●彩玉(さいぎょく)とは
「彩玉」梨は埼玉県が「新高」に「豊水」を交配し育成した、大玉で甘味が強い和梨のオリジナル品種で、埼玉県内でのみ作られ、8月中下旬から9月上旬に収穫されます。
◆彩玉(さいぎょく)の来歴
「彩玉」は埼玉県園芸試験場(現 埼玉県農業技術研究センター久喜試験場)において、1984(昭和59)年に「新高」に「豊水」を交配し、得られた実生の中から選抜、育成された和梨で、2001(平成13)年にその特性が安定していることが確認され育成が完了しました。
その翌2002(平成14)年に種苗法に基づく登録出願、2005(平成17)年に品種登録されています。
当面の間は、埼玉県が育成したオリジナル品種として、栽培は埼玉県内のみに限定され、2002(平成14)年から県内の生産者に接ぎ木用穂木などの配布が始められ、2004(平成16)年から試験販売が開始、翌2005年には一般販売が始まっています。
◆彩玉(さいぎょく)の特徴
「彩玉」の果実は平均果重が原木では500g程度、高接ぎ樹では550g程度と、この時期の梨としては大果です。
果皮色は赤梨らしい赤褐色で、果点はやや大きく、蜜に発生します。
果肉は乳白色で、肉質は比較的柔らかく「豊水」と同じくらいですが、「豊水」よりはやや粗い傾向がみられます。糖度が平均13.5%と高めで、果汁のphは5.1程度と酸味は感じられない甘味が強が強い梨です。
農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。
『-----
果実の形は扁円、果形指数はやや小、梗あの深さはやや深、広さは中、ていあの深さはやや深、広さは中、有てい果の有無は混在、果実の大きさは大、
果皮色は赤褐、果点の大きさはやや大、密度は密、果面の粗滑は粗である。
果梗の長さ及び太さは中、肉梗の有無は無である。
果芯の形は短紡錘、大きさは中、果肉の色は白、硬さはやや軟、粗密及び切口の褐変は中、甘味は高、酸味は弱、香気は少、果汁の多少は多、種子の形は卵、大きさは中である。
開花期は中、成熟期は中で育成地においては8月下旬、後期落果は無~僅、裂果は無、果実の貯蔵性はやや短である。
「豊水」と比較して、果実の形が扁円であること、果肉が粗であること等で、「新高」と比較して、成熟期が早いこと、葉柄比率が大きいこと等で区別性が認められる。
-----』以上、抜粋。
◆実際に食べてみた彩玉(さいぎょく)の食味
撮影試食した彩玉は8月23日に届いた4個/箱で、果重は570~596gでした。箱には果頂部を上にして、それぞれに品種名のラベルが張られた状態で詰められていました。
果実はこの時期の梨としては確かに大きく、持つとずっしりと重みが感じられました。
食べてみると豊水に似た食感で、細かい石細胞も感じられます。果汁はとても多く、そして甘いです。酸味は果芯近くでもほとんどなく、甘いという印象が残りました。計った糖度は14.5~15.0%でした。
●彩玉(さいぎょく)の主な産地と旬
◆主な産地と生産量
「彩玉」は埼玉県のオリジナル品種として、デビュー当時から2023年の時点でも栽培地は埼玉県内に限定されています。
農林水産省がまとめている令和2年産特産果樹生産動態等調査によると、埼玉県内の栽培面積は48.5haとなっています。
「彩玉」は栽培面積で見ると決して希少な品種というほどではありませんが、埼玉県でしか作られていないため、首都圏では入手しやすいものの、関西や地方のスーパーなどで見かけることはほとんどないと思います。
◆彩玉(さいぎょく)の収穫時期と旬
彩玉の収穫時期は8月中下旬から9月上旬にかけてです。産地が限定されているため、出回る時期は短いです。
品種 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | ||||||||
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彩玉(さいぎょく) |
< 出 典 >
※ 「大果で食味に優れた中生のニホンナシ新品種「彩玉(さいぎょく)」」
※ 「梨(彩玉)」埼玉県ホームページ
※ 「登録番号12729 彩玉」 農林水産省品種登録データベース
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