●オリンピアとは
「オリンピア」は澤登晴雄氏が「巨峰」と「巨鯨」を交配し育成した8月上旬から中旬に収穫できる果皮が紅色の大粒ぶどう品種で、甘味が強く「ハチミツぶどう」とも呼ばれるが、栽培の難しさからかつては幻のぶどうとも言われていた。
◆オリンピアの来歴

「オリンピア」は澤登晴雄氏が1953年頃に「巨峰」に「巨鯨」を交配し、その実生から選抜育成した果皮が紅色のぶどう品種で、同じ交配から生まれた「ブラックオリンピア」の兄弟品種にあたる。
澤登晴雄氏は東京都国立市に農業科学化研究所を設立し、1978年に13品種、2003年に2品種の計15品種を登録出願、品種登録されている。ただ、生食用ぶどうは「オリンピア」をはじめ、「ブラックオリンピア」など「巨峰」系中心で、品種登録されている物の多くは主にワイン用品種である。
「オリンピア」は大粒で食味がとても甘く香りも上品であることから”蜂蜜ぶどう”とも呼ばれてきたが、花流れ(花が咲いても受粉が上手くいかず実が付かないこと)しやすく果房を整えるのが難しい上に、裂果しやすいなど栽培する上での問題点が多かったため、わずかな生産者しか栽培を続けられず、一時は”幻のぶどう”などと言われたこともあった。
2025年現在は栽培技術が進み、幻と言われるほどではなくなったものの、それでも栽培するにはハードルが高い品種であることに違いはないだろう。
◆オリンピアの特徴
「オリンピア」の果房は短円錐形で、果粒は13~16gと大きく、果皮色は鮮やかな紅色で外見がとても上品で美しい。

果肉の肉質は「巨峰」に似ているが、甘味が強く、また香りが上品で強いのが特徴。
皮は薄いが果肉との分離はしにくい。
◆実際に食べてみたオリンピアの食味
撮影試食したオリンピアは8月上旬に石川県かほく市の架谷ブドウ園さんに行き、直売所で購入した一房423gのものです。

果房は大きくは無いが綺麗に整えられ、果皮の色は全体に美しい紅色に着色している。
また、果粒は果梗にしっかりと付いており、軸を持って多少上下に降った程度では脱粒もしなかった。
試しに皮を剥いてみた。果梗の付け根から剥いたが途中で切れてしまうので、果頂部にナイフで十字に切り込みを入れてそちらからも剥いてみたが、やはり途中で切れてしまった。綺麗に皮を剥くのは困難である。
食べてみると果肉は締りがあり、それでいて果汁感も十分感じられ、そして濃厚な甘さが口に広がった。甘味が強く、酸味が負けていて、”蜂蜜”を思わせる味わいと表現される意味が良くわかった。香りもまた甘く芳醇な印象だ。計った糖度はいずれも20%を超え、高いものでは22.2%もあり、正にハチミツぶどうと言える。

ただただ残念なのは皮と果肉がはがれにくく、皮を取り出しにくい。ただ、口の中で皮を噛んでも渋みはあまりなく味を損なうことはなかった。
今回試食した物は非常に品質が高く、架谷ブドウ園さんのこだわりをうかがい知ることができた。
●オリンピアの主な産地と旬
◆主な産地と生産量
オリンピアは食味がとてもいいにもかかわらず、栽培上の問題が多いために栽培に取り組む生産者はすくない。
まとまった産地は山形県で、2022(令和4)年産の特産果樹生産動態等調査では1.4haとなっていて、それ以外の他府県には記録がない。
これに記載されるほどまとまってはいないが、各地のブドウ産地でも個々の農園で少量栽培されている。
◆オリンピアの収穫時期と旬
オリンピアの収穫時期は関東以西では8月上旬頃から始まり下旬頃まで。
山形県では9月中旬~10月上旬となっている。
オリンピア | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | ||||||||
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関東以西 | ||||||||||||
山形県 |
< 出 典 >
※ オリンピア物語 上原果樹園
※ オリンピア(はちみつぶどう) JAタウン
※ オリンピア ブドウ品種総図鑑 植原宜紘 編著 p.120
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