●「みはや」の来歴や特徴

 「みはや」は農研機構が「津之望」に「No.1408」を交配し育成した果皮が赤橙色で見た目がよく11月下旬に成熟する早生のミカンです。生産者が少なく、市場に出回る量も少なくあまり認知されていないのではないでしょうか。

◆「みはや」の来歴

 「みはや」は温州みかんに対抗できる良食味の早生カンキツとして開発された外観に優れる早生ミカンで、育成過程は下記のとおりです。

みはや みかん

1998年 果樹試験場カンキツ部(現果樹研究所カンキツ研究口之津拠点)において「津之望」にみかんタイプの育成系統No.1408を交雑。

2006年 系統名「カンキツ口之津50号」とし、カンキツ第10回系統適応性・特性検定試験に供試。

2011年 同試験成績検討会において新品種候補に決定。種苗法に基づく登録出願。

2012年 「みはや」として品種登録出願公表。

2014年 品種登録完了。

◆「みはや」の特徴

 「みはや」の果実は平均果重190gほどで、果形は扁球となっています。大きな特徴は果皮の色が赤橙色で艶があり、他の柑橘と一見して違いが分かります。

みはやの断面 みかん

 果皮は温州みかんよりもやや厚めですが手で剥くことができ、ジョウノウ膜も比較的柔らかく食べやすいみかんです。

 果肉は濃橙色で無核果の割合が高いとされ、多汁で食味良好となっています。またアンコールの芳香があります。

みはや みかん

 農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。

『-----

 果実の形は扁球、果頂部の形は平坦、果頂部放射条溝の有無は無、果頂部の凹環の有無は無、果梗部の形は切平面、果梗部放射条溝の多少は中、

 果心の充実度は粗、果心の大きさは小、果実の重さはやや重、

 果皮の色は橙赤、油胞の大きさは大小混合、油胞の密度は疎、油胞の凹凸は凸、果面の粗滑はやや滑、果皮の厚さは薄、果皮歩合は中、剥皮の難易はやや易、

 じょうのう膜の硬さは軟、さじょうの形は中、さじょうの大きさは中、さじょう(果肉)の色は濃橙、果汁の多少は多、甘味はやや高、酸味は低、香気の多少は多、種子数は少、

 発芽期は中、開花期は中、成熟期は極早、隔年結果性は中、浮皮果の発生は無、裂果の発生は少、貯蔵性は中である。

 出願品種「みはや」は、対照品種「べにばえ」と比較して、種子数が少であること、成熟期が極早であること等で区別性が認められる。

 対照品種「麗紅」と比較して、花粉の多少が中であること、胚の数が単胚であること、成熟期が極早であること等で区別性が認められる。

-----』以上、抜粋。

●「みはや」の主な産地と旬

みはや みかん

◆主な産地と生産量

 農林水産省の平成30年産特産果樹生産動態等調査によると「みはや」の主な産地は熊本県と宮崎県で、熊本県の栽培面積は7.7ha、収穫量14.5トンとなっています。宮崎県では2.2ha、4.4トンとなっており、この2件しか記載されていませんでした。

 農研機構の紹介では『愛知県、熊本県、鹿児島県、福岡県、大分県の試験地において有望と評価されており、これらの産地から普及が見込まれる』となっています。

 撮影したものは香川県産(2023年)と愛知県産(2020年)です。2014年に品種登録された品種なので、今後産地も増えるかもしれません。

◆「みはや」の収穫時期と旬

 「みはや」の収穫は11月20日頃から下旬にかけて収穫されます。市場に出回るのは11月下旬から12月です。

品種 10月 11月 12月 1月
みはや                        

●「みはや」の食味や食べ方

◆実際に食べてみた愛知県産「みはや」の食味

 撮影・試食した「みはや」は11月27日に取り寄せた愛知県産のもので、果形は球形に近く、果皮の色が濃い赤橙で艶があり、見た目がとても綺麗なミカンでした。

みはや みかん

 皮はやや厚く、手で剥けなくはないですがごわごわしていてややむきにくいです。ジョウノウ膜は比較的薄く、そのまま食べてみあまり気にはなりませんでした。

 果肉はとてもジューシーで甘味酸味のバランスも良くさっぱりとした味わいでした。今回届いたものは種が入っているものが多く、糖度も10度から11度に満たないくらいでしたが、本来「みはや」は無核果が多く、糖度も12度以上になるという事なので、別の産地のものも試してみたいと思います。

みはや みかん

◆実際に食べてみた香川県産「みはや」の食味

 撮影・試食した「みはや」は12月23日に香川県の直売所で購入した14個入り/ケースの秀品で、撮影試食は年明けの1月6日でした。

みはや,みかん,ミハヤ

 果形は温州みかんに近いやや扁平な円形で、果皮の色は濃い赤橙で艶があます。

みはや,みかん,ミハヤ みはや,みかん,ミハヤ

 皮は以前試食した愛知県産のものに比べて薄く、温州みかんと同じくらいで、手で綺麗に剥く事が出来ました。

 食べてみると、ジョウノウ膜も薄く、そのまま食べても気にならず、いくつかの房には種子が入っていましたが、果肉はとてもジューシーで甘く、適度な酸味がその甘味をぐっと持ち上げているような感じでした。

 計ってみた糖度は13.7~15.5%あり、以前試食したものよりもずっと食味が良かったです。

 当然と言えばそれまでですが、やはり産地や生産者によって「みはや」も随分と差が出るもんだな~と感じました。


< 出 典 >

 ※ 「早生、良食味で外観美麗なカンキツ新品種「みはや」」果樹研究所 2012年の成果情報 農研機構

 ※ 「果皮が赤く美麗で、高品質の早生のみかん」研究成果パンフレット 農研機構

 ※ 「登録番号23722 みはや」品種登録データベース 農林水産省ホームページ

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