イタリア丸ナスの選び方や料理
●丸茄子(まるなす)の選び方と保存方法と調理のポイント
◆手に持った時に重く感じるもの
丸ナスは果肉に締りがあり、しっかりとした硬さがあるものがお勧めです。手に持った時に軽いものは果肉がスポンジのようにふかふかしているので、重く感じるものを選びます。
また、全体に色むらがなく、艶と張りがあるものを選びます。
◆ヘタの軸の断面が新しい物
収穫されて時間が立っていないナスはヘタの軸の断面が緑でみずみずしく、鮮度が落ちてくると断面から茶色く干からびてくるので、鮮度の見極めのポイントになります。
◆丸ナスの保存方法
一般にナスの保存に適した温度は8~12℃だそうです。また、乾燥にも弱いので新聞紙などでくるみ、冷暗所に置いておき、なるべく早く食べるようにしましょう。何日か置いておく場合は、夏場などは気温も高いので、保存袋に入れ、冷蔵庫の野菜室に入れておくといいでしょう。5℃以下で保存すると低温障害を起こし、傷んでしまうので注意してください。
◆調理のポイント
丸ナスは一般的な千両ナスに比べ果肉に締りがあり、煮崩れしにくいものが多いです。ただ、品種や栽培環境により果肉が柔らかくふかふかのものもあるので、切ってみて状態を見極めて調理するようにしましょう。また、イタリア品種は皮が硬いものが多いので、イタリアでは皮をむいて調理することが多いようです。
●富山のイタリアンLu PARQS 島崎ルチアーノシェフのプロスペローザ料理
富山県のイタリアンレストランLu PARQSの島崎シェフは、イタリアの茄子は皮が厚く硬いものが多く、むいて使うのが基本とのことだそうで、今回作ってくださった3品も全て皮をむいて調理されています。大皿に作ったものと、それを取り分けた状態の写真です。
◆メランザーネ・ディ・パルミジャーナ
皮をむいてカットしたプロスペローザに塩胡椒をし、小麦粉をまぶして揚げたものをモッツァレラ、パルミジャーノ、トマトソース、ナスの順に2度重ね、オーブンで焼き上げたもの。
◆プロスペローザのメランザーネ・アリーチ
プロスペローザは皮をむいてカットし、塩胡椒をしてから小麦粉をまぶして揚げておく。
イワシは塩胡椒をして小麦粉をまぶし、フライパンで両面焼き上げておく。
上のナスと鰯を斜め倒しに並べ、トマトソース、松の実、レーズン、ブロード少々をかけ、上面に香草パン粉をひろげ、オリーブ油をかけてオーブンで焼き上げたもの。
◆プロスペローザのトマト煮
皮をむいてカットしたプロスペローザを、トマトソースとコンソメとバジリコで煮込み、それを冷まして前菜などに使います。
●野菜ソムリエプロの辻川育子さんのプロスペローザ料理
◆プロスペローザの茄子バーガー
野菜ソムリエプロの辻川育子さんのプロスペローザを使った料理は、輪切りにして焼いたプロスペローザでトマトやチーズ、バジルをサンドした茄子バーガー。彩もよくおしゃれですね。
●イタリア丸茄子のその他の調理例
◆プロスペローザのミ-トソースグラタン ミルフィーユ風
イタリア茄子はミートソースとの相性も抜群なので、ミートグラタンにするととても美味しい。
写真は薄目にスライスしたものを軽く塩コショウして、オリーブ油で両面焼き上げ、塩コショウとオレガノを加えたひき肉を炒め、トマトソースを加えたミートソースを挟んで重ね、チーズをのせてオーブンでチーズが解けるまで焼いたものです。
◆プロスペローザのグリル
厚さ1.5~2cmほどに輪切りしたプロスペローザを塩水に浸してアクを抜き、水気をふき取り、全体にオリーブ油を塗ってグリルで両面焼き上げる。仕上げに胡椒を軽くふる。アク抜きの塩水を濃くするならそれで十分に塩味がつきますが、薄い場合は焼くときに塩を振って焼きます。
ナスそのものの風味が最大限に味わえる食べ方だと思います。プロスペローザは加熱調理でとろけるような食感になるタイプではなく、焼いても崩れにくく綺麗に仕上がります。
◆イタリア丸茄子(プロスペローザ)のラタトイユ
プロスペローザなど、イタリア丸ナスをダイス状にカットし、同じようにカットしたベーコン、タマネギ、パプリカなどとともにニンニクを効かけながらオリーブ油でサッと炒め、そこに白ワインとホールトマトの缶詰、ローズマリーを加えて煮たもの。
