●紀州てまりの来歴や特徴

 「紀州てまり」は和歌山県が「早秋」と「太秋」の交配から選抜育成し、10月下旬から収穫できる早生の甘柿としてブランド化を進めている和歌山県オリジナルの完全甘柿新品種です。

◆紀州てまりの来歴

 「紀州てまり」は和歌山県果樹試験場において、2008年に極早生の完全甘柿品種の「早秋」を母、極めて大玉で、サクサクとした食感と多汁で甘い完全甘柿品種である「太秋」を父として交配し、得られた46個体の実生から、2013(平成25) 年に初結実し大果で外観および食味が優れた系統を2016(平成28)年に選抜、2017年に種苗法に基づく登録出願、2019年に品種登録された和歌山県のオリジナル柿新品種である。

紀州てまり 甘柿

 名称は大果で丸く、和歌山の民芸品で知られる紀州手毬に因んでいるそうで、2020(令和2)年から出荷が始まり、ブランド化がすすめられている。

◆紀州てまりの特徴

 「早秋」と「太秋」といういずれも完全甘柿品種同士から生まれた本種もまた完全甘柿品種である。

紀州てまり 甘柿

 果実は400gほどにもなる大果で、果形は「太秋」に似ており、果皮色は「太秋」よりも濃いめの橙色だが、「早秋」ほど赤くはなく、熟すにしたがって橙赤になっていく。

 果肉は橙色でサクサクとした食感に近く、糖度は16~17%と高い傾向があり、熟すにしたがって果汁感が増していく。種子はほとんどなく、あっても1~2個程度で食べやすいのも特徴。

紀州てまり 甘柿

 農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。

『-----

 果実の大きさは極大、果実の縦断面の形は扁円形、果実の横断面の形は角形、

 果頂部の形は凹形、果頂の溝の明瞭度は中、果頂の条紋の明瞭度は無又は弱、果頂の裂果性は無又は弱、

 ていあ側面の形はやや下る、へたすき性は無又は弱、

 果実に対するへたの大きさは中、へた片の幅は中、

 果皮の色は橙、果肉の色は橙、果肉の褐斑の有無は時々有、種子の大きさはやや小、種子の形は卵形、

 成熟期はやや早、甘渋性は完全甘柿である。

 出願品種「紀州てまり」は、対照品種「太秋」と比較して、雌雄性が雌花のみであること、果頂の条紋の明瞭度が無又は弱であること等で区別性が認められる。

 対照品種「早秋」と比較して、果実の大きさが極大であること、成熟期がやや早であること等で区別性が認められる。

-----』以上、抜粋。

◆実際に食べてみた紀州てまりの食味

 撮影試食した「紅てまり」は11月7日に届いた2L-3L 6玉入り(約1.6kg)の進物向けで、1個あたり320~340gのもので、「紅てまり」としてはやや小ぶりであった。

 食べた食感は「太秋」を思わせるようなサクサクとした食感で果汁感は弱いものの、甘味はしっかりとあって美味しい柿だった。計った糖度は16%足らずだったので、収穫するタイミングが少し早かったのかもしれない。

紀州てまり 甘柿

●紀州てまりの主な産地と旬

◆主な産地と生産量

 「紅てまり」は和歌山県が育成したオリジナル品種として県内でのみ栽培が許諾されている。2019年に品種登録されて以降、徐々に栽培面積を広げ、令和4年産の特産果樹生産動態等調査では40.7hとなっているがその翌年には55haとなっている。

 栽培出荷しているのが和歌山県だけで、まだ新しい品種なので、まだまだ市場に出回る数は少なく、ブランド化が図られていることもあって価格はそれなりに高い。

紀州てまり 甘柿

◆紀州てまりの収穫時期と旬

 収穫は刀根早生と富有柿の間、10月中旬頃から始まり、11月へ順頃まで出荷される。

品種 9月 10月 11月 12月
紀州てまり                        

< 出 典 >

 ※ カキ新品種‘紀州てまり’栽培マニュアル~①品種特性と栽培上の留意点~

 ※ 2020年に出荷を開始「紀州てまり」 和歌山新報 2023.1.22

 ※ 「登録番号 27401」 農林水産省品種登録データベース

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