紅ゆたか:来歴や特徴と産地や旬
●紅ゆたかの来歴
◆「ビック」×C-21-7(「ビング」×「黄玉」)
「紅ゆたか」は農林水産省指定試験事業により山形県寒河江市の山形県農業総合センター農業技術試験場において、1990(平成2)年に「ビック」に「C-21-7(「ビング」×「黄玉」)」を交配し、出来た実生から選抜育成された桜桃品種です。
山形県によって2008(平成平成20)年に出願公表され、同年「オウトウ農林3号」として農林認定され、翌2009(平成21)年に品種登録されています。
「C-21-7」の親となっている「ビング」、「黄玉」はともにアメリカが原産の品種で、「黄玉」は「佐藤錦」の親にもなっています。
は◆紅ゆたかの特徴
「紅ゆたか」は果形は横に幅がある扁円形で平均果重は6~9gと大玉傾向にあります。果皮は赤く色付き、果肉はクリーム色で酸味が少なく糖度は18~19%前後と高いのが特徴です。
農林水産省の品種登録データベースによると「紅ゆたか」の特性は以下のように記載されています。
『-----
果実の大きさは大、果実の形は扁円形、果頂部の形は凹、果実の縫合線の明瞭度は不明瞭、果柄の長さは中、果皮の色は淡赤、果肉の色はクリーム、果実の硬さは軟、果実の酸味は低、果実の甘味は高、果汁の多少は多、核の形は広楕円形、開花始期は中、収穫始期は早である。
出願品種「紅ゆたか」は、対照品種「佐藤錦」と比較して、果実の大きさが大であること、果実の形が扁円形であること等で区別性が認められる。
対照品種「高砂」と比較して、果実の大きさが大であること、核の大きさが中であること等で区別性が認められる。
-----』 以上、抜粋。
◆実際に食べてみた紅ゆたかの食味
今回入手したものは長野県中野市産の贈答向け2L秀品で、大阪中央卸売市場の東海商店さんから4月中旬に送っていただいたものです。時期的に加温ハウスで収穫されたものと思われます。
果実は2Lだけに大きく、果皮は全体に赤く色付いてつやつやしていました。果肉はやや柔らかく完熟状態です。酸味が穏やかで果汁と共に甘味が広がるとても美味しいサクランボでした。
●紅ゆたかの主な産地と旬
◆主な産地と生産量
「紅ゆたか」は山形県で育成された品種ですが、栽培地は限定されていないのでサクランボが栽培できる地域であればどこでも生産が可能となっています。
農林水産省の平成28年産特産果樹生産動向調査では山形県の9.1hしか記録されていないので、主な産地は山形県ということですが、他の産地でも栽培は始まっており、今後増えていくとと思われます。
◆紅ゆたかの収穫時期と旬
「紅ゆたか」の収穫期は「高砂」とほぼ同時期で「佐藤錦」より5~7日早く収穫可能な早生種とされています。
加温ハウスで栽培されたものは3月下旬頃から収穫が始まりますが、露地(雨除け)栽培されたものは6月中旬頃から下旬にかけてが収穫盛期となります。
品種 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | ||||||||||
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紅ゆたか | 加 | 温 | 物 |