●さぬきエンジェルスイートとは

 「さぬこエンジェルスイート」は香川県が育成し2013年に品種登録され、県内でのみ栽培されている、糖度が高く、種子周辺部がリング状に赤くなるキウイフルーツです。

◆さぬきエンジェルスイートの来歴

キウイフルーツ さぬきエンジェルスイート

 「さぬこエンジェルスイート」は香川県の農業試験場において、静岡県の生産者から導入した雌系統「79-1-2」に、「さぬきゴールド」や「さぬきキウイっこ」の交配でも用いられた中国系キウイフルーツの雄系統「FCM-1」を交配し、得られた実生から選抜育成されました。育成の過程は下記のとおりです。

1992年 香川県農業試験場府中果樹研究所において「79-1-2」に「FCM-1」の花粉を交配。得られた果実を1ヶ月程度5℃で貯蔵した後、種子を取り出し人工気象室内で播種し、ポットで育成。

1993年 圃場に定植。

1994年 穂木を採取しキウイフルーツ5~8年生樹に高接ぎ。

1995年~果実形質,食味および栽培性などの調査開始。

1997年 果肉種子周辺が赤褐色で糖度が高く、果実品質が優れる5個体を一次選抜。

2001年 個体番号「179-1-2: 14l」を二次選抜。」

2002~2007年 樹性、結実状況および果実等の品質調査を調査。

2008~2009年 慣行栽培において均一性および安定性を確認。育成を完了。

2010年 1月 種苗法に基づく品種登録出願。4月 「さぬきエンジェルスイート」として出願公表。

2013年 品種登録完了。

キウイフルーツ さぬきエンジェルスイートの断面

 「さぬきエンジェルスイート」という名称は、香川県で育成されたオリジナル品種であり、種子周辺の赤い果肉部が天使の輪をイメージし、糖度が高く甘いキウイフルーツであることに因んでいます。

◆さぬきエンジェルスイートの特徴

 「さぬきエンジェルスイート」の果実は果実重90~100gほどで果形は広楕円形です。

 果皮色は暗褐色で、表面の毛じの密度は粗く、毛は短く脱落しにくい。

キウイフルーツ さぬきエンジェルスイート

 がくの周囲のリングは明らかに見え、果梗部の形は円形となっています。

キウイフルーツ さぬきエンジェルスイート

 果肉は、種子の外側が黄緑色で、果芯部は白いですが、種子周辺が赤褐色であることが大きな特徴です。ただし、この赤色部分の割合や濃さなどは個体差がみられます。

 肉質は緻密で柔らかく、糖度計示度は18-20と高く、クエン酸換算含量は0.40g/100mL程度と低いため甘く食味の良いキウイフルーツです。また、たんぱく質分解酵素が少ないため、キウイフルーツを食べた後に感じる刺激が少ないのも特徴です。

 追熟はエチレン処理後約 8-12日で可食適期となりますが、貯蔵性はやや短く、5℃での貯蔵で2- 3ヶ月程度となっています。

キウイフルーツ さぬきエンジェルスイートの断面

 農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。

『-----

 果実の重さはやや重、果実の形は倒卵形、果実中央部の横断面の形(扁平の程度)は長楕円(大)、果頂部の形は丸みを帯びる、

 果実のがくの周囲のリングは明らかに見える、果梗部の形は円形、果梗の長さはかなり長、果梗の相対長(果梗長/果実縦径)はかなり小、果実の宿存がくの有無は有、

 果皮の色は黄褐、果実の毛じの粗密はかなり粗、果実の毛じの種類は短い軟毛、果皮の色(可食時期)2は褐、

 外果皮の色は緑黄、果心の色は白、果実の甘さは高、果実の酸度は低、

 開花期は中生、収穫期は中生である。

 出願品種「さぬきエンジェルスイート」は、対照品種「さぬきゴールド」と比較して、果実の重さがやや重であること、果皮の色が黄褐であること、内果皮の色が赤であること等で区別性が認められる。

 対照品種「レインボーレッド」と比較して、果頂部の形が丸みを帯びるであること、果皮の色が黄褐であること等で区別性が認められる。

-----』以上、抜粋。

◆実際に食べてみたさぬきエンジェルスイートの食味

 撮影試食した「さぬきエンジェルスイート」は12月14日に届いた12個/箱で、既に食べ頃の状態でした。

キウイフルーツ さぬきエンジェルスイートのスライス キウイフルーツ さぬきエンジェルスイートの糖度

 果実重は平均90gほどで、切ってみると綺麗に赤いリングが入っているものと、わずかしか赤くないものもありました。

 果肉はやや柔らかい状態で、果汁も多く、食べてみるととても甘く、酸味は控えめでヘイワードとは違った独特の味わいが感じられました。計った糖度は18.7~19.3%と表示され、確かに甘いのですが、舌に感じた甘さ以上に糖度計の数字が大きく正直驚きました。

●さぬきエンジェルスイートの主な産地と旬

キウイフルーツ さぬきエンジェルスイート

◆主な産地と生産量

 「さぬきエンジェルスイート」は香川県のオリジナル品種で、香川県内でのみ栽培されています。県のホームページによると約5haで栽培され、約20tの果実がJA香川県を通じて京浜・京阪神及び県内市場に出荷されているそうです。

 香川県内の主な産地は高松市、善通寺市、三豊市で、栽培は国内で唯一袋掛け栽培が行われ、光センサーを用いた非破壊糖度測定器で、収穫前に全園地で果実糖度を測定し、品質を区分して出荷しているそうです。

 また、秀品・優品ランクで、平均糖度15.0度以上のものが「さぬき讃フルーツ」として出荷されチェいます。

◆さぬきエンジェルスイートの収穫時期と旬

 「さぬきエンジェルスイート」の成熟期は10月中旬で、中旬から下旬にかけて収穫されます。収穫された果実はすぐに出荷されるのではなく、エチレンガスによる追熟処理を行ってから出荷されています。

 食べ後のになるのは追熟処理後、常温で10~14日となっています。

 市場に出回る旬の時期は11月上旬から12月上旬頃までで、生産量が少なくキウイフルーツの中では比較的希少な品種です。

品種 10月 11月 12月 1月
さぬきエンジェルスイート                        

< 出 典 >

 ※ 「さぬきエンジェルスイート」さぬき讃フルーツ 香川県

 ※ 「キウイフルーツ新品種「さぬきエンジェルスイート」の育成」香川県農業試験場研究報告 66号,p.37-43(2016-03)

 ※ 「登録番号22591 さぬきエンジェルスイート」 農林水産省品種登録データベース

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