紅秀峰（べにしゅうほう）：来歴や特徴と産地と旬

●紅秀峰（べにしゅうほう）とは？

　「紅秀峰」は山形県立園芸試験場において「佐藤錦」に「天香錦」を交配し、その実生から選抜育成された、大粒で短心臓形、着色がよく甘味が強いサクランボ品種です。1991年に品種登録され、2023年の時点で佐藤錦に次いで2番目に広く栽培されている品種です。

◆紅秀峰の来歴

　「紅秀峰」は山形県園芸試験場（現：山形県農業総合研究センター園芸農業研究所）において1979年（昭和54年）に「佐藤錦」に「天香錦」を交配し、その実生の中から選抜・育成された品種で、初結実は1986年（昭和61年）だったそうです。

　1990年（平成2年）に種苗法に基づく登録出願、1991年（平成3年）に品種登録されています。

　デビューから30年以上も経つ今も「佐藤錦」に次ぐ栽培面積を占めている重要な品種となっています。

◆紅秀峰（べにしゅうほう）の特徴

　紅秀峰（べにしゅうほう）の果形は短心臓形、大きさは９～10ｇ程と大きめで、果皮の色は帯赤黄斑で色付きがよく、国産のサクランボの中では濃く感じられます。近年、海外輸出を念頭に大玉化の栽培技術が開発され、３Lサイズ（28mm 以上）のものが増えています。

　果肉の色はクリーム色で着色はありません。果肉は硬めでしっかりとしていますが果汁はたっぷりと含まれ、糖度は20パーセント前後で、酸はph3.7から4.0と酸味が少なくとても甘く感じられます。

　他の品種と比べ比較的日持が良く、流通性にも長けているとされています。

　農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。

『-----

　果実の外観は短心臓形（横に張る）、果頂部の形は平、凹は中、梗あの深さは中、広さは広、果実の大きさは大（９ｇ程度）である。

　果皮色は帯赤黄斑、着色はやや多、

　果肉の色はクリーム、果肉内の着色は無、核周囲の着色は微である。

　果肉の硬さは硬、果汁は多、甘味は多（糖度２０度程度）、酸味は少である。

　核と果肉の粘離は粘、核の形は円、大きさは中である。

　成熟期は満開から５５日以上、育成地において６月下旬、結果性は多、生理落果の多少は無、裂果性は中、果実の日持ちは良である。

　「佐藤錦」と比較して、果頂部の形が平であること、梗あが深く広いこと、果実の大きさが大きいこと、果肉の硬さが硬いこと、生理落果が少ないこと等で、「天香錦」と比較して、梗あが深いこと、果実の大きさが大きいこと、核と果肉の粘離が粘であること等で、「ナポレオン」と比較して、果頂部の形が平であること、甘味が多いこと、酸味少ないこと等で区別性が認められる。

-----』以上、抜粋。

◆実際に食べてみた紅秀峰の食味

　これまで紅秀峰は幾度となく食してきましたが、近頃は以前よりも大きく、そして甘くなったように思います。もちろん生産者やその年の気候によって差があるのは当然ですが・・・。

　今回撮影試食した紅秀峰は6月下旬に普通にスーパーに並べられていた山形県産の1パック600円ほどのものです。

　実は３Lサイズのものが多く、しっかりと着色していながら濃過ぎない綺麗な色合いでした。そして、食べてみるとパリッとした食感で果汁が弾け、口の中に強い甘みが広がりました。計ってみた糖度は20％をはるかに超える24.4～26.7％もありました。

　昨今「ジュノハート」や「やまがた紅王」が登場し話題となっていますが、この品質の紅秀峰がこの価格で楽しめることを思うとすこしもやもやした気分になってしまいました。ちなみに、先日撮影試食したジュノハートは一粒でこの一パック分の価格でした。

■紅秀峰の主な産地と旬

●紅秀峰の主な産地と栽培面積

　紅秀峰は今なお人気の品種で、栽培面積では佐藤錦に次いで広く栽培され、サクランボ全体で見ると2020年産では14％ほどを占めています。

　紅秀峰の主な産地は育成された山形県で、農林水産省がまとめた令和２年産の栽培面積を見ると山形県が全国の８割以上を占めています。

●紅秀峰（べにしゅうほう）の収穫時期と旬

　紅秀峰（べにしゅうほう）は晩生種で、佐藤錦の後に収穫が始まります。露地物は山形県辺りでは６月下旬～７月下旬、に収穫されます。それより南の地方やハウス物などはそれより早く６月上旬辺りから出回り始めます。

品種	5月			6月			7月			8月
＜品名＞

＜ 出　典 ＞

　※　「さくらんぼ大百科事典【品種解説】」山形県寒河江市ホームページ

　※　「登録番号2893　紅秀峰」　農林水産省品種登録データベース