●「ゆめかおり」とは
◆「ゆめかおり」の来歴
「ゆめかおり」は福島県伊達市で桃の生産農家であり育種家でもある高橋忠吉氏が「西野白桃」の自然交雑実生から選抜育成した晩生で極めて大玉の桃です。2006年に種苗法に基づく登録出願、2008年に品種登録されています。
高橋忠吉氏は本種の他にも「シーエックス」や「優香の夢」など既に品種登録されたものが13品種、登録出願し2023年10月の時点で審査中のものも2種育成されており、2022年には全国新品種育成者の会「育種功労賞」を受賞されている優れた育種家であり生産者でもあります。
◆「ゆめかおり」の特徴
「ゆめかおり」の果実は果重500~600g、栽培方法や環境によっては700gにもなる大きな桃で、果形はやや腰高な楕円形です。写真のものは520gほどでした。

果皮は全体に着色しますが、色は中くらい。
果肉は薄く黄緑がさした乳白色で核まわりが紅色に着色します。肉質は緻密で硬く、甘味と酸味は中くらいとなっています。収穫後1週間から10日ほど追熟させると果肉が柔らかくジューシーになり濃厚な味わいになると苗木を販売する福島天香園は紹介しています。

農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。
『-----
果実の大きさは極大、形は円形、果頂の形は広浅凹、縫合線の深さは中、梗あの広さは広、深さは深、
果皮の地色は緑白色、被う色は赤色、被う色の多少は少、色の型はべた状(全面)、果皮の毛じの有無と密度は中、果皮の付着性はやや強、
果肉の地色は緑白色、果肉内の着色は無、核周辺の着色は多、果肉の粗密は密、繊維は少、果汁及び甘味は多、酸味は少、渋味は無・微、香気は中である。
核の大きさはかなり大、形は長楕円形、果肉との粘離は粘核、褐色の濃淡は濃、核割れは中である。
発芽期及び開花盛期は早、成熟日数は極長である。
「ゆうぞら」及び「金山」と比較して、果実及び核が大きいこと等で区別性が認められる。
-----』以上、抜粋。
◆実際に食べてみた「ゆめかおり」の食味
撮影試食した「ゆめかおり」は9月23日に福島県の菱沼農園さんから届いたもので、果実重500~520gありました。
届いた日に切ってみると、果肉はとても固くカリカリした食感で、果汁もあまり感じられませんでした。
それでも甘味はあって、これはこれでアリかなといった印象でした。サラダなどにも使えそうな感じです。

その後4日間、室内で追熟させたところ、桃らしいいい香りが立っていて、串切りにすると皮も手で最後まで綺麗にむけるようになっていました。


食べてみると、果肉はいい具合に柔らかくなり、果汁も口に広がる感じになっています。
甘味が強くなっていて、適度な酸味もあり、渋みなどもなくとても美味しくなっていました。
糖度を計ってみると届いた日のものは12.1度、4日目のものは12.6度でした。
●「ゆめかおり」の主な産地と旬

◆主な産地と生産量
「ゆめかおり」は主に福島県で作られていますが、生産量は極わずかです。
ただ、本種のような極晩成の美味しい桃は品種が少ないので、各地の桃産地でも導入を検討する余地はありそうです。
◆「ゆめかおり」の収穫時期と旬
「ゆめかおり」の収穫期は育成地の福島県では9月中旬~下旬となっています。本種は日持ち性も良く、10月上旬まで美味しく食べられます。
品種 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | ||||||||
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ゆめかおり |
< 出 典 >
※ 「大玉で品質が優れるモモ極晩生種「ゆめかおり」の特性」山梨県果樹試験場 令和2年度研究成果情報
※ 「ゆめかおり」 福島天香園ホームページ
※ 「ゆめかおり」品種登録データベース 農林水産省ホームページ
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