甲斐ルビー(甲斐オウ果6):来歴や特徴と産地や旬
サクランボの品種、「甲斐ルビー」の来歴や特徴と実際に食べた食味をはじめ、収穫時期や出盛りの旬などを沢山の写真と共に紹介します。
●甲斐ルビーとは
◆甲斐ルビーの来歴
「甲斐ルビー」は山梨県が「紅てまり」と「豊錦」を交配し育成したオリジナル品種「甲斐オウ果6」の商標で、極早生で着色良く大玉で食味も優れるサクランボとして2015年に品種登録され、2017年に商標登録出願・公表されています。
「甲斐オウ果6」の育成およびデビューに至る過程は下記のとおりです。
2002(平成14)年 山梨県果樹試験場圃場(山梨市 江曽原)において、大玉で着色の良い「紅てまり」に、極早生品種である「豊錦」の花粉を交配。得られた種子を 5℃の冷蔵庫で7ヶ月間貯蔵後に除核播種し、ガラス温室内で養成後、2003年4月に苗圃に移植。
2004(平成16)年 個体番号「14-18」を付して選抜圃場に定植。
2009(平成21)年 一次選抜し、「オウトウ山梨6号」と系統名が付けられた。
2010(平成22)年 二次選抜。
2014(平成26)年 「甲斐オウ果6」として種苗法に基づく登録出願。
2015(平成27)年 12月品種登録完了。県内の農家に苗木の供給開始。
2017(平成29)年 公募により商標を「甲斐ルビー」と決定し、登録出願・公表。
2018(平成30)年 3月商標登録完了。
JA南アルプス市では2020年度より統一共選の受け入れを始め、産地化を進めています。
◆甲斐ルビーの特徴
「甲斐ルビー」の果実は果実重6~7g程度と極早生品種としては大きく、果形は「高砂」と似た心臓形で果頂部が凹んだ形になる傾向があります。
果皮色は赤で、完熟するに従い赤黒くなりやすい。果肉はクリーム色で、種の大きさは中くらいで、果肉はやや柔らかいです。糖度は20度前後と高く、酸味は「高砂」より少なく食味良好なサクランボとなっています。
農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。
『-----
果実の大きさは中、果実の形は心臓形、果頂部の形は凹、果実の縫合線の明瞭度は不明瞭、果柄の長さは中、
果皮の色は淡赤、果肉の色はクリーム、果実の硬さはやや軟、果実の酸味は中、果実の甘味は中、果汁の多少は多、
核の大きさは中、核の形は広楕円形、
開花始期は極早、収穫始期はかなり早である。
出願品種「甲斐オウ果6」は、対照品種「豊錦」と比較して、葉柄の長さがやや短であること、果柄の長さが中であること等で区別性が認められる。
対照品種「高砂」と比較して、果柄の長さが中であること、開花始期が極早であること等で区別性が認められる。
-----』以上、抜粋。
◆実際に食べてみた甲斐ルビーの食味
撮影試食した「甲斐ルビー」は5月下旬にスーパーで売られていた”南アルプス果実”というパックに詰められたものです。
サクランボは綺麗な赤い色で艶があり、触った感じは弾力がありました。
食べてみると想像していたよりも甘味が強く、酸味は控えめな感じでとても美味しかったです。計った糖度は本種の標準的な特性通り20度前後でした。
●甲斐ルビーの主な産地と旬
◆主な産地と生産量
「甲斐ルビー」は山梨県が育成したオリジナル品種として、山梨県内でのみ栽培出荷されています。
2015年に品種登録され、商標も2018年に取得され、苗木の配布は開始されていますが、令和元年産特産果樹生産動態等調査にはまだ栽培面積などの記録はされていません。
JA南アルプス市では2015年から増殖に取り組みブランド化が推進されています。
◆甲斐ルビーの収穫時期と旬
「甲斐ルビー」は極早生種で、露地栽培で5月下旬から収穫が始まります。市場に出回るのは5月下旬~6月初旬となっています。
品種 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | ||||||||
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甲斐ルビー |
< 出 典 >
※ 「オウトウ新品種‘甲斐オウ果6’」山梨果試研報第 15 号:13-17.2017
※ 「甲斐オウ果6(商標名:甲斐ルビー)」山梨県 品種登録情報 モモ・スモモ・オウトウ 2020年7月7日
※ 「登録番号24629 甲斐オウ果6」 農林水産省品種登録データベース
※ 「登録番号6028274 甲斐ルビー」商標出願・登録情報