十勝こがね:特徴や産地と旬
●十勝こがねの来歴や特徴
「十勝こがね」は農研機構が「R392-3」に「69095-17」を交配し育成したジャガイモシストセンチュウ抵抗性があり、楕円形で歩留まりがよく、水煮時した時に煮くずれしにくく、蒸した時にはややほくほくして食味が良く、フライなど揚げ物にも適したジャガイモです。
◆十勝こがねの来歴
1986(昭和61)年に北海道農試(現 独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター)において、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を有する「R392-3」に大粒で外観に優れる早生種の「69095-17」を交配し、得られた実生から選抜・育成されたジャガイモ品種で、1997(平成9)年種苗法に基づく登録出願、1999(平成11)年に名称を「十勝こがね」とし出願公表、2000(平成12)年に品種登録されています。また同年に「ばれいしょ農林41号」として奨励品種に農林認定されています。
「北海79号」という呼称もみられますが、これは育成調査において各地に奨励品種決定調査等に出された際に付けられていたもので登録出願時の名称でもあります。
本種を交配親として「ピルカ」や「こがね丸」が生まれています。
◆十勝こがねの特徴
「十勝こがね」のイモの形状は楕円形で皮色は白黄色、芽が少なくて浅いのが特徴です。
肉質は色が淡黄ででん粉価がやや少なく、「メークイン」並の”やや粘質”となっていて「メークイン」以上に煮崩れしにくいのが特徴です。
調理後の黒変やフライ時の褐変が少なく、形状的に皮がむきやすく歩留まりが良いこともあり、調理特性がとても優れた品種となっています。
農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。
『-----
いも着生の深浅は中,長短はやや長,扁平度は中,形は楕円形,
皮色(1次色)は白黄,表皮の粗滑は中,目の数は少,深浅は極浅,
肉色(1次色)は淡黄,
休眠期間は極長,枯ちょう期は早,早期肥大性は中,上いも平均1個重は大,
肉質はやや粉,黒変の程度は無,煮くずれの程度及び舌ざわりは中,チップ・フライの褐変程度は微,食味は上である。
「男爵薯」と比較して,花数が少ないこと,花色が白であること,いもの形が楕円形であること,目が浅いこと等で区別性が認められる。
-----』以上、抜粋。
●十勝こがねの美味しい食べ方と料理
◆調理のポイントや適した料理
「十勝こがね」は水煮時した時に煮くずれしにくく、蒸した時にはややほくほくして食味が良く、フライなど揚げ物にも適したジャガイモです。
また、楕円形で表面の凸凹が少なくつるっとしているので皮がむきやすく歩留まりもいいです。
下の写真は皮を剥いてから4つに切って、串が通る硬さまで水煮してから粉ふきにしたものですが、ご覧の通りほとんど崩れず、小フキにしたにもかかわらずほとんど粉を吹いた状態になっていません。
カレーやシチューなどに使っても崩れにくく、舌触りも滑らかです。
次の写真は皮ごと茹でてから、手で皮をむいてスライスしてみたものです。
茹でてあるにもかかわらず、崩れることなく綺麗にスライス出来ました。こうして下茹でしてからバターやオリーブ油で両面こんがりとソテーするのにも向いています。
< 出 典 >
※ 「十勝こがね」品種詳細 農研機構
※ 「ばれいしょ新品種「十勝こがね(北海79号)」の調理特性」食品総合研究所 1999年の成果情報
※ 「十勝こがね」北海道農業研究センター 品種紹介パンフレット
※ 「十勝こがね」農林水産省品種登録データベース