秋満月（あきみつき）：来歴や特徴と産地と旬

●秋満月とは

　千葉県が12年かけて開発した大玉で食味の良い晩生の赤梨品種で、2021年に「秋満月」と商標が決まり、満を持してデビューした新しい梨です。

◆秋満月の来歴

　「秋満月」は千葉県農林総合研究センターで2001（平成13）年に「豊水」に、「新雪」と「平塚16号（かおり）」の交配で得られた育成系統「7-7」を交配し、得られた実生から選抜育成された赤梨品種です。

　正式な品種名は「千葉K3号」で、2013（平成25）年に種苗法に基づく登録出願され、翌2014年に出願公表、2017（平成29）年に品種登録されています。

　「秋満月」という名称は2019（令和元）年に公募され、2021（令和3年）に5,715点の中から選ばれました。読み方は「あきまんげつ」ではなく「あきみつき」で、『収穫の秋、満月のように大きく実ったナシに、農家と消費者の喜びと感謝の気持ちを込めて名づけられました。』とのことです。

◆秋満月の特徴

　「秋満月」の果実は平均的な重さは700gと大玉で、「豊水」の520g、「新高」630ｇなどと比べるとその大きさがわかります。（写真の物は670gほどのやや小ぶりのものです。）この大きさは、大玉の梨として知られる「新雪」や「平塚16号（かおり）」のDNAを受け継いだのだと思います。

　果形は円形で果皮の色は赤梨らしい黄赤褐です。

　果肉は柔らかめで果汁が多く、甘味が強く酸味が少ないのが特徴となっています。

　農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。

『-----

　果実の形は円形、梗あの深さは深、梗あの幅は広、がくあの深さは中、がくあの幅はやや広、果実の大きさはかなり大、

　果皮の色は黄赤褐、果点の大きさは中、果点の粗密は密、果面の粗滑（赤なし品種に限る）は粗、

　果柄の長さは中、果柄の太さは中、肉梗の有無は無、

　果芯の形は短紡錘形、果芯の大きさはやや小、

　果肉の色は白、果肉の硬さは軟、果肉の粗密は密、果実の甘味は中、果実の酸味は低、果汁の多少は多、

　種子の大きさは中、種子の形は卵形、

　開花始期は晩、成熟期は晩、自家和合性は無、裂果の発生の有無は無である。

　「千葉K3号」は、対照品種「豊水」と比較して、短果枝の多少が多であること、腋花芽の数がやや少であること、果実の酸味が低であること、成熟期が晩であること等で区別性が認められる。

　対照品種「新高」と比較して、花弁の数が６～７枚以下であること、花粉の有無が有であること、裂果の発生の有無が無であること等で区別性が認められる。

-----』以上、抜粋。

◆実際に食べてみた秋満月の食味

　撮影試食した「秋満月」は果重650～670gと、本種としてはやや小ぶりでしたが、それでも豊水などに比べると大きいです。

　食べた感じは、紹介されている通り果肉は優しい歯触りでとてもジューシーでした。噛んだ時に果汁がジュワ～っと口の中に広がる感じで、甘味は特別強くはありませんでしたが、酸味があまりなく、その分甘く感じ、味わいとしてはとても美味しかったです。糖度を計ってみると11～12度でした。

●秋満月の主な産地と旬

◆主な産地と生産量

　「秋満月」は千葉県が開発し、2021（令和3）年にデビューしたばかりのオリジナル新品種で、現在は千葉県内のみで栽培されています。

　まだ生産者が少なく、生産量は極わずかで、2021（令和3）年産 は栽培面積が5haほどで、収穫量は８トンほどを見込んでいるとのことですが、その多くが予約販売で売られ、残りは直売所などで販売されるようです。

　現在、県を挙げて本種の栽培拡大を目指しているので、今後年ごとに増え、一般のスーパーなどにも並ぶ日がくるのではないでしょうか。

◆秋満月の収穫時期と旬

　「秋満月」の収穫時期は９月中旬から１０月上旬にかけてで、日持ちは常温で２８日間ほどとなっています。

　おそらくこの先数年、生産量が増えるまでは収穫されたものがすぐに出荷、販売されるため、出回るのも９月中旬から１０月上旬にかけてだけだと思われます。なんなんか経ち、生産者と収穫量が増えれば10月末頃まで出回るようになるかもしれません。

品種	8月			9月			10月			11月
秋満月

＜ 出　典 ＞

　※　「県育成ナシ新品種「千葉K3号（愛称：秋満月）」について」令和3年5月13日　千葉県ホームページ

　※　「千葉K3号」品種登録データベース　農林水産省ホームページ