はつひめ:来歴や特徴と産地や旬
●はつひめとは
「はつひめ」は福島県が「あかつき」と「はつおとめ」の交配から育成した早生桃のオリジナル品種で、福島県内でのみ栽培され、7月上旬から中旬にかけて出荷されています。
◆はつひめの来歴
「はつひめ」は福島県農業総合センター果樹研究所において1999(平成11)年に「あかつき」に「はつおとめ」を交配し、得られた実生から選抜育成された福島県のオリジナル桃品種で、福島県では7月上中旬に収穫できる早生品種となっています。
2008(平成20)年に種苗法に基づき登録出願、2009(平成21)年に品種登録されています。
◆はつひめの特徴
「はつひめ」の果実は果重220~300gで早生種としては大きく、果形は偏円形で、縫合線は顕著にみられます。
果皮の色は乳白色の地色に、条状に着色しはじめ、熟すと全体に赤く広く着色します。
果肉は乳白色で種の周りはほとんど着色しませんが、果肉は部分的に紅が差します。肉質は溶質で柔らかく多汁で、糖度は11~14%となっています。
また、核割れは発生率が1割以下と早生種としては少ないのもとくちょうです。
農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。
『-----
果実の大きさは中、果実の形は扁円形、果頂部の形は広浅凹、果実の対称性は対称、縫合線の強弱は強、梗あの幅は中、
果実の地色は乳白、果実の着色の型は条状、果実の着色面積は大、果実の毛じの粗密は中、果皮の付着性は中、
果肉の地色は乳白、果肉のアントシアニン着色の強弱は弱、核の周辺のアントシアニン着色の強弱は無又は極弱、果肉の肉質は非繊維質、果実の甘味は中、
核の大きさは中、核の横面の形は楕円形、核の褐色の濃淡は中、核の表面の紋様は点・条、核割れの多少は少、核と果肉の粘離の有無は有、核と果肉の粘離の強弱は強、
収穫期はかなり早である。
出願品種「はつひめ」は、対照品種「はつおとめ」と比較して、果実の大きさが中であること、収穫期がかなり早であること等で区別性が認められる。
対照品種「ちよひめ」と比較して、果実の形が扁円形であること等で区別性が認められる。
-----』以上、抜粋。
◆実際に食べてみたはつひめの食味
撮影試食した「はつひめ」は福島県の菱沼農園から7月中旬に届いた、ひと玉350g以上ある大きめの桃6玉です。
着色が全体的に濃いものとやや薄めのものが入っていましたが、いずれもしっかりと熟していて、届いた日に食べたものもとても甘く美味しかったです。
皮は手ではむけませんでしたが、果肉は食べると繊維感が少なく滑らかで柔らかく、果汁もたっぷり含んでいました。
酸味は甘味の陰に隠れる感じで、渋みはなく甘味は強いですが後口はすっきりとしていました。計った糖度は13.7~14.7度もありました。
●はつひめの主な産地と旬
◆主な産地と生産量
「はつひめ」は福島県が県単独事業で育成したオリジナル品種なので、今のところ福島県内でのみ栽培可能となっています。
2019年産の栽培面積は40.4haとなっています。これは福島県内の桃栽培面積のおよそ2.6%ほどとなっています。「はつひめ」は福島県でしか栽培されていないので、全国で40haほどしかないという事になります。
◆はつひめの収穫時期と旬
「はつひめ」は福島県で7月上中旬に収穫できる早生品種となっています。成熟期は満開から約80日で、「日川白鳳」より7日程度早いとされています。
産地が福島県に限定されているので、市場に出回る時期はとても短く、見かけた時が買い時となっています。
品種 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | ||||||||
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はつひめ |
< 出 典 >
※ 「モモ新品種「はつひめ」の育成 」福島県農業総合センター 果樹研究所
※ 「登録番号17559 はつひめ」 農林水産省品種登録データベース
※ 令和元年産特産果樹生産動態等調査 農林水産省