バナナのつぼみは乾燥しやすいので、新聞紙でくるんでからポリ袋などに入れて冷蔵庫の野菜庫に入れて保存します。収穫されてからどれくらい経っているものかにもよりますが、新鮮な物であれば1週間から10日間程は持ちます。
●バナナの蕾の美味しい食べ方と料理

◆調理のポイント
バナナのつぼみの可食部はまだ咲く前の花と、バナナハートと呼ばれる、まだ赤紫色になっていない芯近くの部分です。

外側の赤紫色の苞葉は硬くて食べられませんが、サラダなどの器として使うことでエスニックな気分を演出してくれます。

花は生のままでも食べられますが、茹でるなど火を通してもシャキシャキした食感が残ります。バナナハートは通常茹でたり、煮たり加熱調理します。
◆下処理

アクが強く、切った断面からすぐに茶色く変色してしまうので、切ったらすぐに酢水かレモン水に浸さないといけません。
バナナハートと呼ばれる芯の部分は下茹でしておくと色々な料理に使いやすく、冷蔵庫で保存もできます。
◆バナナの花のサラダ
花の部分は生のままでもシャキシャキして美味しいですが、茹でても食感が残って美味しいです。注意しなければならないのは、雌しべ(先端が黒く丸い、長く伸びている軸)は硬くて口に残ってしまうので、一つ一つ引き抜いて取り除かなければなりません。
苞葉は赤紫色になっていない白い物を、繊維を切るように細切りにして使います。彩と食感、風味をプラスする意味で小エビとインゲンを加えています。
折角なのでエスニックにナンプラーとレモン汁で味付けし、パクチーを散らしました。

バナナというよりバナナの皮のような香りがあり、味的には大きな主張はなくシャキシャキというか茹でた竹の子のような食感が持ち味といった印象です。
◆バナナの蕾のかき揚げ
花と細切りにした苞葉をかき揚げにしたもの。材料はサラダと同じものです。サラダを作る際に多めにそれぞれ切っておき、天ぷら粉をまぶしてから水で溶いた衣を絡めて揚げています。

かき揚げにするともはやバナナの蕾なのか何なのか分からなくなります。小エビを加えるのは正解で、エビの風味と、カラッと揚がった蕾の香ばしさがよく合います。サクッとした食感があって美味しいです。
◆バナナの蕾のグリーンカレー
バナナハートを使い、鶏肉と共にココナツミルクベースで仕上げたカレー。

バナナのつぼみは食感がタケノコのような感じで、少々煮込んでもしっかりと食感が残ります。またココナツミルクとの相性も抜群です。