●ネーブル オレンジの分類と特徴

 ネーブルオレンジとはワシントンネーブルとその枝変わりを含む品種群の総称で、いずれも名称の由来になっている、果頂部(お尻の部分)にへそ状の窪みがあるのが特徴です。

◆ネーブル オレンジとは

分類:ムクロジ目 > ミカン科 > ミカン属 > オレンジ > ネーブルオレンジ

学名:Citrus sinensis (L.) Osbeck var. brasiliensis Tanaka (1944)

英名:Navel Orange 仏名:Les Oranges Navel

和名:ネーブルオレンジ

ネーブルオレンジ(Navel-orange)のへそ

 「ネーブル」とは、“へそ”を意味する言葉で、オレンジの果頂部(お尻の部分)のくぼみがへそに似ているから付けられた名前です。

 一般的に輸入され店頭に並んでいるものの大半はワシントンネーブルと呼ばれている品種で、1800年代初頭にブラジルのバイーア州で選抜された、ポルトガル産「セレクタオレンジ」の枝変わりと考えられており、1870年代初頭にワシントン DC の農務省ウィリアム・サンダースが取り寄せ育成、1873年、サンダース家と親交のあったカリフォルニア・リバーサイドのイライザ・ティベッツが苗木を取り寄せ、栽培を始めたのが現在のカリフォルニアにおけるワシントンネーブルの始まりとなっています。

 このワシントンネーブルは種子がほとんどなく、クローンを作成する接ぎ木によって増殖されてきたのですが、枝変わりが発生しやすい傾向があるそうです。現在作られている色々なネーブルの亜種の多くはそうした枝変わりを育成したもので、ワシントンネーブルがルーツとなっています。

◆ネーブル オレンジの特徴

 ネーブルオレンジの果実はやや縦長の楕円形をしているものが多く、果頂部(お尻の部分)にへそ状の窪みがあることで、これが名前の由来にもなっています。

白柳(しろやなぎ)ネーブル オレンジ シロヤナギ

 皮は薄く、手で剥くのは難しいので、通常はナイフで皮を剥きます。中のジョウノウ膜は薄いものが多く、サジョウと共に食べることが出来ます。

 味的には甘み酸味共に濃く、華やかな香りも強いのでバレンシアオレンジよりも美味しいのですが、果汁が劣化しやすくバレンシアオレンジに比べると日持ちしないので注意が必要です。また、種がほとんど無いのも特徴です。

●果肉だけのカルチェにはしにくい品種

ネーブルオレンジ(Navel-orange)

 ネーブルオレンジの特徴はへそがあることですが、その部分の断面を見ていただくと分かるように、果肉が底の部分で更に分化し、小さな房になっている物が多いので、バレンシアオレンジなどのように綺麗なクシ状の房取りがしにくいので注意しなければなりません。

 食べる時はスマイルカットにして、皮もナイフで落とすと食べやすいです。

●ネーブル オレンジの品種紹介

●主な品種と栽培面積

 現在国内で栽培されている主な品種にはワシントンネーブルをはじめ白柳ネーブル森田ネーブル、大三島ネーブル、村上ネーブル、吉田ネーブルなどがありますが、ほとんどのお店では品種名が明記されず、産地と単に”ネーブルオレンジ”として販売されています。

 国内の品種別栽培面積は農林水産省が平成18年までしか集計していないため少し古い情報ではありますが参考として紹介しておきます。

ネーブルオレンジの品種別栽培面積

ネーブルオレンジの品種詳細ページ

 それぞれの画像または品種名をタップ(クリック)すれば詳細ページに移ります。

ワシントンネーブルオレンジ

ワシントンネーブル

 ブラジルのバイーア州で選抜された「セレクタオレンジ」の枝変わりとされ、多くのネーブルのルーツとなる品種。

白柳ネーブル

白柳ネーブル

 1932年に静岡県三ヶ日町の加茂吾郎氏が発見し育成したワシントンネーブルの枝変わり大玉品種

森田ネーブル

森田ネーブル

 1948年に静岡県三ケ日町の森田要市氏が発見し育成したワシントンネーブルの枝変わり晩生品種

デリッシュネーブル オレンジ

デリッシュネーブル

 品種名ではなく、愛媛県の中島で作られているネーブルオレンジのブランド名です。使用されているのは主に「白柳ネーブル」

●ネーブル オレンジの主な産地と旬

◆主な産地と生産量

 ネーブルオレンジはオーストラリアやアメリカなどから大量に輸入されています。国内ではみかんの暴落を受け、当時高値で取引されていたネーブルオレンジに注目が集まったことから1980年代に一時広く栽培が広がり、収穫量も6万トンを超えるほどにまでなりましたが、1991年からオレンジの輸入が自由化され、安く海外から大量に入ってくるようになり、国内の栽培面積はどんどん縮小され収穫量もピーク時の5%ほどにまで減ってしまっています。

ネーブルオレンジの産地別収穫量

 また、近年は甘くておいしい柑橘の新品種が次々登場し、そういったものが栽培面積を増やしていっている事も要因の一つです。

 とは言え、輸入物のネーブルオレンジには防カビ剤などの心配があったりするので、国産のネーブルはこれからも需要があると思います。

◆ネーブル オレンジの収穫時期と旬

 輸入物のネーブルオレンジはオーストラリア産が8月頃から12月頃にかけて輸入され、アメリカ産は1月頃から7月頃までとなっています。

 国内では12月から3月頃にかけて収穫され店頭に並びます。

ネーブル オレンジ 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
国産                        
オーストラリア                        
アメリカ                        

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