●とちあいかとは

◆とちあいかの来歴

 「とちあいか」は栃木県農業試験場いちご研究所によって2011(平成23)年度に、同所育成品種である「栃木32号」と「09-48-5」を交配し、その実生から選抜育成されたイチゴです。2018(平成30)年に「栃木i37号」として種苗法に基づく登録が申請され2021年現在審査中となっている新品種です。

 「とちあいか」は栃木県としては10番目のオリジナル品種となります。品種登録を待たず2019(令和元)年より生産出荷が始まっていますが、その時点では名称が決まっておらず、「栃木i37号」として出荷されています。

とちあいか(栃木i37号) いちご イチゴ

 2020(令和2)年に名称が「とちあいか」と決まり、その年の10月から都市部に向けて出荷が始まりました。名称は、「愛」される「とち」ぎの「果」実になってもらいたいという願いが込められているそうです。

 栃木県としてはこれまでの主力品種「とちおとめ」と大粒の「スカイベリー」、そして「とちあいか」の三本柱でシェアを伸ばしたいところです。

◆とちあいかの特徴

 「とちあいか」の果実はやや大粒の円錐形で、ガク(ヘタの部分)の付け根が少し窪んだ形になる傾向があり、縦半分に切った断面がハート形になっています。

 果皮表面は光沢のある濃いめの赤で、中の果肉は薄い赤に、種から果芯に向けて白い筋が入っていて、「とちおとめ」とよく似ています。

とちあいか(栃木i37号) いちご イチゴ

 果肉は比較的粒硬めで輸送性や棚持ちが良いようです。

 食感もやや硬めで、酸味が少なく甘味が強いのが特徴となっています。

◆実際に食べてみた「とちあいか」の食味

 今回撮影試食した「とちあいか」は栃木県の「那須高原農園 いちごの森」から取り寄せたものです。折角なので、「とちおとめ」と「スカイベリー」も合わせて取り寄せ、比べてみることにしました。

とちあいか(栃木i37号)とちおとめ スカイベリー(栃木i27号)

 「とちあいか」の大きさは40g程と大粒ながらちょうど「とちおとめ」と「スカイベリー」の間位で、色は一番濃いです。また、香りもとても強く甘い香りがたっていました。

 発送向けに選別されていることもあり、どのいちごも綺麗な円錐形でした。中でも「とちあいか」が一番綺麗なハート形になっています。

とちあいか(栃木i37号) いちご イチゴ

 食べてみると、食感はややしっかりとした歯触りがありますが、期待を裏切らない強い甘みが口に広がりました。酸味が少なく、個人的にはもう少し酸味があってもいいかとは思いましたが、今時の傾向に合った食味だと思います。

 糖度を計ってみたところ15度前後あり、この3種の中で一番甘いイチゴでした。

●とちあいかの主な産地と旬

とちあいか(栃木i37号) いちご イチゴ

◆主な産地と生産量

 「とちあいか」は栃木県オリジナル品種として県内でのみ栽培出荷されています。

 まだ登場したばかりの品種なので生産者は少なく、市場に出荷される数も少ないですが、「とちおとめ」よりも果肉が硬めで輸送性が高く、遠方への出荷が可能であることと、10月下旬から出荷が可能で収穫期間が長く、収量も「とちおとめ」より3割ほど多い事などから、今後本種への転換が進むと思われます。

◆とちあいかの収穫時期と旬

 「とちあいか」は促成栽培向け品種で、10月下旬から出荷が可能とされています。

 収穫最盛期の旬は12月から3月にかけてとなります。

品種 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
とちあいか                        

 ※ 「いちご王国を支えてきた 品種開発50年」農業試験場いちご研究所 令和2年11月

 ※ 栃木県ホームページ

 ※ 品種登録データベース 農林水産省ホームページ

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