メイポメロ：来歴や特徴と産地や旬

●メイポメロとは

　メイポメロは果樹試験場興津支場（現 農研機構 果樹研究所:カンキツ研究興津拠点）が暖地向きの「ブンタン」似た食味や外見の柑橘を一般地でも作れるようにと、「ハッサク」に「平戸ブンタン」を交配して育成し1985年に品種登録された雑種です。

◆メイポメロの来歴

　育成の過程は下記のとおりです。

　1946（昭和21）年　果樹試験場興津支場においてハッサクに平戸ブンタンを交配

　1947（昭和22）年　得られた種子を播種し育成

　1949（昭和24）年　個体番号542として育種圃場に定植

　1960（昭和35）年　果実の外観及び品質から選抜

　1961（昭和36）年　接ぎ木苗を養生　果実の特性調査を継続

　1974（昭和49）年　系統名「興津15号」として第3回育成カンキツ系統適応性検定及び特性検定試験に供試

　1984（昭和59）年　「メイポメロ」と命名され、品種登録出願、「ぶんたん農林1号」として農林登録

　1985（昭和60）年　品種登録完了

　なお、「イエローポメロ」とは同じ時期に同じ交配から生まれた兄弟品種です。

◆メイポメロの特徴

　メイポメロの果実は球形で、平均的な果重が500g～600g、果皮の色は明るい黄色で外見はブンタンとほぼ同じ。

　皮は厚みがあり、ブンタンと同じく、手だけで剥くのは難しく、ナイフで切り込みを入れるか、上下を切り落とせば後は手で簡単に剥くことができる。

　サジョウの粒はしっかりとしており、ブンタンと同じように袋（ジョウノウ幕）を剥いて果肉だけにしやすい。

　食味はさっぱりとした上品な甘さと控えめな酸味、それに少し苦みがある。

　農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。

『-----

　果実の大きさは５００～６００ｇで大、果形はほぼ円（果形指数１１０）、果頂部の形は窪陥、果頂凹部の深さは浅、花柱痕の大きさは中、果梗部の形は平面、果梗部放射条溝果の多少は少なく、その深さは浅い。

　果皮は１２月中下旬に完全着色し、黄色で「平戸ぶんたん」より濃いが「イエローポメロ」より淡く、果面の平滑度は中で「はっさく」より滑らかである。

　果皮の厚さは１１．０ｍｍ程度で厚く、硬く、果実のしまりは良く、剥皮は難である。

　果実の中心柱は大きく、じょうのう数は平均１３．２個、じょうのう膜は硬く、果肉の色は黄、果汁の多少は中である。

　果汁の甘味は１１～１２度となるが、酸含量が１．３％程度に減少するのは５月に入ってからで、４月下旬～５月が食味適期である。

　果肉はぶんたん香とわずかに苦味があり、風味良好である。種子数は３０～５０粒で多く、単胚である。隔年結果性は低く、生理的落果は少ない。

　「平戸ぶんたん」と比較して、果実が小さく円形であり、果皮色が濃いこと等で、「はっさく」と比較して、果形が円で果面が滑らかであり、果皮が厚いこと等で区別性が認められる。

-----』以上、抜粋。

◆実際に食べてみたメイポメロの食味や食べ方

　撮影したメイポメロは5月中旬に静岡県富士川SAで購入したもので、750gほどのものと、1kgを超える大きなものでした。

　皮をむくときの感触はブンタンにとてもよく似ており、ジョウノウ膜（果肉を包む薄皮）も簡単にはがせるため、中の果肉（サジョウ）を房ごときれいに取り出すことができました。

　実際に食べてみると、舌触りや食感もほぼブンタンと同じで、計ってみた糖度は11.5％とあまり甘くはないものの、酸味は控えめです。ハッサク特有のほろ苦さが少し感じられ、この時期に食べると、その控えめな甘さがかえって美味しく感じられました。

　果肉の粒もしっかりしているため、綺麗に房どりして器に盛り付けると見栄えが良いです。また、ほぐしてサラダなどの料理に使うのにも適しています。

　皮は厚みがあり、砂糖漬けにすると美味しく食べられます。

●メイポメロの主な産地と旬

◆主な産地と生産量

　メイポメロはその食味の良さにもかかわらず、登録から既に40年も経っているのですが、生産量が少なく知名度はかなり低いと思われます。

　主な産地は静岡県ですが、栽培面積、生産量はとても少なく、農林水産省の統計には記録がありません。

◆メイポメロの収穫時期と旬

　メイポメロの収穫時期は5月中旬から6月上旬にかけてで、正に初夏の柑橘と言えます。

品種	４月			５月			６月			７月
メイポメロ

＜ 出　典 ＞

　※メイポメロ　農研機構果樹茶業研究部門 育成品種紹介

　※カンキツ新品種“メイポメロ"と“イエローポメロ"について　果樹試験場報告B12, p.1-15(1985)

　※メイポメロ　「登録番号　916」　農林水産省品種登録データベース