●ジュノハートとは
「ジュノハート」は青森県が14年かけて育成したきわめて大粒で果形がハート形のオリジナルさくらんぼ新品種です。中でも4L以上で品質が優れているものは「青森ハートビート」として出荷されています。
◆ジュノハートの来歴
「ジュノハート」は青森県産業技術センターりんご研究所県南果樹部において「紅秀峰」に「サミット」を交配し、得られた実生から選抜育成されたさくらんぼ(桜桃)品種です。育成の過程は下記の通り。
1997(平成9)年 りんご研究所県南果樹部においてオウ トウの育種開始。
1998(平成10)年 高糖度で果肉の硬い「紅秀峰」に、果実が大きく濃赤色に着色する「サミット」を交配。35 個体の実生を得る。
1999(平成11)年 選抜ほ場に定植。
2002(平成14)年 結実性、果実形質および食味を主眼に 個体選抜開始。
2004(平成16)年 結実が良く大 果で着色に優れ、糖度が高く食味が良いなど、果実品質が 優れる個体番号 98-3-2 を一次選抜、系統名を「オウトウ青森 3号」とする。
2005(平成17)年 「南陽」/アオバザクラ台木 11 年生樹に高接ぎ。着色期 から収穫期まで雨除けフィルムで被覆。
2011(平成23)年 育成試験を完了。
2012(平成24)年 種苗法に基づき登録出願。
2013(平成25)年 品種登録完了(品種登録番号 22893)。
2015(平成27)年 青森県内限定で苗木販売開始。
2019(令和元)年 青森県内でプレデビュー。
2020(令和2)年 全国に向けて本格的に販売開始。
「ジュノハート」という名称は『家庭の幸福をつかさどるローマ神話の女神「Juno」 と果実がハート形であること』に因んでいます。
ジュノハートは実の大きさとハート形の美しさから県のオリジナル品種としてブランド化がすすめられ、品質が優れたものは贈答向けの高級ひんとして高値で取引されています。八戸での初セリでは「青森ハートビート」15粒入りの化粧箱が、2022年は最高で1箱60万円、2023年は50万円で落札されたことで話題になっていました。それぞれ一粒あたり4万、3万3千円ということです。
◆ジュノハートの特徴
ジュノハートの果実は試験中では3L(Φ28~31mm)が63%と最も多く、次いで2L(Φ25~28mm)で21%、4L(Φ31~34mm)は15%となっており、3L以上の大粒が78%を占めています。果実重は約11gです。(写真は4Lサイズで果重14.9gです。)
果形は短心臓形で、果皮の色は濃赤で熟すにしたがって紫黒色に着色していきます。
果肉は淡黄色で硬く、糖度は19.1°で甘味が多く、 酸含量は 0.53%で酸味は少ない品種となっています。また、核は大きめですが、離れやすく食べやすいのが特徴です。
農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。
『-----
果実の大きさは極大、果実の形は心臓形、果頂部の形は平、果実の縫合線の明瞭度は不明瞭、
果柄の長さはやや長、果皮の色は濃赤、
果肉の色はクリーム、果実の硬さは硬、果実の酸味は低、果実の甘味は高、果汁の多少は多、
核の大きさは大、核の形は広楕円形、
開花始期は晩、収穫始期はやや晩である。
出願品種「ジュノハート」は、対照品種「Jのしずく」と比較して、果実の大きさが極大であること、果実の硬さが硬であること、果実の酸味が低であること等で区別性が認められる。対照品種「佐藤錦」と比較して、果実の大きさが極大であること、果実の硬さが硬であること等で区別性が認められる。対照品種「紅秀峰」と比較して、果実の大きさが極大であること、果実の形が心臓形であること等で区別性が認められる。
-----』以上、抜粋。
◆実際に食べてみたジュノハートの食味
撮影試食したジュノハートは6月下旬に届いた青森県南部町産4L(ハートビート含む)(15粒入り)です。
箱を開けると、15個の穴を開けたスポンジに一粒ずつ丁寧に埋め込まれた状態で詰められており、高級感が感じられます。贈答向けだけに一粒一粒がとても美しいです。ただ、想像していたほどはホームページで見るようなハート形にはなっていない気もしました。
食べてみると皮は比較的柔らかく、果肉もしっかりとしてはいますが硬すぎず食べた時の食感がとてもいいです。そして強い甘味が広がり、わずかな酸味も感じられ、味全体に深みが感じられました。計ってみた糖度は20~21%ありました。高いだけあって見た目の良さはもちろんですがやっぱり美味しいな・・・というのが率直な感想です。
●ジュノハートの主な産地と旬
◆主な産地と生産量
ジュノハートは青森県のオリジナル品種としてブランド化がすすめられており、栽培できるのは青森県内に限定されています。
主に南部町、八戸市、五戸町で栽培されています。
◆ジュノハートの収穫時期と旬
ジュノハートの収穫時期は佐藤錦より少し後になり6月下旬頃から始まり、7月中旬に差し掛かった頃までとなります。
産地が限られ、出回る期間も短く、収穫量もそう多くはないので、予約購入するか、見かけた時が買い時となります。
品種 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | ||||||||
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ジュノハート |
< 出 典 >
※ Junoheart 青森県ジュノハート公式ホームページ
※「オウトウ新品種'ジュノハート'の育成経過とその特性」園芸学研究 2014 年 13 巻 4 号 p. 379-384
※「おうとう新品種 ’ジュノハート’ 」青森県産業技術センターりんご研究所県南果樹部
※「登録番号22893 ジュノハート」 農林水産省品種登録データベース
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