山ぶどう:来歴や特徴と産地や旬
●ヤマブドウとは
◆山ぶどうの来歴
「ヤマブドウ」は日本に古来より冷涼地に自生する野生のぶどうです。日本語古語では「エビカズラ」というそうです。
野山に自生する「ヤマブドウ」は果粒が小さく甘味よりも酸味が強くそのままでは美味しいと言えるものではないようですが、近年圃場でも栽培されるようになり、一般に知られる「ぶどう」らしいぶどうに仕上げられ、ワインやジュースの原料に使われるようになってきました。
写真は岡山県の花澤ぶどう研究所で栽培され収穫されたもので、とても美味しそうに仕上がっています。
「ヤマブドウ」の木は一般的な生食用ぶどうとは違い、実をつけるのは雌株だけなので、実らせるためには雄雌両方近くに植える必要があるそうです。
◆山ぶどうの特徴
「ヤマブドウ」の果粒は「デラウエア」ほどの大きさで、果皮色は黒に近い紺色をしており果皮表面は果粉に覆われています。
果皮はしっかりとしており、中の果肉は果汁が多く比較的柔らかいですが、粒が小さい割に種は大きめでしかもたくさん入っていて果肉の割合は少ないです。
食味的にも甘みは十分にありますが酸味と渋味がとても強く生食には不向きとされ、ワインやジュース、ジャムなど加工に適しています。
「ヤマブドウ」は一般的なブドウに比べポリフェノールやビタミンE、それにミネラルなどが非常に多く含まれていることから高い機能性をもつ食材としても注目されています。
◆実際に食べてみた山ぶどうの食味
今回試食したものは花澤ぶどう研究所でしっかりと手入れされ食べごろの熟したものでした。
食べてみると皮は厚く口に残りますが、果肉はとても果汁が多く、強い甘みと酸味、それに皮の渋みが加わりとても濃厚な味わいとなって口に広がりました。
皮から取り出した果肉の写真を見ても果汁の多さはわかっていただけるでしょう。また、種が多く、やはり生食するには面倒です。
●山ぶどうの主な産地と旬
◆主な産地と生産量
「ヤマブドウ」はもともと北海道から本州、四国に分布し、主に山間部に自生している野生種ですが、近年各地のブドウ産地で栽培も行われるようになり、ワインやジュースなどの加工品が出ています。
各地の栽培面積や生産量は不明ですが、主な産地として知られているのは岩手県で大規模な圃場で加工用に栽培されています。その他、青森県や秋田県、山形県など東北地方に多いほか、長野県でも栽培されています。
そういったところで作られたものは生食向けには販売されず、主に加工用となっています。
直売所などで生鮮品が売られていたとしてもジャムやジュースなど加工向けと思った方が良いでしょう。
◆山ぶどうの収穫時期と旬
収穫時期は産地により差があり、早いところで9月上旬頃から始まり、東北地方では9月中旬~10月中旬となっています。
品種 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | ||||||||
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