●キタサキレッドとは

 キタサキレッドは、愛知県大府市の久野博氏が「巨峰」園で偶発実生を発見し育成した、果皮が赤く大粒で弱いフォクシー香をもつ食味の良い早生種ぶどうです。

◆キタサキレッドの来歴

キタサキレッド 赤いぶどう

 キタサキレッドは、愛知県大府市でブドウ園を営む久野博が、自身の「巨峰」園の中で偶発実生を発見し、これを育成したところ、果皮が赤く大粒で弱いフォクシー香をもつ食味の良い早生種ぶどうだったことから、1987年に種苗法に基づく登録を出願、1988年に品種登録されました。

 2025年現在、1995年に期間満了にて育成者権は消滅しており、様々な苗木販売業者から苗木を入手することができる。

◆キタサキレッドの特徴

 キタサキレッドの果房は円すい形で大きく、房内の粒の間隔はやや粗めです。果粒は短い楕円形で、1粒あたり約12gと非常に大きめ。果皮は厚く、色は赤灰色から赤褐色を帯びます。果皮と果肉はやや剥がれにくい性質があります。果肉は着色せず淡色で、食感は中程度の硬さ。甘みが強く、酸味は少なめで、ほのかに弱いフォクシー香があります。果汁は豊富で、ジューシーな味わいが楽しめます。

キタサキレッド 赤いぶどう

 農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。

『-----

果房の形は円錐、果房の大きさは大、粒着は粗である。果粒の形は短楕円、果粒の大きさは非常に大(12g程度)、果皮の色は赤灰又は赤褐、果皮の厚さは厚、果皮と果肉の分離性はやや難である。果肉の色は不着色、肉質は中間、甘味は高、酸味は少、香気は極く弱いフォクシー、果汁は多である。種子の数は少、種子の形は長、種子の大きさは大である。成熟期は育成地(愛知県大府市)において8月中旬で早、裂果性は少、果梗の強さは中、果梗と果粒の分離は難である。「紅やまびこ」と比較して、成葉の上裂刻が開くこと、果粒の形が短楕円であること、果皮と果肉の分離性が難かしいこと、種子の形が長いこと等で、「レッドクイーン」と比較して、肉質が中間であること、種子の形が長いこと等で区別性が認められる。

-----』以上、抜粋。

◆実際に食べてみたキタサキレッドの食味

キタサキレッド 赤いぶどう

 撮影試食したキタサキレッドは8月上旬に石川県かほく市の架谷ブドウ園さんに行き、直売所で購入した一房420gほどのものです。

 果粒は果梗にしっかりと付いており、脱粒しそうな粒はありませんでした。果皮の色は、上部に付いている粒よりも下の方に付いている粒の方が濃く着色しています。

 食べてみると、皮はやや厚く、果肉はデラウエアーに近い感じで、皮ごと口に入れて皮を出して食べる感じでした。

 食味はとても甘味が強いのですが酸味のバランスも良いので、すっきりとした美味しいぶどうでした。 「巨峰」園から発見された偶発実生という事は、「巨峰」のDNAを受け継いでいるという事だと思いますが、見た目の赤い色と共に「巨峰」とはまた違った味わいが楽しめました。

キタサキレッド 赤いぶどう

●キタサキレッドの主な産地と旬

◆主な産地と生産量

 キタサキレッドは2025年の時点で既に誕生から40年近く経っており育成者権も消失しているが、食味が良い事もあり、苗木は広く販売されている。ただ、個々の農園で少量栽培されているにすぎず、大きな産地はない。

◆キタサキレッドの収穫時期と旬

 キタサキレッドは早生種で、成熟期は育成地の愛知県大府市では8月中旬頃となっています。

 実際の収穫時期は産地によって多少開きがあり、8月上旬頃から始まり、関東や新潟県辺りでは9月上旬から中旬に始まります。

品種 7月 8月 9月 10月
キタサキレッド                        

< 出 典 >

 ※ マルショー葡萄園

 ※ 「登録番号 1690」 農林水産省品種登録データベース

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