バラード:来歴や特徴と産地や旬
●バラードとは
◆バラードの来歴
山梨県甲府市の米山孝之氏が自園において欧州種系の「バラディ」に米国品種の「ゴールド」を交配し、その実生から育成した果皮の色が黄緑のブドウです。1997(平成9)年に登録出願され2001(平成13)年に品種登録されています。
この「バラード」はあまり市場には出回っていませんが、この品種が交配親となった「ベニバラード」は比較的生産者が多く市場でも見かけます。また、「ベニバラード」同じ交配親で生まれた「ベニバラオー」という品種もあります。
◆バラードの特徴
「バラード」の果房は比較的大きな有岐円錐になりますが着粒はやや粗くシャインマスカットなどのようにびっしりと粒が付いた塊にはなりにくいようです。
果粒は長楕円形で今回入手したものは直径2cm、長さ3cmほどでした。
果皮は薄く、果肉からはがれにくいので皮ごと食べるタイプのブドウです。糖度が高く酸味があまりない甘いぶどうで、マスカット香を持っているのが特徴です。
農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。
『----------
果房の形は有岐円錐、大きさは大、長さは長、着粒の密度は粗、果梗の太さ及び長さは中、色は黄緑である。
果粒の形は長楕円、大きさはやや大、果皮の色は黄緑又は黄白、果粉の多少は少、果皮の厚さはかなり薄、果皮と果肉の分離性は難、
果肉の色は不着色、肉質は崩壊性、甘味は高、酸味は極少、渋味は少、香気はマスカット、果汁の多少はかなり少、種子の数、形及び大きさは中である。
発芽期及び開花期は中、成熟期はかなり早で育成地においては7月下旬~8月上旬である。花振いの多少は多、無核果粒の混入、裂果の多少及び果梗の強さは中、果梗と果粒の分離はやや易である。
「ネオマスカット」と比較して、肉質が崩壊性であること、成熟期が早いこと等で、「バラディ」と比較して、香気がマスカットであること、成熟期が早いこと等で区別性が認められる。
----------』 以上、抜粋。
◆実際に食べてみたバラードの食味
入手したものは長野県松本市産で9月初旬でした。房は大きな塊ではなく、他の品種と詰め合わせにして売られていたものです。
食べてみると皮がとても薄く、粒を噛んだ時の歯切れがよく、果肉も欧州系らしいしっかりとした硬さがありポリポリ噛んで食べるような肉質です。
甘味が口に広がり、酸味はほとんど感じられませんでした。種もなく、スナック菓子のように次々口に放り込んで食べてしまう感じです。そして食べているときにふんわりとマスカットの香りも感じられました。
●主な産地と旬
◆主な産地と生産量
「バラード」の生産量は極わずかで、農林水産省の統計データにも記載されていません。
長野県や山梨県など、各地のブドウ産地で、個々の農園で少しずつ栽培されているにすぎないようです。
◆バラードの収穫時期と旬
「バラード」は早生品種で、育成地の山梨県甲府市での成熟期は7月下旬~8月上旬となっています。
ただ、各地の農園での収穫時期を調べてみると9月上旬~下旬にかけてが多くみられます。今回入手したのも9月初旬でした。
品種 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | ||||||||
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バラード |
●バラードの写真ギャラリー
撮影機材: CANON EOS 5DⅣ , EF24-70mm F4L IS USM , EF100mm F2.8Lマクロ IS USM
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