しらゆき メロン：来歴や特徴と産地や旬

●しらゆきメロンとは

　「しらゆき」メロンは奈良県の株式会社大和農園が種子を販売している白皮・白肉・ノーネット系メロンのF1品種です。とても上品で高品質なメロンでありながら栽培が非常に難しく、商業栽培する生産者が少なく幻のメロンとも呼ばれています。

◆江本農園で復活したしらゆきメロン

　今回ご提供いただいた「しらゆき」メロンは高知県香南市で主に「アンテナスイカ」という空中立体栽培により一株から一個だけしか収穫しないブランドスイカを中心に栽培出荷されている江本農園さんで作られたものです。

　しらゆきメロンは大和農園が1975年に開発し販売を始めた古い品種で、交配親はハネデュー系に、マクワウリとアールス系を掛け合わせたノーネット系メロンが使われているとのことです。かつて40年ほど前には高知県でも多くの生産者がこのしらゆきメロンを栽培していたそうですが、ちょっとした水分量の違いなどでひび割れが生じたり、黄色く着色してしまうなど、その栽培はとても難しく、その後市場から姿を消してしまいました。

　数年前にこのメロンの復活を求める声におされ江本農園が栽培に取り組み始められたそうです。ハウスでは西瓜はもちろん、マスクメロンも栽培されているので、そのノウハウを活かしながら始めたそうですが、初めの数年はひび割れができるなどやはり思うようにいかず苦労されたそうです。それでも毎年研究を重ね、ついに大玉で美しく甘いメロンができるようにななりました。今回のものはとても上品で美しいメロンに仕上がっていました。

◆しらゆきメロンの特徴

　しらゆきメロンの果実は大和農園のカタログでは果実重0.8～1.0kgとなっていますが、これは地這栽培などで一株から数玉収穫する場合のサイズだそうで、江本農園さんのものは1.8kgほどもある大玉になります。果形は縦長の楕円形からすこし雫に近い楕円形です。

　そして大きな特徴である果皮の色は全体に淡い乳白色ですべすべしておりとても美しいです。お尻の部分に少し果頂部を取り囲むように筋が現れていますが、時にはこういった筋が全体に現れてしまうこともあったようです。

　縦半分に切った断面を見ると、果皮の色と中の果肉がほぼ同じ乳白色です。種子を見るとしっかりと熟していることがわかりますが、果皮の色が白く、部分的に青みが残っていたりするので収穫のタイミングも難しいと思います。

　果肉は硬くサクサクした食感で、糖度は16～18度と甘いのが特徴となっています。

◆実際に食べてみたしらゆきメロンの食味

　今回２玉送っていただいたので、一つ目は届いた翌日に撮影し試食、２玉目は到着から５日目に試食しました。

　２玉ともとても美しく、マスクメロンとはまた違った気品が感じられます。

　食べてみるとその食感に驚きました。メロンというより梨のような・・・でも梨のようなざらつきはなく、サクサクとした歯触りでメロンのような「溶ける」とか「ほぐれる」といった感じではなく、口の中で噛んで食べる感じです。そして甘い！

　計った糖度は17.4％、皮近くでも16％を超えていました。また酸味が無いので糖度以上に甘く感じます。

　５日目に食べたものも食感はあまり変わらずサクサクしており、糖度も16.9％ありました。

　白皮白肉のメロンと言えばホームラン・メロンがありますが、それよりもずっと大きくて肉厚で、果肉が硬く、交配親であるハネデューにも似ていますが、このメロンは他にない食感や味わいだと思います。

　メロンの香りは強くはありませんがちゃんとあり、わりと小さなサイの目にカットしても角がつぶれることなく綺麗なダイスになるので、サラダなど料理にも使いやすいと思います。

●しらゆきメロンの主な産地と旬

◆主な産地と生産量

　しらゆきメロンは大和農園が種子を生産し、一般の種苗販売会社で扱われているので、どこでも誰でも栽培することは可能です。

　大規模に本種を栽培出荷している産地はありませんが、個々の農園で栽培し直売所などで販売されているのではないかと思われます。

　ただ、空中立体栽培で今回撮影したような美しい大玉に仕上げられ地方発送もされている生産者は高知県香南市の江本農園さんしかないのではないでしょうか。2023年の出荷量は180玉ほどだそうです。

◆しらゆきメロンの収穫時期と旬

　しらゆきメロンの収穫時期は大和農園の栽培適期表（近畿標準）では、ハウスでの促成栽培で４月中旬頃から、トンネル栽培で6月中旬頃からとなっています。

　江本農園さんでは7月初旬に収穫されています。

品種	4月			5月			6月			7月
しらゆきメロン

＜ 出　典 ＞

　※　江本農園ホームページ

　※　スイカ屋えもと 江本農園 Facebook

　※　「メロン・まくわ　しらゆき」大和農園