いちご 愛きらり（愛経４号）の来歴や特徴と産地と旬

●愛きらりとは

「愛きらり」は愛知県とJAあいちが「章姫」と「かおり野」や「あまおとめ」を交配し共同開発した「愛経４号」という愛知県オリジナルイチゴ品種で、2023年から「愛きらり」という商標で販売が始まった新品種です。

◆愛きらりの来歴

　「愛きらり」は愛知県農業総合試験場と JA あいち経済連が共同で開発した愛知県オリジナルイチゴの新品種です。交配親に用いられたのは、種子親に「章姫」と「かおり野」との交配系統「13-18」、花粉親には「あまおとめ」と「章姫」との交配で得られた系統「12-21」です。つまり、「章姫」をベースに「かおり野」と「あまおとめ」を掛け合わせて生み出されたイチゴとなります。

　育成の過程は下記のとおりです。

　2015（平成27）年　系統「13-18」に系統「12-21」の花粉を交配、得られた72個体の実生から8系統を一次選抜。

　2016（平成28）年　二次選抜により2系統が選抜。

　2017（平成29）年　三次選抜により系統「15-2-8」が選抜。

　2018（平成30）～2020（令和2）年　特性検定及び現地適応性試験等に供試。

　2021（令和3）年　1月に「愛経４号」として愛知県と愛知県経済農業協同組合連合会の連名で種苗法に基づく登録出願。　

　2022（令和4）年　流通上の商標を「愛きらり」とし、商標登録。

　2023（令和5）年　2月からブランド名で「愛きらり」として販売を開始。

　「愛きらり」という名称は育成に携わった関係者から募った216案から選ばれ、愛知県産であることと、特徴である光沢感をイメージしてつけられています。

　また、2024年1月15日から、通常の約3倍の大粒のものが「でかきらり」という名称で販売されています。

◆愛きらりの特徴

　「愛きらり」の果実は大きく、果形は整った円錐形で揃いがよく、果皮は濃い赤色で光沢に優れているのが特徴です。

　また、このイチゴは中の果肉も赤い色が濃く、果芯部も赤いのが特徴で、糖度は「章姫」「紅ほっぺ」「ゆめのか」などと同等となっていますが、収穫期間中安定して高いのが特徴です。

　農業総合試験場研究報告には以下の通り記載されています。

　●果実の大きさは大、果形は縦長の円錐形、

　●果皮の色は赤、着色のムラは強、光沢は強、そう果の落ち込みは小、

　●ガクの着床位置は隆起、ガク片の付き方は水平、

　●果実の硬さは硬、果肉の色は淡赤、果芯の色は淡赤、果芯の空洞は無

◆実際に食べてみた愛きらりの食味

　撮影試食した「愛きらり」は3月18日に松坂屋名古屋店で購入したもので、9粒／pcで1,080円（税込）でした。

　イチゴの大きさは平均29ｇほどで、確かに艶やかで色も全体に良く着色し、黒いパックに良く映えていました。

　食べてみると、歯触りは硬めで甘味と共にしっかりとした酸味もあり、イチゴらしい味わいで個人的にはとても気に入りました。イチゴは甘さは重要ですが、適度な酸味もとても大切だと思うのです。

　また、このイチゴは中も赤い色が強めで、断面が美しくトッピングに使うと映えると思います。また、ピューレにしても色が濃く、製菓にも向いていると思います。今回計った糖度はまるごと潰したものでは13％ほどで、下方３分の１だけを潰して計ると15％前後ありました。

●愛きらり（愛経４号）の主な産地と旬

◆主な産地と生産量

　「愛きらり」は愛知県とのJAあいち経済連が共同で開発した愛知県のオリジナル品種で、栽培は愛知県内に限定されています。

　2020（令和4）年度は、愛知県いちご生産組合連合会の生産者のうち61名（12JA、13 産地、約1.4ha）で作られていたそうです。2023年は、県内11産地で約3.2ha、2024年には県全体で約13haとなる予定だそうです。

　2024年3月の時点では、販売は主に県内の百貨店をはじめ量販店などとなっています。

◆愛きらりの収穫時期と旬

　「愛きらり」の収穫は11月頃から5月頃までです。

品種	1月	2月	3月	4月	5月	6月	7月	8月	9月	10月	11月	12月
愛きらり

＜ 出　典 ＞

　※　「イチゴ新系統「愛経 4 号」の育成」愛知県農業総合試験場研究報告第 53 号:95-103(2021)

　※　「2 月 1 日、いちご新品種ブランド「愛きらり®」がデビュー！」JA あいち経済連　ニュースリリース2023年1月12日

　※　「甘さ きらめく 愛知のいちご 「愛きらり®」」愛知県

　※　「出願番号35193　愛経4号」　農林水産省品種登録データベース

　※　「登録6614844　愛きらり」特許情報プラットフォーム　特許庁