暖かい状態はもちろんですが、冷めても美味しく、前菜に使ったり、メイン料理の付け合わせにもなります。また、グラタンやパスタソースにするなど色々アレンジもしやすいです。
◆プロスペローザとトマトのサラダ
スライスして塩胡椒を振り、グリルしたプロスペローザを冷やしておき、トマトと共にバジルソースで合わせたサラダ。
グリルした丸ナスは冷やしても美味しいです。
◆プロスペローザのオイル漬け
皮をむいたプロスペローザを厚さ1.5~2cmほどに輪切りにして、塩水に浸してアクを抜き、水気をふき取ってから軽く塩胡椒を振りグリルで両面焼き上げる。焼きあがったナスを器に並べる。
フライパンに潰したニンニクとローズマリー、鷹の爪を入れ、オリーブ油をフライパンを傾けてニンニクなどが浸るくらい注いで加熱する、香が立ってきたら上の茄子の上にまわしかけ、更に熱していないオリーブ油をナスが浸るくらい注ぐ。
冷ましたものを前菜として使います。また、保存性があるので常備菜的な感じで作り置きしておき、これをアレンジして色々な料理にも使います。
◆プロスペローザのハムチーズサンドフライ
皮をむいて輪切りにしたプロスペローザを塩水に浸してアクを抜き、水気をふき取ってから軽く塩胡椒を振り、ハムとチーズをサンドして、小麦粉、卵、パン粉をまぶしてフライにしたもの。
衣をつけて揚げると意外なほどナスに油が染まないのであっさりした味わいになります。物足りない場合は、ナスをオリーブ油でサッと両面焼いてからサンドして衣をつけ揚げると良いでしょう。
◆メランツァーネ・ビステッカのステーキ ひき肉餡かけ
ビステッカを厚めに輪切りにし、両面格子状に隠し包丁を入れてから塩胡椒を振り、オリーブ油で両面焼き上げます。
火が通ったら皿に盛り、ひき肉を生姜のみじん切りと共に炒め、オイスターソースと中華スープ、水溶き片栗粉で仕上げナスの上からたっぷりかける。
餡は麺つゆで和風に仕上げても、コンソメで洋風に仕上げてもいいい。
このナスの食感とひき肉に負けないナスの旨味に感動します。
◆メランツァーネ・ビステッカ
ビステッカをさいの目に切り、潰したニンニクとともにオリーブ油でさっと炒め、あらかじめみじん切りのタマネギを炒めてホールトマト缶を加えて似ておいたトマトソースのベースを加えて煮たもの。
今回はナスだけで作りましたが、ズッキーニなども加えてラダトイユやカポナータにしても良いでしょう。
このナスはこれくらい煮込んでも崩れにくいのがいいところ。出来立ても美味しいですが、冷蔵庫で冷やしても美味しいので、常備菜的にまとめて作ることができます。
◆メランツァーネ・ビステッカとジャガイモのガレット
細切りにしたジャガイモに塩胡椒を振り、もみ込んでからフライパンに広げて両面焼き上げ、ある程度火が通ったら上にチーズをのせ、その上にスライスしたビステッカを敷き詰めるように乗せる。
これを裏返してナスに火が通って焼き色が付くまで焼いたら出来上がり。
ジャガイモとナス、それにチーズが三位一体となってとても美味しいです。切り分けて肉料理の付け合わせに使っても良いでしょう。
◆プロスペローザの冷製ジェノベーゼスパゲッティ
プロスペローザのオイル漬けを使い、トマトとハムを合わせ、冷製のパスタにしたもの。
オイル漬けというとくどい印象がありそうですが、とてもさっぱりとした味わいで美味しいです。
◆プロスペローザの揚げびたし
イタリア茄子ではありますが、プロスペローザは皮がそれほど厚くなく日本のナスに似ているので、揚げびたしにしてみました。
縦に切り込みを入れたものを丸ごろ揚げ、上から出汁をかけています。熱々も美味しいですが、冷たくしても美味しいです。
◆トンダビアンカと鶏のフリカッセ
鶏を白味噌仕立てのクリーム煮にしたものと、塩胡椒してニンニクを利かせたオリーブオイルでソテーしたトンダビアンカを組み合わせ、サンドにしたものです。
今回、皮をむかずに調理しましたが、トンダビアンカなどはやはり皮は硬く口に残りやすいので、むいて調理した方が良いでしょう。
◆西洋品種の丸なす
近年イタリア野菜など西洋品種もよく見かけるようになりました。