赤宝（せきほう）：来歴や特徴と産地や旬

●赤宝（せきほう）とは

　「赤宝」は長野県で発見された「あかつき」の一樹変異で、着色・品質・日持性に優れた早生あかつき品種です。

◆赤宝の来歴

　「赤宝」は長野県JA塩尻市管内において、落葉果樹苗木生産販売会社である有限会社小町園が平成10年に納入した「大玉あかつき」の中から発見された着色・品質・日持性に優れた「早生あかつき」とされています。

　品種登録はされていませんが、小町園によって「赤宝」という名称が2000(平成12)年に出願され、2001(平成13)年に商標登録されています。

◆赤宝の特徴

1. 果実の大きさ　 「赤宝」は、「日川白鳳」と同じ時期に収穫できる早生品種であり、果実は早生品種としては比較的大きく、一般的に280～300ｇ程度の大きさを有しています。

2. 果皮の特徴　「赤宝」の最も顕著な特徴の一つは、果皮の着色が極めて良いことです。果実全体に赤い色合いが広がり、鮮やかな外観を呈しています。この赤い着色は、消費者に視覚的な魅力を提供し、市場での需要を高める要因となりますが、その年の気候などによっては着色過多になることもあるようです。

3. 果肉の特徴　「赤宝」の果肉は乳白色を基調とし、紅色素が微かに混じっています。これにより、食べる際に美しい色調を呈し、食欲をそそる効果が期待できます。果肉の肉質は緻密で硬く、ややゴム質の特性を持っています。この特性は果実の取り扱いや運搬時において優れた耐久性をもたらします。

4. 食味　 「赤宝」の糖度は早生品種としては比較的高く、一般的に12％程度です。高い糖度により、甘みを重視する消費者のニーズに対応しています。しかしながら、同時に果肉にはやや多い酸味が感じられます。この酸味は、糖度とのバランスを保ちつつ、さわやかな味わいをもたらしています。

　苗木を販売している小町園のホームページでは以下の通り紹介されています。

『-----

　果実は扁円形、果重280 g 平均で玉揃良好。果皮の着色下枝迄も容易で鮮赤色に着色して美麗｡果肉は白色で着色が進むと紅色素が入る。肉質ち密でややゴム質。糖度平均13％と高く、果汁多く食味優良である。核は半粘核で核割れは若干発生する。

　熟期は育成地で７月下旬、なつきとほぼ同時期。縦長果より丸味を帯び豊満な果実となった時が適熟。

-----』。

◆実際に食べてみた赤宝の食味

　撮影試食した赤宝は7月10日に届いた富山県産で、平均果実重は295ｇほどでした。

　本種の特徴にある通り、果実はどれも全体に良く着色しています。果形から核割れしていそうなものもいくつかみられたので、それと割れていないと思われるものをそれぞれ半割にして撮影しています。

　縦４分の１にカットし、それから皮を手で剥けるか試してみると、写真のように皮にわずかに果肉が付いてはいますが最後までむくことが出来ました。

　果肉は少し個体差も見られはしますが、赤い色が混じっています。核のまわりは着色がありませんでした。切った感じではしっかりと完熟していました。

　食べてみると”硬めの桃”という印象はなく、肉質も緻密でゴム質ではなく、どちらかと言えば白鳳系に近いような少し繊維質が感じられ、果肉は口の中でほぐれるように崩れました。果汁もたっぷりと含まれており、甘味自体はそこそこですが程よい酸味が後口をすっきりとさせてくれてとても美味しい桃でした。計った糖度は個体差があり、10.3～12.8％でした。

●赤宝の主な産地と旬

◆主な産地と生産量

　「赤宝」の主な産地は長野県です。2020年産特産果樹生産動態等調査に記録されているの全国の栽培面積は長野県の4.3haのみとなっています。実際にはその他の桃産地でも、個々の農園で少量栽培されていたりしますが、大規模に栽培をしている所はないようです。

◆赤宝の収穫時期と旬

　赤宝の収穫時期は長野県では7月中～下旬にかけてとなっています。もっと早い産地では6月下旬頃から始まるようですが、食べ頃の旬は7月中旬です。ただ、栽培面積が少なく出回る数が少ないので、事前に予約するか、収穫時期に産地へ足を運んだ方が良さそうです。

品種	６月			７月			８月			９月
赤宝

＜ 出　典 ＞

　※　「赤宝®」有限会社小町園ホームページ

　※　「モモ新品種の特性調査 －第 1 報－ 」山梨果試研報第 16 号：45-51.2019

　※　「登録番号 第4510925号　赤宝」　特許情報プラットフォーム　特許庁