ひめルビー（エクリーク65）

●ひめルビー（エクリーク65）の来歴や特徴

◆ひめルビーの来歴

　「ひめルビー」と呼ばれる柑橘はJA（全国農業協同組合連合会）が育成した「ブラッドオレンジ」と「ポンカン」の両方の特性を持つキメラ柑橘「エクリーク65」という品種に対する流通上の登録商標です。この「エクリーク65」は1998年に愛媛県松山市において、「モロ」に「太田ポンカン」の珠心胚実生を接ぎ木した接合部から発生した周縁キメラから育成されたとされ、2006年に種苗法に基づく登録出願、2008年に品種登録されています。

　JAでは愛媛県松山市において柑橘の育種をすすめ2002年から2008年にかけて”エクリーク”の名を冠した品種「エクリーク15」～「エクリーク187」まで16品種を品種登録しており、本種はその中の一つです。ただ、これら16品種の中で市場にデビューした柑橘は本種だけかもしれません。

　「ひめルビー」という名称は2012年に一般公募された約400件の応募の中から選ばれ、11月に商標として登録されています。名称は愛媛のオリジナル品種であることと、赤く輝く宝石ルビーのイメージが込められているとのことです。

◆ひめルビーの特徴

　「ひめルビー」の果実は大きさや形は一般的なポンカンと同じで、果皮を触った感じや、簡単に手で皮がむけること、果芯部に空洞が出来ることなどもポンカンと同じです。

　一方、果皮の色はポンカンと同じような橙色の地色に、部分的、あるいは全面に濃橙から橙赤色（個体によってはポンカンと変わらないものもみられる）であり、断面を見ると、サジョウは橙色に赤紫色が混じっており、正にブラッドオレンジの特徴であるアントシアニンを含んだ赤い色素が果皮や果肉に現れています。

　食味もポンカンのような粒感のある食感と、モロ種のアントシアニンを感じるコクのある味わいとなっています。

　農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。

『-----

　果実の形は扁球、果頂部の形は陥没、放射条溝の有無は有、凹環の有無は無、果梗部の形はやや凹、放射条溝の多少は多である。

　果心の充実度は空、大きさは極大、果実の重さはやや重、

　果皮の色は濃橙及び橙赤、油胞の大きさは小、密度はやや密、凹凸は凸、果面の粗滑及び果皮の厚さは中、果皮歩合は大、剥皮の難易は易である。

　じょうのう膜の硬さは軟、さじょうの形は中、大きさはやや大、色は赤紫である。

　果汁の多少、甘味及び酸味は中、香気の多少は多、種子数は無である。

　発芽期及び開花期はやや晩、成熟期は早で育成地においては12月下旬である。隔年結果性は中、浮皮果の発生は多、裂果の発生は少である。

　「太田ポンカン」と比較して、果皮の色が濃橙及び橙赤であること、さじょうの色が赤紫であること等で、「モロ」と比較して、果実の形が扁球であること、剥皮が易であること等で区別性が認められる。

-----』以上、抜粋。

◆実際に食べてみたひめルビーの食味

　撮影試食した「ひめルビー」は2022年12月24日に愛媛県の直売所で購入したものです。

　見た目は赤い色が混じったポンカンといった印象で、手に持った感じは大きさの割に軽く感じました。皮をむくと果芯部に大きめの空洞があり納得。

　食べてみるとジョウノウ膜は薄く、そのまま食べても気にならず、果肉亜は甘味と酸味のバランスが良いです。そしてポンカンにはないブラッドオレンジ由来と思われる複雑な風味が広がりました。香りもオレンジに近いですがオレンジの香りともまた違い、やはりポンカンとブラッドオレンジを混ぜたような感じがしました。計ってみた糖度は11.4～12.1％でした。

●ひめルビーの主な産地と旬

◆主な産地と生産量

　「ひめルビー」は愛媛県で育成された柑橘で、JA全農えひめが愛媛県オリジナル品種としてPRや苗木の頒布などをすすめていました。

　2023年の時点では栽培面積や収穫量などは分かりませんが、愛媛県内で少量栽培されているだけにとどまっているようです。

◆ひめルビーの収穫時期と旬

　「ひめルビー」は愛媛県松山市において12月下旬に成熟する柑橘となっています。収穫は12月下旬頃から始まり、店頭に並ぶのは2月上旬頃までとなっています。

品種	12月			1月			2月			3月
ひめルビー

＜ 出　典 ＞

　※　「キメラかんきつ「エクリーク65」愛称は「ひめルビー」に決定！」JA全農えひめ情報あぐり～ど 2012.5 P.5

　※　「登録番号 17062　エクリーク65」　農林水産省品種登録データベース

　※　「登録番号 第5533868号　ひめルビー」特許情報プラットホーム　特許庁